メコン地域の一部で新型コロナ感染拡大も、対応に変化
(タイ、ベトナム、ラオス)
アジア大洋州課
2022年03月11日
ジェトロは、アジア太平洋地域の新型コロナウイルス感染に関する直近の主要な動きをまとめた。メコン諸国では、一部の国でオミクロン型変異株よりも感染速度が速いと言われる亜種「BA.2型」の拡大が見られた。他方、これらの国では、ワクチン接種が進展し、死亡者数が低水準であることなどから、行動規制の緩和や、周辺国との人の往来活性化に向けた動きも同時にみられた(3月10日時点)。
各国の主要動向は以下のとおり。
○タイ
保健省は3月7日、全国で採取した検体の99.6%がオミクロン株で、さらにその51.8%がBA.2型だったと発表。BA.2型は従来のBA.1型より感染速度が速く、家庭内感染の増加などが懸念される(クルンテープトウラキット)。
こうした状況下、政府は3月中旬から、タイとマレーシアの間で「ワクチン・トラベル・レーン(VTL)
制度」を開始する方針。事前のワクチン接種完了とRT-PCR検査(渡航2日前、到着時)による陰性確認を条件に、互いに隔離免除で入国可能とする予定(クルンテープトウラキット)。
また、政府は国内でも、4月の「ソンクラン(タイ旧正月による連休)」期間中、特段のイベント自粛制限を設けず、国内旅行も許可する方針。国民に対しては、3回目のワクチン接種を強く推奨(クルンテープトウラキット)。
○ベトナム
保健省は3月9日、1日当たりの新規感染者が16万4,576人(入国者、計上漏れの追加を除く)で過去最多と発表。ベトナムでは2月のテト(旧正月)以来、首都ハノイ市を中心に感染拡大が続いている(保健省機関紙「健康と生活」)。特に3月5日時点では、ハノイ市内30地区のうち20地区でオミクロン株が検出され、うち87%がBA.2型だった(VNエクスプレス)。
ファム・ミン・チン首相は保健省に対し、適切かつ効果的な措置を講じつつも、新型コロナウイルスをエンデミック(一定の季節や地域に流行する感染症)と見なすよう検討を指示(2022年3月9日記事参照)。
また、保健省は3月5日、毎日公表している感染者数について、感染リスク評価を構成する8つの指標の1つにすぎず、感染状況の実態を必ずしも反映していないことから、人々の混乱を避けるため、公表を取りやめることを提案した(2022年3月10日記事参照)。
○ラオス
政府は3月1日、新型コロナ禍の出入国に関する首相府令を公表。外交官・国際機関職員、外国人専門家、技術者、労働者などを対象に、入国後48時間以内に判明するRT-PCR検査で陰性ならば、自宅などと勤務地の往来を許可(2022年3月7日記事参照)。
なお、各国の感染状況、現地の行動制限、空港の再開状況、経済活動の制限などについては、アジアにおける新型コロナウイルス対応状況でも直近の状況をまとめている。
(田口裕介)
(タイ、ベトナム、ラオス)
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