政府が経済・社会活動の再開計画発表も、自動車産業めぐっては混乱

(メキシコ)

メキシコ発

2020年05月15日

メキシコ政府は5月13日、アンドレス・マヌエル・ロペス・オブラドール大統領の早朝記者会見において、新型コロナウイルスの感染を抑制しつつ経済・社会活動を再開していく計画を発表した。また、翌14日付官報で保健省令を公布した。計画は3段階に応じて実施に移され、詳細は以下のとおり。

【第1段階:5月18日】

新型コロナの感染が全くない市町村で、隣接する市町村にも感染が全くない市町村(5月13日早朝時点で15州の269市町村)については、経済・社会活動を再開させる。

【第2段階:5月18~31日】

保健省、経済省、労働社会保障省、社会保険庁(IMSS)が調整の上で策定し、公示する職場環境における安全衛生ガイドラインに従い、操業再開に向けた準備を行う。

【第3段階:6月1日以降】

保健省が各州の感染状況に応じた信号システムを定義し、同信号の色に応じた経済・社会活動が許可される。

第1段階で活動が再開される市町村は、経済省が「希望の市町村」と称しているが、対象はおおむね農村部の市町村となっており、保健省は遅くとも5月17日までに経済・社会活動が再開できる市町村を保健省のウェブサイト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますで発表するとともに、州政府と連携して当該市町村の新型コロナ感染予防・管理特別措置を講じる。

保健省令の第4条は特別措置として、建設業、鉱業、輸送機器の製造に関連する活動が「不可欠な活動」とみなされ、6月1日から活動を開始できると規定した。そして、5月18~31日の間に保健省が公示するガイドラインに従った準備を行うとしている。6月1日以降に導入される信号システムについては、青(緑)、黄色、橙、赤の4種類の信号に応じて、許容される活動が変わってくる。各州の信号は、感染状況に応じて毎週、変更される。詳細は添付資料を参照。

操業再開日をめぐって混乱広がる

自動車業界は、米国における自動車生産の再開に合わせるため、5月12~13日の操業再開を視野に入れ、4月末以降、IMSSと協力して衛生プロトコルの策定などを行ってきた。5月13日の大統領の早朝記者会見では、自動車産業の操業再開は5月18日からと発表された。また、メキシコ自動車部品工業会(INA)のオスカル・アルビン会長によると、5月13日午後に自動車業界とアルフォンソ・ロモ大統領府長官がウェブで会見した際、ロモ長官は「衛生プロトコルさえ順守すれば直ちに操業を再開して構わない」と発言したという。しかし、5月14日に公布された保健省令の中で、操業再開が5月18日ではなく6月1日に定められたことを受け、ジェトロがINAに見解を求めたところ、アルビン会長は「聞いていた内容と異なり、寝耳に水だ」とし、北米の自動車産業のサプライチェーンの分断を防ぐため、政府に対して早急に操業再開日の再考を求める活動を開始する、と語った。

(中畑貴雄)

(メキシコ)

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