第3四半期のGDP成長率、前期比年率66.1%、経済活動再開を受け大幅なプラス成長

(南アフリカ共和国)

ヨハネスブルク発

2020年12月10日

南アフリカ共和国統計局は12月8日、2020年第3四半期(7~9月)の実質GDP成長率(前期比、年率換算、季節調整済み)を66.1%と発表した(添付資料表1参照)。プラス成長となるのは2019年第2四半期(4~6月)以来、5期ぶり。新型コロナウイルス感染拡大に伴って3月末から開始されたナショナル・ロックダウンによる経済活動の大規模な制限により、2020年第2四半期は史上最悪となるマイナス51.7%(2020年9月10日記事参照)を記録したが、8月以降の感染拡大の鈍化と経済活動の再開(2020年11月13日記事参照)により、大きく回復した。

産業別では、製造業が活動再開を受けて210.2%となり、GDPの寄与度も最大となった。6月に新型コロナウイルスの警戒レベルが3(最大レベルは5、2020年6月2日記事参照)に引き下げられるまで、出勤・生産が厳しく制限されていた。鉱業も主要鉱物のプラチナや鉄鉱石の生産回復を受けて288.3%と大きくプラスに転じ、個人消費の回復を受けて卸・小売り・飲食業なども137.0%となるなど、全ての産業がプラス成長となった。

需要項目別では、需要全体の約6割を占める民間最終消費支出(添付資料表2参照)が経済活動や行動の制限緩和を受けて大きく回復し、69.5%となった。特に交通や酒類・たばこ、食品・非アルコール飲料などの非耐久財の支出が活動制限の緩和も手伝って大幅に増加した。輸出も主に自動車や輸送機器、貴金属などの輸出の回復により大きく伸び、201.4%となった。総固定資本形成も建設工事の再開や、それに伴う機械などの設備投資の回復により、26.5%となった。

経済活動の再開を要因として今期は大きくプラス成長となったが、ロックダウンによる経済への影響は甚大で、南ア財務省は10月、2020年のGDP成長率はマイナス7.8%に悪化するとの見通しを示している(2020年11月4日記事参照)。また、経済活動の再開に伴い、11月後半から国内の一部地域で感染の再拡大がみられ(2020年12月7日記事参照)、政府も制限の強化に乗り出していることから、今後の経済への影響も懸念される。

一方、現地大手銀行ネドバンクのリサーチチームは12月8日、経済の回復速度はかなり緩やかながらも、2020年第4四半期(10~12月)も3.0%前後のプラス成長に正常化するとし、2020年通年のGDP成長率の予測をマイナス8.0%から、マイナス7.2%に上方修正した。

なお、国内での新型コロナ感染拡大が始まった3月以降、急落した通貨ランド(対米ドル)、ヨハネスブルク証券取引所上位40社指数、南ア10年国債年利利回りなどは新型コロナウイルス感染による影響の前の水準におおむね回復している(ブルームバーグなど)。

(高橋史)

(南アフリカ共和国)

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