イスラエルの国会に相当する「クネセト」が2021年度および2022年度予算を可決

(イスラエル)

テルアビブ発

2021年11月09日

11月4日付のイスラエル現地紙「グローブズ」は、イスラエルの国会に相当するクネセトが11月3~4日未明にかけて2021年度および2022年度予算の審議を行い、関連法案も含めて全て可決したと報じた。イスラエルでは、2019年から計4回にわたって総選挙が行われてきたが(注1)、期限内の組閣不調によるクネセトの再解散や、組閣されて予算案がクネセトに提出されたものの、期限内の予算案審議未了による解散(2020年12月25日記事参照)などの事態があり、この間、予算案は可決されないままとなっていた。

11月4日付「タイムズ・オブ・イスラエル」紙によれば、予算額は2021年度予算が6,090億シェケル(約22兆5,330億円、1シェケル=約37円)に対して、2022年度予算は5,629億シェケル(約20兆8,273億円)となっている。

同報道によれば、あわせて13の主要な経済社会指標が設定された。主な内容としては、生活物資の価格低下を目指し、財の輸入における基準認証について新たな国内基準を設けることなく既存の国際標準を導入することで、国内における規制当局の審査などを簡略化することや、農業分野における国内産業の国際競争力強化のための輸入の自由化と政府による財政支援・農業技術などの高度化支援、銀行・金融セクターの寡占抑止、規制緩和と運営主体の民間部門への開放による公共交通機関サービスの拡充、再エネを含めたグリーン発電の普及および電動車両への切り替えやグリーンインフラプロジェクトへの投資拡充を中心としたクリーンエネルギーへの転換、ハイテク産業におけるさらなる産業育成(国家人工知能計画の承認、税制緩和、海外流出した技術者の国内還流やアラブ人技術者の雇用拡大を含めた研究開発人材の確保(注2)、コーシャ認証制度の見直し・組織化の強化による認証コストの低減などがある。

今回、予算案がクネセトで可決された背景には、8党からなる連立政権(2021年6月16日記事参照)におけるアラブ政党ラアムの協力がある。予算案は61対59(定数120)の僅差で可決されており、閣外協力を続けるラアムの協力なしには可決されなかった。予算案採決に先立つ10月24日付「タイムズ・オブ・イスラエル」紙は、同案に5年間で総額約320億シェケルに上るイスラエル国内のアラブ人コミュニティへの教育、保健医療、犯罪抑止などの諸政策実施に係る財源配分が含まれる、と報じており、連立政権内部で予算案成立に向けた諸派間の交渉があったことがうかがえる。

(注1)これまでの総選挙については、2019年4月11日記事2019年5月31日記事2019年12月13日記事2021年3月26日記事をそれぞれ参照。

(注2)イスラエルのハイテク産業では、恒常的な研究開発人材の不足が問題となっている。

(吉田暢)

(イスラエル)

ビジネス短信 780d8d316c02398a