新型コロナを通常感染症に、ベトナム首相が検討を指示

(ベトナム)

ホーチミン発

2022年03月09日

ベトナムのファム・ミン・チン首相は3月3日、政府の月例会議で保健省に対して、「ウィズ・コロナ」期のニューノーマル(新常態)に向けて、適切かつ効果的な措置を講じるとともに、新型コロナウイルスを「エンデミック」(一定の季節や地域に流行する感染症)とみなすことについて、検討を指示した。同日付の政府公報などが伝えた。

月例会議では、新型コロナウイルス感染対策の基準を盛り込んだ政府決議128号(128/NQ-CP)(2021年10月19日記事参照)の運用開始以来、新型コロナウイルスによる感染者当たりの死亡率は低く抑えられ、ワクチン接種が進み(注)、社会・経済的発展について成果が上がっていることから、感染予防・管理措置は明らかに効果があったと評価された。また、国民は共産党および政府による指針、政策を信頼・賛同しており、感染予防・管理措置に対する満足度は96%に達しているという調査結果が報告された。

他方で、保健省は、新型コロナウイルスの感染状況は依然として複雑で、世界保健機関(WHO)や諸外国が、2023年までは流行を十分には管理できず、特にオミクロン株など変異株の潜在的なリスクは見通せないと評価していると指摘している。また、ベトナム国内で新型コロナウイルスの流行は継続しており、特にハノイ市や北部の地方省では、市中感染による感染事例も多く発生している。さらに、地方省によっては、ワクチン接種が進んでおらず、また、治療薬や検査キットが通常価格から乖離する状況も発生している。

チン首相は、月例会議での報告を受け、締めくくりに際し、関係省庁や地方政府などに対して、感染状況を注視し、感染予防・管理対策を着実に実行するよう指示した。また、保健省に対しては、感染状況を正確に評価し、国内の集団免疫の獲得状況について調査・評価し、新型コロナウイルスと共生しつつ、正常化を進めるための適切かつ効果的な措置について海外の知見を参照の上、新型コロナウイルスを「エンデミック」とみなすことについて検討を指示した。

(注)月例会議における保健省の報告によれば、感染者当たりの死亡率は、決議128号の運用開始前の2.45%から1.54%に減少。

ワクチンについては、2億1,800万回分を調達し、2億200万回を接種済み。接種回数ごとの接種率については、18歳以上が1回目(100%)、2回目(97.9%)、3回目(34.5%)。12~17歳の子供が1回目(98.7%)、2回目(93.3%)。

(比良井慎司)

(ベトナム)

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