米カリフォルニア州日系企業、新型コロナ後も過半数がリモートワーク活用へ

(米国)

サンフランシスコ発

2021年03月22日

ジェトロが全米の日系企業を対象に実施した、新型コロナウイルスワクチン接種方針や感染終息後の勤務体制に関するアンケート調査(2021年3月12日記事参照)では、カリフォルニア州所在企業189社から回答を得た(注1)。同州企業の回答概要は以下のとおり。

新型コロナウイルス終息後の勤務体制について、「主に事業所出勤とし、リモート勤務も一部実施」(27.0%)、「リモート勤務と事業所出勤を同じ頻度・割合で実施」(14.3%)、「主にリモート勤務とし、事業所出勤も一部実施」(9.5%)を合わせた回答は50.8%に達し、オフィスとリモートを併用する企業が過半数となった(全米平均:45.5%、添付資料図参照)。ジェトロが2020年11月に同州所在日系企業を対象に実施した同様のアンケート調査(2020年12月4日記事参照、注2)でも、55%が同様の方針を掲げていた。同州企業の半数は引き続き、「新型コロナ禍」後の勤務体制がオフィス出社とリモート勤務のハイブリッド型になると想定している(注3)。

一方、今回の調査で、「原則として全従業員が事業所に出勤」との回答は30.7%にとどまった(全米平均:40.1%)。ただ、その割合は11月時点からは約7ポイント上昇している。「方針を決めていない」は14.8%で、11月時点から約4ポイント低下した。

回答企業からは勤務体制に関して、「リモートワークによる一部従業員への業務負荷(集中)をどのように軽減させるか」「学校が対面授業に戻らない限り、子供のいる従業員の出社は見込めない」「今後もリモートワークを続ける上で、マネジメント層の教育と育成が急務」などの課題が挙がった。

従業員へのワクチン接種方針については、「原則として推奨」が38.1%と最も多かった。同回答割合は、全米平均(33.1%)に比べやや高い結果となった。「原則として任意」は32.3%、「方針を決めていない」は29.1%だった。回答企業の中には、「ワクチン接種後の勤務体制の方針を作成する際にどのような点を考慮すべきか」など、ワクチン接種の有無が勤務形態に与える影響を気にする声もあった。

カリフォルニア州におけるワクチン接種対象者は3月15日時点で、(1)医療従事者、長期介護施設入居者(計300万人)、(2)65歳以上の高齢者、農業・食品業、教育・児童施設、緊急サービス従事者(計1,200万人)、(3)慢性腎臓病など新型コロナウイルスに感染した場合に重症化リスクの高い16~64歳の人など(計440万人)となっている。なお、学校の対面授業の再開促進などの目的で、同州公衆衛生局は2月26日、州が各郡に配分する1回目の接種用のワクチンについて、10%を教育・児童施設従事者に充てる方針を示している。同州では3月18日時点で、全住民の11%がワクチン接種を完了している。

(注1)調査期間は3月1~5日。回答企業には、現地在住の日本人が起業した会社など、日本に本社を構える企業の現地法人以外も含まれる。

(注2)今回のアンケート調査の設問における「事業所」は、2020年11月のアンケート調査の「オフィス」に相当。

(注3)カリフォルニア州所在の米国企業の間でも、ハイブリッド型の勤務体制を定着させる動きがみられている。例えば、顧客管理(CRM)プラットフォーム大手、セールスフォース・ドットコムは、新型コロナウイルス感染拡大が収束した後も、大半の従業員を対象に、永続的な在宅勤務とオフィスへの出勤を併用した働き方を採用すると発表している(2021年2月16日記事2021年3月15日記事参照)。

(石橋裕貴)

(米国)

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