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在米日系企業の黒字見込みはリーマン・ショック後以来の低水準、ビザ制限の影響も広がる

(米国)

米州課

2020年12月22日

ジェトロは12月22日、2020年9月に実施した海外進出日系企業実態調査の北米編を発表した。新型コロナウイルスの影響を受けて、2020年に営業黒字を見込む在米日系企業の割合は47.1%にとどまり、前年度調査の66.1%から19ポイント低下した。米国で黒字見込みが5割を割ったのは、リーマン・ショック直後の2009年(35.5%)以来となる(添付資料図1参照)。営業利益見込みを業種別でみると、米国内需要の減少や州政府による工場の操業制限などの影響を受けて、製造業では鉄道・運搬車両等部品(22.2%)や自動車等部品(24.1%)の黒字見込みは2割台前半にとどまった。また、今回から調査対象に加わった非製造業では、渡航や店舗営業の制限を受けて、旅行・娯楽業は5.9%、小売りは14.3%、飲食は20.0%と低調だった。

景況感DI値は過去最低値を更新

営業利益見込みが前年比で悪化する企業は約6割(58.8%)で、前年(35.8%)から23ポイント増加した。景況感を示すDI(注)はマイナス42.0となり、2009年調査のマイナス41.8を下回り、過去最低値を更新した。営業利益見込みの前年比増減幅をみると「1~5割減」が約3割(29.4%)に達し、「赤字転換」(8.6%)と「6~9割超減」(8.5%)がそれぞれ1割弱を占める。

営業利益見込みが悪化する主因としては、「現地市場での売り上げ減少」が約8割(79.1%)に上った。米国では、新型コロナウイルスの感染者数が急拡大した3月中旬以降、40以上の州で自宅待機令が発令された。さらに、多くの州で必要不可欠な事業以外の操業が禁止されたことで、在米日系企業の活動も大きく制約を受けた。米国の自動車の組み立て工場は、3月中旬から約2~3カ月の間、生産を停止したことなどにより(2020年6月1日記事参照)、日系自動車・同部品メーカーの前年比での営業利益の悪化が顕著になっている。

経営上の課題は販売・営業面の課題が上位に

日系企業の経営上の課題として、「新規顧客の開拓」(46.0%)や「取引先からの発注量の減少」(41.7%)といった、販売・営業面の課題が上位に挙がった。新型コロナウイルスによる外出や操業の制限が響いたとみられる。それら課題への対応策としては、付加価値の高い商品開発や差別化技術の確立などを通じた「競合製品との差別化」(42.3%)や、電子商取引(EC)ビジネス拡大や現地販売代理店の活用などの「販売方法の見直し・強化」(41.8%)が4割強となった。

深刻化するビザ発給遅延の影響

新型コロナウイルスの感染拡大により影響を受けた米国民の雇用を保護する目的で、トランプ政権は一部の非移民ビザによる外国人の入国を2020年末まで停止・制限しているが(2020年6月23日記事参照)、一連のビザ発給停止・遅延・却下により「多少の影響」を受ける在米日系企業は34.7%、「深刻な影響」を受ける企業は10.6%で、合計5割近く(45.3%)の企業が影響を受けている。これは、前年度調査(35.1%)や2020年6月に実施した新型コロナウイルス対策に関わる緊急・アンケート調査PDFファイル(1.9MB)(35.1%)より10.2ポイント増加しており、影響が拡大している(添付資料図2参照)。具体的な影響として、「人事異動・配置転換を進められない」企業が6割超に上った。影響を受けているビザの種類として、L-1(企業内転勤者用)ビザが約6割、E-2(投資駐在員用)ビザが約3割を占めた。ジェトロ米国事務所が最近のビザ取得状況について日系企業にヒアリングを行ったところ、「LビザからEビザに切り替えて申請したら発給された」という回答がある一方で、「現在においても駐在員の交代が滞っている」「ビザが期限切れとなり、日本での更新手続きが必要」という声も聞かれた。また、バイデン次期政権の誕生により改善を期待する声が上がる一方で、米国での新型コロナウイルス感染の状況が影響しているので、新政権になっても状況は変わらないだろうという意見もあった。

(注)Diffusion Indexの略で、営業利益が「改善」する企業の割合から「悪化」する割合を差し引いた数値。

(中溝丘)

(米国)

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