大統領、感染状況は初期段階としながらも、さらなるビジネスの制限緩和を発表

(南アフリカ共和国)

ヨハネスブルク発

2020年06月22日

南アフリカ共和国のシリル・ラマポーザ大統領は6月17日、国民演説外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを行った。大統領が新型コロナウイルス感染対策に関して国民演説を行ったのは、6月1日からの警戒レベル3への引き下げ(2020年5月27日記事参照)を発表した5月24日以来となった。

ラマポーザ大統領は、急激な感染拡大を抑制することを目的として、3月末からナショナル・ロックダウン(2020年3月26日記事参照)を実施し、その結果、感染拡大を遅らせることに成功したとあらためてその成果を強調した。

しかし、国内で初の感染者が確認された3月5日(2020年3月10日記事参照)から100日が経った今でも国内の感染状況はまだ初期の段階にあり、今後数カ月、もしくは数年にわたり感染拡大が続く恐れがあるとの現実的な見方を示し、一人一人が感染と隣り合わせの状況にあると注意を呼び掛けた。他方で、ロックダウン開始以降、政府は5,000億ランド(約3兆1,000億円、1ランド=約6.2円、2020年4月23日記事参照)規模の経済支援策を実施し、5月1日から段階的にビジネスの制限緩和を行うも(2020年5月1日記事参照)、なおも制限が続く企業が営業停止を続けるには限界があると説明。そこで、専門家のアドバイスの下、十分な予防対策を講じた上で、以下の経済活動の再開を内閣が承認したと発表した。

  • レストラン店内での飲食(これまではテークアウト、デリバリーのみ)
  • 認可を受けた宿泊業〔エアビーアンドビー(Airbnb)のような民泊は除く〕
  • ビジネス目的のコンファレンス・ミーティング
  • 映画館、劇場、カジノ
  • 美容院などの美容サービスを含むパーソナル・ケアサービス
  • ゴルフ、テニス、クリケットなどのノン・コンタクトスポーツ(コンタクトスポーツについては、練習目的など限定的に許可)

現在も禁止が続いているたばこ販売や、国境の封鎖(物流などを除く)についての再開は言及されなかった。詳細は近く各省庁から発表される見込みだ。

経済活動の段階的な再開に伴い、国内では感染者および犯罪の増加が続く。6月17日には1日の新規感染者数が初めて4,000人を超え、感染者数累計は8万412人まで拡大している(死者数1,674人)。これまで感染拡大の中心はケープタウン市を中心とする西ケープ州(全体の57.9%)だったが、最大都市ヨハネスブルクを擁するハウテン州(同18.2%)や東ケープ州(同14.8%)での感染拡大も顕著になってきている。

(高橋史)

(南アフリカ共和国)

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