S&P、2020年の経済成長率予測をマイナス0.2%に引き下げ

(フィリピン)

マニラ発

2020年04月24日

大手格付け企業のスタンダード・アンド・プアーズ(S&P)は4月17日、フィリピンの2020年の経済成長率をマイナス0.2%とする予測を発表した。S&Pは2019年12月、フィリピンの2020年の経済成長率を6.6%とする予測を発表したが、新型コロナウイルスの感染拡大の影響を踏まえ、大幅に予測値を引き下げたかたちだ。一方で、5.1%としていた2021年の経済成長率について、9.0%に引き上げた。

S&Pはアジア大洋州地域全体の2020年の経済成長率を0.3%とし、4.8%としていた2019年12月時点の予測から引き下げた。新型コロナウイルスの国内感染拡大防止策としてアジア大洋州地域の国々が実施している都市封鎖措置によって、地域全体の2020年の経済成長率が3.0ポイント減少するとした。一方、2021年の半ばまでは都市封鎖措置と通常の経済活動状態の移行期間が続き、地域全体の経済活動が完全に通常に戻るのは2023年になる可能性があるとした。

失業率は6.8%に上昇と予測

S&Pはさらに、フィリピンの2020年の失業率は6.8%となると予測し、2019年の実績値(5.1%)から1.7ポイント上昇するとした。2016年のドゥテルテ政権発足以降失業率は5%台を推移していたが、新型コロナウイルスの感染拡大や外出禁止措置などを含む広域隔離措置の結果、多くの労働者が職を失い、失業率は大きく悪化するとの見方を示した。

4月17日に国家経済開発庁(NEDA)長官の職を辞任する意思を表明したアーネスト・ペルニア氏は同日、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で発生する失業者は最大180万人に達するとの見方を示した(「ビジネスワールド」4月17日)。また、年間約300億ドルをフィリピン国内に送金する在外フィリピン人労働者(OFW)の2020年の送金額は、60億~80億ドルにとどまるとした。

(坂田和仁)

(フィリピン)

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