連立協議が不調、9月に再び総選挙実施

(イスラエル)

テルアビブ発

2019年05月31日

イスラエル議会が5月30日で解散となり、9月17日に総選挙が再び実施される。4月の総選挙後から続いていた連立交渉で政党間の合意が形成できず、5月29日に組閣の期限を迎えたためだ。総選挙で第1党となった政党が組閣できず、再選挙となるのはイスラエル建国史上初めてとなる。

4月9日に実施された第21回イスラエル議会選挙を受け、ルーベン・リブリン大統領は4月17日にベンヤミン・ネタニヤフ首相に組閣を要請(2019年4月19日記事参照)。選挙前に与党であった「リクード」を率いるネタニヤフ氏が連立政権樹立のため、他の右派勢力との協議を続けてきた。当初は5期目となるネタニヤフ政権の誕生が確実視されていたものの、協議は不調に終わった。このため、議会の解散と、次回の総選挙の実施日程を9月17日とすることが、30日未明に賛成多数で可決された。

人口の約10%を占める超正統派のユダヤ教徒(ユダヤ教神学校生徒)は徴兵を免除されている。定数120議席のうち5議席を獲得した極右政党イスラエル・ベイテイヌの党首アビグドール・リーベルマン前国防相は、連立入りの条件としてこの免除制度を廃止する法案成立を求め、廃止に反対する複数のユダヤ教政党と対立した。

イスラエルでは、政党が単独で過半数の議席を獲得することは容易ではないため、超正統派のユダヤ教徒の支持を受ける右派宗教政党の取り込みが連立与党の形成には不可欠だ。

次回の総選挙後も連立協議が行われるが、組閣がまとまるのは10月後半になる可能性がある。

(余田知弘)

(イスラエル)

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