米セールスフォース、新型コロナ収束後もハイブリッドな働き方を採用

(米国)

サンフランシスコ発

2021年02月16日

米国カリフォルニア州サンフランシスコに本社を構える顧客管理(CRM)プラットフォーム大手、セールスフォース・ドットコムは2月9日、新型コロナウイルス感染拡大が収束した後も、大半の従業員を対象に、永続的な在宅勤務とオフィスへの出勤を併用したハイブリッドな働き方を採用することを発表した。

同社によると、全世界で従業員の大半は顧客ミーティングなどのスケジュールに応じて週に1~3日のみオフィスに出社し、オフィスから離れた場所に住む従業員や、オフィスでなくとも業務遂行が可能なポジションの従業員は完全リモート勤務が認められる。週に4~5日オフィスに出社する従業員は少数派となる。これらの勤務スタイルの導入について同社は、新型コロナウイルス感染拡大の初期に行った従業員アンケートで、約半数の従業員が月に数回のみオフィスへの出社を望む一方で、8割がオフィスへの出勤も維持したいと回答したことに基づく決定としている。現在のオフィススペースについては、従来の机が一面に並ぶようなレイアウトではなく、よりハイブリッドな働き方に対応できるよう再設計する。

同社の今回の方針は、サンフランシスコ市中心部に61階建ての高層社屋を建設するなど、社屋面積を拡大してきたこれまでの流れからすると大きなシフトだ。同社は、オフィス縮小については見解を示していないが、現地メディアは、新型コロナウイルス感染拡大からのサンフランシスコ市の経済復興に対する影響に懸念を示している。

新型コロナウイルス感染拡大に伴い、在宅勤務はより広く浸透しており、セールスフォース以外にも、コスト高のサンフランシスコ・ベイエリアでオフィススペースを再考したり、他州へ移転したりする企業が増え始めている(2020年9月4日記事12月21日記事参照)。オンライン・レビュー・プラットフォーム大手のイェルプは、在宅勤務の拡大に伴い、サンフランシスコ市中心部のビル内10フロア以上、約16万平方フィート(約1万5,000平方メートル)に広がる本社オフィスを縮小する予定だ(「サンフランシスコ・ビジネス・タイムズ」紙電子版2月3日)。同社は、今後も同市内に本社を残す方針だが、どのくらいの規模になるのか、現在のオフィススペースの一部に残すのかなど詳細は明らかにしていない。イェルプ以外にも、コワーキングスペースを運営するウィワーク(WeWork)がベイエリア内の複数オフィスを閉鎖することが、現地メディアで報道されている。

不動産サービス大手CBREによると、2019年第4四半期にわずか3.7%だったサンフランシスコ市内のオフィス空室率は、2020年第4四半期には16.9%にまで上昇している。

(田中三保子)

(米国)

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