海外渡航の制限緩和、全ての国の出入国が可能に

(南アフリカ共和国)

ヨハネスブルク発

2020年11月13日

南アフリカ共和国のシリル・ラマポーザ大統領は11月11日、新型コロナウイルス感染対策の進捗に関する国民演説外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを行い、11月15日で期限を迎える予定だった、災害対処法に基づく「国家的災害事態(2020年10月21日記事参照)」を12月15日まで延長すると発表した。

ラマポーザ大統領は冒頭、世界は今も新型コロナウイルス大流行の真っただ中にあり、多くの国が感染の第2波への対応と再度の経済活動の制限を強いられている、と強調。他方で南アは、7月に1日平均約1万2,000人の新規感染者を記録したものの(2020年7月30日記事参照)、直近2カ月以上にわたり1日当たり感染者は2,000人を下回り、死者数および新規入院患者数も減少を続けているとし、国内の感染状況は諸外国の流れとは逆に、減速傾向にあると説明した。しかし、いまだに多くの人々が日々感染しており、特に東ケープ州において感染の再拡大がみられることに懸念を示した。また、これからクリスマス休暇にかけて観光や帰省などで多くの人々が国内を移動する時期となることから、国民にあらためてマスクの着用とソーシャルディスタンスの確保、南ア版新型コロナウイルス接触確認アプリ(2020年9月8日記事参照)の積極活用を呼び掛けた。

個々人の責任による感染対策の徹底を求める一方で、経済活動を迅速かつ安全に正常化する時期が来たとし、これまで制限が課せられていた酒類の店頭販売の通常営業の許可(これまでは平日のみ販売可能だったが、土日にも拡大)、および全ての国との海外渡航の再開を発表した。

南ア政府は10月1日から、感染拡大が続く欧米諸国などの「高リスク国」を除く国への渡航を認めていたが(2020年10月2日記事参照)、今回の発表により、出発72時間前までに取得した新型コロナウイルス陰性証明書を提示できれば、いかなる国からの出入国も認められることとなった。酒類販売および海外渡航の制限の緩和に関しては、即日官報PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)に詳細が掲載された。特に国際観光都市ケープタウンを中心とする西ケープ州は、3月末に始まった南アの国境閉鎖以降、欧米諸国などからの観光客の激減により主要産業の観光業が大きな打撃を受けていることから、1年でもっとも書き入れ時となる年末の休暇シーズンを前に、渡航制限緩和に踏み切ったものとみられる。

(高橋史)

(南アフリカ共和国)

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