IHIが建設するドナウ川下流つり橋、キャットウォークが完成

(ルーマニア)

ブカレスト発

2021年09月01日

ルーマニア東部のブレイラ県とトゥルチャ県の間を流れるドナウ川下流で建設が進められている、つり橋のキャットウォーク(注)の完成披露式典が8月26日、開催された。同プロジェクトは、IHIインフラシステムとアスタルディ(イタリア)の合弁企業がジョイントベンチャーとして手掛けている。式典は日ルーマニア外交関係樹立100周年記念行事の一環として開催され、日本側からは植田浩特命全権大使、ルーマニア側からはアンカ・ダナ・ドラグ上院議長、ダン・バルナ副首相が祝辞を述べた。

同合弁企業は、2018年1月に同プロジェクトを政府から受注した。全長1,974.3メートル、片側2車線のつり橋で、総工費は約20億レイ(約520億円、レイは通貨単位レウの複数形、1レウ=約26円)。メインスパン(中央径間)は1,120メートルで国内最長、EU域内では3位、世界でも24位の長さを誇る。2022年内に完成の予定だ。建設資金の75%はEU大規模インフラ運用プログラム(Large Infrastructure Operational Programme)が充てられている。メインケーブルとハンガーケーブルは、品質確保のため全量を日本から海上輸送した。メインケーブルの総重量は6,800トンに上り、30回に分けられて輸送されたという。

ルーマニア政府は2021年5月31日に、総額293億8,800万ユーロ規模の「国家復興・レジリエンス計画(PNRR)」を提出した(2021年6月17日記事参照)。同計画の一環として、交通インフラの拡充が見込まれている。IHIインフラシステム海外プロジェクト室の社浦潤一部長は「2016年にトルコのイズミット湾横断つり橋(全長2,682メートル)を完成させてからわずか2年後にこのプロジェクトを受注できたこともあってか、EU域内の政府関係者による視察が最近増加している。ブカレスト支店は当社のEU域内唯一の支店だが、EU域内でプロジェクト受注活動を進める上でも不可欠な拠点だ」と話した。

写真 式典会場から望む、つり橋建設の様子(ジェトロ撮影)

式典会場から望む、つり橋建設の様子(ジェトロ撮影)

(注)メインケーブルを架設するための空中作業足場。

(西澤成世)

(ルーマニア)

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