新型コロナ警戒レベルを引き下げ、陸路での出入国を再開

(モンゴル)

北京発

2022年02月25日

モンゴル政府は2月14日に臨時閣議を開き、新型コロナウイルスに関する高度警戒準備態勢の警戒レベルについて、上から2番目に厳しいレベル3(オレンジ、注1)からレベル2(黄色)へ引き下げることを決定した。

閣議後の記者会見でロブサンナムスライ・オヨーンエルデネ首相は、国内のワクチン接種状況(注2)と感染リスク評価に基づき、2021年6月に制限を解除していた空路での出入国に続き、ロシア、中国との間で陸路での出入国を解禁すると発表した(注3)。

オヨーンエルデネ首相は「モンゴルは新型コロナのワクチン接種を終えている投資家や観光客の受け入れ準備はできている。仮にワクチン未接種であっても、モンゴルで接種を受けることができる」と述べた(注4)。なお、中国やロシアとの国境検問所については、感染対策のために現行の高度警戒準備態勢を継続しつつ、輸出入の正常化を確実にするとした(注5)。

また、オヨーンエルデネ首相は国民や企業に対して、新型コロナウイルス感染が完全に収束していないため、今後も積極的にワクチン接種を行い、マスク着用とソーシャルディスタンスの確保、手指の消毒などの感染対策を励行するよう呼び掛けたほか、「今後も『新復興政策』(注6)の下、パンデミックによって失われた機会を取り戻し、経済を活性化し、投資を増やすというモンゴル政府の立場を堅持し続ける」と表明した。

モンゴルの新型コロナウイルスの累計感染者数は2月21日時点で46万1,218人、死者は2,087人となった。オミクロン株の感染拡大により、1月には1日当たりの新規陽性者数が3,000人を超える日もあったが、2月以降は減少傾向にある(2月21日の新規陽性者数は309人)。

(注1)モンゴル政府は2021年2月22日の臨時閣議で、それまで3段階だった新型コロナウイルスに関する警戒レベルを4段階(警戒レベル4:赤、警戒レベル3:オレンジ、警戒レベル2:黄色、警戒レベル1:緑)に分類・色分けし、それぞれの移行基準や行政機関、国民、企業に対する制限措置を定めた(2021年2月25日記事参照)。

(注2)2月14日時点のワクチン接種状況は、1回目接種済みが227万398人(全人口の69.8%)、2回目接種済みが217万1,647人(同66.7%)、3回目接種済みが101万4,148人(同31.2%)、4回目接種済みが9万96人(同2.8%)となっている。

(注3)2月6日のモンゴル・中国首脳会談で中国からの投資受け入れ拡大に合意したことが背景にあるとみられる(2022年2月10日記事参照)。

(注4)モンゴルでは1月7日から、3回目の新型コロナワクチン接種から3カ月以上経過した18歳以上の希望者に対し、4回目の接種を開始(2022年1月20日記事参照)。

(注5)モンゴルと国境を接する中国・内モンゴル自治区のエレンホト税関は2021年10月14日以降、エレンホト市内での新型コロナウイルス感染者発生を理由にトラックによるモンゴルとの間の越境輸送を完全に停止させたため、モンゴル国内では食品などの物価上昇といった影響がみられた(2021年11月24日記事参照)。報道によると、2022年1月以降トラックによる越境輸送は少しずつだが、再開されている(「eagle.mn」2月16日)。

(注6)モンゴルの新型コロナウイルスからの経済再建を目指す政策。2021年12月31日のモンゴル政府の発表によると、(1)国境通関、(2)エネルギー、(3)産業、(4)首都と地方、(5)グリーン開発、(6)行政の効率化の6分野で、当初予算として57兆トゥグルク(約2兆2,800億円、1トゥグルク=約0.04円)、最終的には総額100兆~120兆トゥグルクの予算を計上する予定となっている。

(藤井一範)

(モンゴル)

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