第3四半期成長率は前年同期比6.2%、6四半期ぶりの高成長

(フィリピン)

マニラ発

2019年11月20日

フィリピン統計庁(PSA)は11月7日、2019年第3四半期(7~9月)の実質GDP成長率が前年同期比6.2%で、第2四半期(4~6月)の5.5%から0.7ポイント加速したと発表した。2018年第2四半期以来6四半期ぶりの最も高い成長率となった。ただ、2019年の通年目標である6.0~7.0%の経済成長率を達成するためには、第4四半期(10~12月)で6.7%以上の経済成長率を達成する必要がある。

第3四半期の実質GDP成長率を需要項目別にみると、政府消費支出が9.6%、建設投資が17.3%と成長を牽引した(表参照)。2019年度予算の成立が見込みより3カ月半遅れて4月に成立し、2019年上半期GDPの2%に相当する1,780億ペソ(約3,916億円、1ペソ=約2.2円)の国家予算執行残が上半期で発生した(2019年9月11日記事参照)、これらが上半期の経済成長の鈍化(5.5%)につながったと指摘されていたが、第3四半期に政府は大規模インフラ整備計画「ビルド・ビルド・ビルド」を含む各種インフラプロジェクトを加速させ、巻き返したかたちだ。産業別にみると、建設業(16.3%)、運輸・通信・倉庫(9.1%)、商業(8.1%)、金融(10.0%)といった分野が大きく成長し、第3四半期の成長を加速させた。

表 フィリピンの需要項目別、産業別 実質GDP成長率

政府は2019年に入り、3回にわたって政策金利を引き下げ(2019年9月30日記事参照)、市中銀行から強制的に預金の一定割合を預かる預金準備率も3回引き下げる(2019年10月31日記事参照)など、景気底上げのための金融政策を継続して打ち出している。

国際機関はフィリピンの2019年の経済成長予測を軒並み下方修正しており、アジア開発銀行(ADB)は9月、6.2%から6.0%に(2019年10月2日記事参照)、IMFは10月、6.9%から5.7%に下方修正した(2019年10月23日記事参照)。

(坂田和仁)

(フィリピン)

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