ロシアの衛星測位システム「グロナス」の利用促進へ

(ウズベキスタン、ロシア)

タシケント発

2019年10月15日

ウズベキスタン政府はロシアの衛星測位システム「グロナス」のウズベキスタン国内での活用に向けた協力を開始する。10月1日に情報技術通信発展省とグロナス社長のイゴリ・ミラシェフスキー氏が同省で会談。ウズベキスタン国内で輸送機器への車両緊急通報システム搭載に関し、協力を進めることで一致した。また同日、ウズベキスタンの地理データ作成企業スマートゲオとグロナスは衛星測位技術に関する協力の覚書に署名した。

ウズベキスタンでは、米国の衛星測位システム(GPS)を活用した「UZGPS」が先行してサービスを提供しているが、ロシアのスタンダードであるグロナスについても活用が今後推進される。ウズベキスタン政府は自国の自動車産業維持のため、乗用車(「ラボン」ブランド)のロシア向け輸出増を目標に掲げており、ロシア国内やユーラシア経済連合(EEU)域内で搭載が必要なグロナスシステムとの連携は必須だ(注1)。10月1日にタシケントで行われた「第4回ウズベキスタン-ロシアビジネス評議会」の会合では、両国間の貿易拡大に向け、ウズベキスタンからロシアへの生鮮果実や野菜などの輸出手続きを簡素化する「グリーンコリドー」制度の一層の活用について議論が交わされた。両国間のトラック輸送の増加はグロナス活用の追い風となる(注2)。

ウズベキスタンでは最近、経済・社会のデジタル化プラットフォームをロシアから導入する事例が相次いでいる。政府が進める税務申告のオンライン化(2019年8月27日記事参照)、商品のマーキング制度のシステム導入(2019年8月5日記事参照)などがそれだ。モスクワの中央アジア地域専門家ニキータ・メンドコビッチ氏はその理由として、共通言語のロシア語、相似した社会経済システムの2つを挙げている(2019年10月9日記事参照)。

(注1)乗用車への緊急警報装置搭載義務には、「運転・同乗者の安全」を理由とした輸入車(中古車を含む)の無秩序な流入を予防する措置、ひいては自国産業を保護する意味合いを持つ場合がある(2017年4月17日記事参照)。

(注2)ロシアでは輸送トラック課金システム「プラトン」の一部としてグロナスが利用されている。

(高橋淳)

(ウズベキスタン、ロシア)

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