7月26日以降の新型コロナ警戒信号の色発表、多くの州で後退、緑は3州のみ

(メキシコ)

メキシコ発

2021年07月26日

メキシコ連邦保健省は7月23日、各州に7月26日以降適用する新型コロナウイルス感染警戒信号(2020年5月15日記事6月2日記事6月15日記事8月31日記事参照)の色を発表した。全国32州のうち、1州が赤、13州がオレンジ、15州が黄、3州が緑となり、緑が16州減り、黄が7州、オレンジが8州、赤が1州、それぞれ増えた。緑を維持したのはアグアスカリエンテス、コアウイラ州、チアパス州の3州のみ(添付資料表1参照)。進出日系企業が多い州では、メキシコ市、メキシコ州、ハリスコ州、ヌエボレオン州、タマウリパス州がオレンジ、バハカリフォルニア州、チワワ州、グアナファト州、ケレタロ州、サンルイスポトシ州、サカテカス州が黄、アグアスカリエンテス州、コアウイラ州が緑。

メキシコでは6月以降、全国的に新型コロナウイルス感染第3波が到来しており、発症日別の新規感染者数を週単位でまとめたデータをみると、第21週(5/16~22)から増加(前週比5.7%増)に転じており、第22週(5/23~29)~第24週(6/6~12)は20%前後、第25週(6/13~19)~第26週(6/20~26)は30%強、それぞれ前週比で増加し、第27週(6/27~7/3)は現時点で47.2%増と急増している。

新型コロナ警戒信号の色の判定方法修正

連邦保健省は今回の発表から、信号の判定に用いる10指標のリスクポイントの判定レンジとポイントの総合点から色を判定する際の判定レンジを変更した。連邦保健省が7月23日付で発表した新たな指針PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)によると、信号の判定に用いる10指標(2020年8月31日記事参照)は従来から変更ない。ただし、各指標でリスクポイントをつける際の判定レンジを厳しい方向に修正した(添付資料表2参照)。例えば、実行再生産指数(Rt、注)の場合、従来は2.5以上でリスクポイントが「4」(0~4の5段階)となったが、変更後は1.31以上で「4」となる。他方、10指標のポイントを総合して信号の色を定める判定レンジについては、従来よりもオレンジの幅を小さくし、緑、黄、赤の幅を広くした(添付資料表3参照)。従来は8以下で緑となったが、変更後は9以下で緑となる。同様に従来は15以下でないと黄にならなかったが、変更後は19以下で黄となる。赤信号は32以上だったが、今後は30以上でも赤になる。

連邦保健省によると、ワクチン接種の効果で死亡や入院などの指標への反応速度が緩くなっているため、レンジを厳しくしてそれに対応した。また、新基準に基づけば、オレンジや赤は真に感染リスクが高いことをより強く表すため、州の衛生当局に迅速な対応を促す効果があるとしている。ただし、ワクチン接種が進展しているため、赤信号であってもある程度の経済活動は認める方針のようだ。実際は州政府が信号の色を考慮して活動規制を導入するが、新指針では、赤信号下でも不可欠な活動以外の活動を衛生当局の指示の下で許容するような記述となっている。

7月23日時点でメキシコのワクチン接種率(1回でも接種した比率)は人口比で33.0%、18歳以上の成人人口比で46.4%。

(注)1人の感染者から平均で何人に感染させたかを示す。

(中畑貴雄)

(メキシコ)

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