スマートシティーのオラデア市、インフラ整備計画説明、EU基金の一層の活用に意欲

(ルーマニア)

ブカレスト発

2022年01月25日

ルーマニア北西部、人口約22万人のオラデア市でEU基金を活用したスマートシティー化をリードするシティーマネジャー(副市長に次ぐ要職)のミハイ・ジュルカ氏が1月14日、在ルーマニア日本商工会のオンライン月例会合に招かれ、今後のインフラ整備計画を解説した。

ジュルカ氏によると、新病院建設のため2022年内に3,000万ユーロの公共調達入札を予定しているという。また、エストニアを参考にした行政サービスの電子化や、信号機が救急車の通過に合わせて稼働する交通映像分析システム、街路灯の自動調光、高速道路、公共交通、ソーラーパネルを屋根に備えた公共駐車場の整備を今後予定しているとした。100年以上前から地熱を地域暖房に利用しているオラデア市では、地下1,260メートルからくみ上げている90度の熱水を利用した地域暖房が現在需要の7%を賄っているが、これを25%まで拡張するため、コージェネレーション(熱電併給)発電所の建設を予定している。

オラデア市はインフラ整備に2008年からEU基金を累計1億5,000万ユーロ以上獲得してきた。欧州投資銀行(EIB)は2008年、ルーマニアの行政単位向けとしては初めてとなる融資で路面電車の車両調達を支援した。2015年には同市の都市交通網整備のため5,760万ユーロを融資した。

ジュルカ氏は、ソフトとハード両面にわたる多くのインフラ整備計画をどのように分割・予算建てして公共調達入札を実施するかについて検討段階にあり、より多くのEU基金を活用するためにも、日本のエンジニアリングの積極的なアプローチを歓迎すると述べた。ジェトロはルーマニアにおける公共調達ガイド(2018年2月)でインフラ参入の参考情報を提供している。

国境に近いオラデア市は、ハンガリー第2の都市デブレツェンまで自動車で約90分の距離にある。「PressOne」誌が2020年に最も住みやすい国内都市を読者投票で調査した結果、観光地としても名高いシビウやブラショフを抑えて、オラデアが1位を獲得した。生活の質(QOL)や治安、行政のスコアが高かった。

ルーマニアでのEU基金プロジェクトや日本企業のインフラ参画の動きについては2021年6月17日記事2021年9月1日記事2021年10月6日記事2021年11月9日記事2021年12月3日記事2021年12月16日記事参照。

(西澤成世)

(ルーマニア)

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