3月21日以降の新型コロナ警戒信号の色発表、全32州が緑に

(メキシコ)

メキシコ発

2022年03月22日

メキシコ連邦保健省は3月18日、国内各州の新型コロナウイルス感染警戒信号(2020年5月15日記事6月2日記事6月15日記事8月31日記事2021年7月26日記事参照)の21日以降に適用する色を発表した。前回の発表で唯一黄色だったケレタロ州が緑に好転し、全国32州の全てが緑となった。全州で緑になるのは2020年6月の信号ステム導入以来初めて。

発症日別の新規感染者数を週単位でまとめたデータをみると、全国の新規発症者数は2021年第51週(12/19~25)からオミクロン株の影響を受け、第51週が前週比81.8%増、第52週(12/26~1/1)が3.2倍、2022年第1週(1/2~1/8)が2.9倍と急増した。第2週(1/9~15)は46.3%増と減速、第3週(1/16~22)に前週比15.6%の減少に転じ、第4週(1/23~29)36.7%減、第5週(1/30~2/5)43.7%減、第6週(2/6~12)43.2%減、第7週(2/13~19)36.4%減、第8州(2/20~26)40.9%減、第9週(2/27~3/5)は現時点で39.1%減と7週連続で減少傾向が続いている。第9週の1日当たり発症者数は現時点で2,280人(注1)で、第3波のデルタ株による感染拡大が収束した2021年11月下旬から12月上旬の水準まで低下している。病床利用率は3月17日時点で一般病床が8%、人工呼吸器付き病床が5%となり、双方とも1桁の水準まで落ち着いている。

ワクチンのブースター接種進むが、日本の水際措置緩和の対象にはならず

メキシコでは原則として14歳以上がワクチン接種の対象となっており(注2)、3月18日時点で全人口の66.3%、14歳以上の人口の86.9%に相当する8,550万2,104人が少なくとも1回の接種を受けている。そのうち、7,949万6,022人(全人口の61.6%、14歳以上80.8%)が所定の回数の接種を完了している。ブースター接種の接種率については、3月18日時点で医療関係者と教育関係者が100%、60歳以上の高齢者が71%、40~59歳が48%、30~39歳が69%となっている。

同国ではブースター接種用のワクチンとして、英国アストラゼネカ製のワクチンかロシア国立ガマレヤ研究所の「スプートニクV」が用いられているため、日本の水際措置の緩和対象となる米国ファイザーや米国モデルナ製のワクチンを接種することができない。ジェトロとメキシコ日本商工会議所が2022年2月25日~3月1日に共同実施した進出日系企業向けアンケートによると、回答社数120社のうち28社が日本の隔離措置の緩和を受けるために必要な3回目接種のワクチンとしてアストラゼネカ製ワクチンが承認されていないことを問題視している。具体的には、日本政府により1~2回目の接種を承認されているアストラゼネカ製ワクチンが3回目接種に限って有効と認められず、隔離措置緩和の対象に含まれない理由が分からないという声(11件)や、メキシコのようなファイザー、モデルナ製ワクチンの接種が受けられない国・地域の事情を考慮してほしいという要望(7件)などが寄せられている。

(注1)発症日ベースの統計は後から感染が確定して追加されることが多いため、最終的には1日当たり2,500人前後になると推定される。

(注2)感染症に弱い病気を患っている場合、例外的に12歳以上でも接種対象となる。

(中畑貴雄)

(メキシコ)

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