未執行予算の発生で経済見通しが下振れ

(フィリピン)

マニラ発

2019年09月11日

フィリピン財務省は9月2日、2019年上半期GDPの2%に相当する1,780億ペソ(約3,738億円、1ペソ=約2.1円)の国家予算執行残が上半期で発生したと発表した。上半期に執行した国家予算は1兆5,900億ペソとなり、前年同期の1兆6,040億ペソから0.88%減、基礎的財政支出は1兆4,100億ペソで前年同期の1兆4,380億ペソから1.94%減少し、利払い額は180億ペソと前年同期の166億ペソから8.4%増加した。

財務省担当者は執行残が発生した理由として、2019年の国家予算が3カ月半遅い4月15日に成立した(2019年4月18日記事参照)ことを挙げ、国内経済の成長に悪影響を及ぼしている、とコメントした。開発予算調整委員会は2019年3月、国家予算成立の遅れによって、7~8%という当初の2019年の経済成長率目標を6~7%に引き下げた。フィリピン統計庁(PSA)は8月8日、2019年上半期の経済成長率を5.5%と発表(2019年8月16日記事参照)。2019年通年で6%の経済成長率を達成するためには、下半期は6.5%以上を記録する必要がある。

国家経済開発庁(NEDA)のアーネスト・ペルニア長官は下院の公聴会において、8月23日に提出された4兆1,000億ペソの2020年国会予算案(2019年8月23日記事参照)について、2019年国家予算のような法案成立の遅れが発生した場合、2020年の経済成長率は5%を切る可能性があるとし、法案成立を急ぐよう求めた。

(坂田和仁)

(フィリピン)

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