総選挙結果、右派連合によるネタニヤフ政権続投の見込み

(イスラエル)

テルアビブ発

2019年04月11日

イスラエルで第21回イスラエル議会選挙が4月9日に実施された。2015年以来4年ぶりで、定数は120議席(一院制)、全国1区の比例代表制(拘束名簿式)。

中央選挙委員会によると、4月10日午前の段階では、現与党「リクード」(党首:ネタニヤフ首相)と、野党「青と白」連合(ガンツ元軍参謀総長とラピド元財務相の政党による連合)が105万票で並び、ともに35議席を獲得する見込み(「ハアレツ」紙電子版4月10日)。正式な結果発表は11日以降となる予定だ。「青と白」連合も多くの支持を得たが、リクードを中心とする右派連合が議会の過半数を維持し、ネタニヤフ首相が続投する可能性が高い。

改選前(2017年時点)に連立政権を組んでいた各党の議席数の変化は表のとおり。改選後は計60議席に減少したが、これに5議席を獲得した「統一右派」が加わると65議席となり、定数120の議会で過半数を維持できる。

表 連立政権を組んでいた政党の議席数の変化(4月10日時点)

投票率は、前回72.34%から7ポイント以上減少の64.65%だった(開票分のみ)。約634万人の有権者のうち408万人以上が投票した。各党が議席を獲得するには、得票率3.25%以上が必要となる。

今回の総選挙では、連立与党勢力が過半数の議席を獲得しネタニヤフ首相が続投するのか、「青と白」連合を中心とする中道・左派の野党勢力が議席を獲得し政権交代につながるのかが焦点となっていた。

検察は2月末、通信大手企業への便宜提供に係る汚職疑惑で、ネタニヤフ首相を収賄罪などで起訴する方針を公表。選挙前の世論調査では、首相が率いる与党リクードの苦戦を予想する声が上がっていた。

選挙戦の終盤、ネタニヤフ首相は3月下旬にワシントンでトランプ米大統領、4月上旬にはモスクワでプーチン大統領と会談。トランプ大統領によるゴラン高原のイスラエル主権承認、ロシアとはレバノン紛争での不明兵士の遺骨返還などの成果を国民にアピールし、支持を訴えていた。

選挙後、リブリン・イスラエル大統領が議席を獲得した政党党首と面談して連立協議について聴取を行い、首相候補として組閣担当者を指名する。右派が過半数を取る見込みが高いことから、ネタニヤフ首相続投との見方が多い。

(余田知弘)

(イスラエル)

ビジネス短信 1ff801f37e254ddf