トラックの越境輸送停止によりモンゴル輸入品価格が上昇、国産品にも影響
(モンゴル、中国)
北京発
2021年11月24日
新型コロナウイルスの影響による中国とのトラック輸送などの停止により、モンゴルの輸入食品の価格が上昇している。モンゴル国家統計局が11月12日に発表した週間物価調査レポートによると、11月10日時点で、モニタリングしている主な輸入食品の価格は前月比2.3~25.5%、前年同期比では7.1~77.2%とそれぞれ上昇した(添付資料図参照)。
モンゴルと国境を接する中国内モンゴル自治区のエレンホト税関は、10月14日以降、同自治区エレンホト市内での新型コロナウイルス感染者発生を理由に、トラックの越境輸送を完全に停止させた。その影響で、モンゴル国内では輸入食品の品薄状態が続いている(「ウヌードゥル」11月11日)。その後、鉄道による輸送は再開されたが、トラック輸送は11月15日現在も停止したままで、再開時期は不明という(「news.mn」11月8日)。
トラックの越境輸送停止の影響は、国産食品や製品にも及んでいる。国産のジャガイモ、ニンジン、キャベツは前月比2~3倍の水準に値上がりし、国内で製造されているパン、牛乳・乳製品などは、包装資材(プラスチック容器、ガラス瓶など)を中国からの輸入に依存しているため品薄になっている(「ウヌードゥル」11月11日)。
こうした商品の供給減少や価格上昇を緩和するため、モンゴル政府は11月8日から、エレンホト市から生鮮野菜・果物を鉄道で輸送する対策を開始した。その結果、翌9日には、コンテナ7本(30種類の生鮮野菜計150トン、17種類の果物計100トン)がウランバートルに到着した。また、モンゴル食料農牧軽工業省は、中国当局にコンテナ60本分の生鮮野菜や果物の輸送を依頼したと発表した。こうした当局の対応により、11月16日現在、ウランバートル市内のスーパーマーケットでは、店頭から一時消えていたレタス、ブロッコリーなどの葉物野菜やバナナ、ブドウなどの果物が再び店頭に並ぶようになった(「ウヌードゥル」11月11日)。
(藤井一範)
(モンゴル、中国)
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