米セールスフォース、サンフランシスコのオフィス縮小へ

(米国)

サンフランシスコ発

2021年03月15日

米国カリフォルニア州サンフランシスコ市に本社を構える顧客管理(CRM)プラットフォーム大手のセールスフォース・ドットコムが同市内中心部に建設予定の高層オフィスビル(通称「トランスベイ・パーセルF」、以下、パーセルF)のリース契約を撤回したと、「サンフランシスコ・ビジネス・タイムズ」紙電子版(3月8日)など現地メディアが報じた。この契約は2018年に締結したもの。報道によると、同市の土地利用・運輸委員会で3月8日、パーセルFのデベロッパーが「当初のリース契約はもはや手中にない」と発言したという。

セールスフォースは、サンフランシスコ市内に複数ある拠点の1つとして、パーセルFの32万5,000平方フィート(約3万平方メートル)のオフィススペースをリースする予定だった。同紙によると、同社は市内で民間企業として最多の従業員数(9,450人、2021年1月時点)を抱えている。

セールスフォースによるオフィス縮小の動きはこれにとどまらない。サンフランシスコ市内の本社に隣接する別拠点(通称「セールスフォース・イースト」)のスペース、45万平方フィートのうち、約半分をサブリース(転貸)する予定だと現地メディアが報じている(「サンフランシスコ・クロニクル」紙電子版3月10日)。

同社は2月に大半の従業員を対象に、永続的な在宅勤務とオフィスへの出勤を併用したハイブリッドな働き方の採用を発表していたが、オフィススペースの縮小については詳細を明らかにしていなかった。サンフランシスコでは、新型コロナウイルス感染症拡大に伴って在宅勤務が広く浸透したことにより、セールスフォース以外にも、拠点を縮小する企業が増えている(2021年2月16日記事参照)。

また、同市内では賃貸住宅市場の冷え込みも続く。新型コロナウイルス感染拡大に伴い、2020年秋には家賃(注)が前年同月比20~30%減を記録した(2020年10月21日記事参照)。賃貸物件サイトのアパートメントリストによると、2月のサンフランシスコ市内1ベッドルームの家賃(月額)中央値は同26%減の2,010ドルにとどまっている。他方、北カリフォルニア沿岸部から離れた郊外都市では家賃上昇が目立つ。賃貸物件サイトのザンパーによると、2月の1ベッドルーム家賃中央値はサクラメント(1,430ドル)では同10%、農業地帯として知られるセントラルバレーに位置するフレズノ(1,120ドル)では同13%上昇している。

(注)スタジオ(ワンルーム)、1ベッドルーム、2ベッドルームの住居。

(田中三保子)

(米国)

ビジネス短信 aa8ea0d5a19950a6