開発予算調整委員会、2020年経済成長率はマイナス2.0~3.4%、経済損失4兆円超と予測

(フィリピン)

マニラ発

2020年05月18日

財務省、国家経済開発庁、予算管理省などで構成されるフィリピン開発予算調整委員会(DBCC)は5月13日、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大の影響により、2020年のフィリピンの経済成長率はマイナス2.0~3.4%と予測し、感染拡大による経済損失はGDPの9.4%に当たる2兆ペソ(約4兆2,000億円、1ペソ=約2.1円)とする予測を発表した。

フィリピン統計庁(PSA)は5月9日、第1四半期(1~3月)の経済成長率がマイナス0.2%と、1998年以来のマイナス成長を記録したと発表(2020年5月14日記事参照)。フィリピン国内の感染者数は5月12日時点で1万1,350人、死者数は751人で、感染拡大は止まらない状況だ。フィリピン政府は、5月末をもって一部地域の外出制限や操業規制を緩和する発表を行ったが、マニラ首都圏やセブ市といった主要都市は引き続き規制が課せられる(2020年5月14日記事参照)など、新型コロナウイルス感染によるフィリピン経済への影響は第2四半期以降も継続するとみられる。2020年のフィリピンの経済成長率について、IMFは0.6%(2020年4月20日記事参照)、大手格付け会社のスタンダード・アンド・プアーズ(S&P)は0.2%(2020年4月24日記事参照)と予測しており、DBCCの今回の予測は、これらを大きく下回る。

DBCCはさらに、2020年の歳入は、GDPの13.6%に当たる2兆6,100億ペソと予測し、3月27日の予測値(3兆1,700億ペソ)から大幅に引き下げた。また、2020年の歳出は、GDPの21.7%に当たる4兆1,800億ペソと予測した。歳出は、新型コロナウイルスに対応するための緊急対策費用の計上といった要因で、歳入を大きく上回るとした。なお、フィリピン財務省財務局(BTr)は5月11日、第1四半期の歳出は8,492億ペソ(前年同期比9.16%増)、歳入は7,752億ペソ(12.72%増)で、財政赤字は740億ペソ(17.97%減)となったと発表した(2020年5月15日記事参照)。

(坂田和仁)

(フィリピン)

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