華東地域3省、2021年のGRP成長率は8%台

(中国)

上海発

2022年02月10日

中国の華東地域3省(江蘇省、浙江省、安徽省)の各統計局の発表(注1)によると、2021年の各省の域内総生産(GRP)は、江蘇省が前年比8.6%増の11兆6,364億元(約209兆4,552億円、1元=約18円)、浙江省が8.5%増の7兆3,516億元、安徽省が8.3%増の4兆2,959億元となった(上海市の統計は2022年1月28日記事参照)。

3省の成長率は、いずれも中国全体の成長率(8.1%)を上回った。固定資産投資や都市部住民可処分所得などの経済指標でも、中国全体の伸びを上回った(詳細は添付資料表参照)。

3省の統計局は、2021年について「経済が安定的に回復し、良い方向に向かっている」(江蘇省)、「複雑に変化する外部環境のなか、経済は安定しており、強靭(きょうじん)性と活力がさらに高まっている」(浙江省)、「安定を維持しつつ政策の実行力を強化し、持続的な経済回復を推進している」(安徽省)と、それぞれ経済の安定的な回復に言及する一方、3省とも「外部環境は依然として複雑」との認識を示した。

江蘇省は、2022年の目標について、GRP成長率を5.5%以上、社会消費品小売総額の伸び率を6.5%、住民1人当たりの平均可処分所得の伸び率をGRP成長率目標と同じ5.5%に設定した。その上で、2022年の重点項目として、内需拡大による安定した経済の発展の推進、デジタル経済の発展の加速化、長江デルタ一体化(注2)のさらなる推進などを挙げた。

浙江省は、2022年の目標について、GRP成長率を6%前後、住民1人当たりの収入の伸び率を経済成長率と同水準、消費者物価指数(CPI)の上昇率を3%前後としている。2022年の重点項目として、地域的な包括的経済連携(RCEP)の活用促進などによる対外貿易の安定的発展、低炭素ライフスタイルの推進などを挙げた。このほか、中国の中でも先行的な取り組みとして注目を集める共同富裕モデル区(注3)の推進に向けては、医療、介護、保育、教育施設の拡充や職業訓練の実施など、民生面の施策に重点的に取り組む方向性を示した。

安徽省は、2022年の目標について、GRP成長率を7%、固定資産投資の伸び率を10%以上、社会消費品小売総額の伸び率を9%前後の増加、住民の可処分所得の伸び率を都市部で8%、農村部で10%と設定している。産業別では、第一次産業では農業の機械化、科学技術の導入促進、第二次産業では製造業の競争力の向上、第三次産業では現代的サービス産業体系の構築加速化などを挙げた。

(注1)江蘇省は1月25日、浙江省は1月24日、安徽省は1月24日に発表。

(注2)長江デルタ一体化は、2003年に浙江省書記(当時)の習近平・現国家主席が提唱した構想で、上海市と江蘇省、浙江省、安徽省を中心とした長江デルタ地域の一体的な発展を目指す、中国の地域発展計画の1つ。2019年12月に「長江デルタ区域一体化発展計画網要」が発表された(2019年12月23日記事2020年6月15日記事参照)。

(注3)共同富裕は、全ての人々が勤勉と相互扶助、つまり(貧富の)二極化の解消と貧困の撲滅による普遍的な繁栄を通じて、最終的に十分な生活水準を達成できることと定義されており、浙江省は2021年6月に国務院により共同富裕モデル区に指定された(2021年10月22日付地域・分析レポート参照)。

(侯恩東)

(中国)

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