緊急通報機器の搭載、輸入車への一時的措置を導入

(ロシア)

モスクワ発

2017年04月17日

 車両緊急通報システム「ERA-GLONASS(エラ・グロナス)」の運営会社グロナスは3月29日、ロシアに車両緊急通報機器を搭載していない車両を輸入、流通させるまでの手続き(一時的措置)を発表した。

機器搭載や登録手続きの未整備で混乱

1月1日からユーラシア経済連合(EEU)域内で流通させる乗用車・トラックに対して、事故への即応などのため車両緊急通報機器の搭載が義務付けられた(2015年4月20日記事参照)ものの、輸入車への機器搭載、ERA-GLONASSへの登録に係る手続きの整備が間に合わず、ロシア極東地域では走行を許可されない車が港近くに滞留する事態が発生していた。

グロナスの発表した措置は、こうした混乱を収めようとするもので、手続きの流れは以下のとおり。

  1. 車両緊急通報機器を搭載していない車両をロシアに持ち込む者は、まず機器をグロナスの代理店で購入する。
  2. 認定試験場PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)に申請書と書類一式〔通報機器購入に係る契約書のコピー、車両構造安全証書(SBKTS)申請書など〕を提出する。
  3. 車両の通関申告に必要な書類、車両パスポート(PTS、注)の発行に必要な書類(SBKTSおよび通報機器購入に係る契約書のコピー)を税関に提出する。
  4. 通関後、税関は提出された書類に基づきPTSを発行する。
  5. 通報機器を車両に取り付ける。取り付けとERA-GLONASSへの登録を行える権限者のリストはグロナスのウェブサイトPDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)に掲載されている(4月6日時点で6社)。
  6. 通報機器が搭載された車両の所有者は、車両情報をERA-GLONASSに登録する。手続き内容および必要文書PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)フォームPDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)はグロナスのウェブサイトに掲載されている。
  7. 通報機器が搭載された車両は、PTS発行後10日以内に交通警察(GIBDD)に登録する。
  8. GIBDDが同車両を登録する。

なお、この手続きは一時的措置とされているが、期限は明示されていない。今後、恒久的な措置が策定されると、手続きの内容が変わる可能性も指摘されている。

一時は約800台がヤードに滞留

車両緊急通報機器については、2011年12月9日付関税同盟委員会決定第877号 「『車両安全について』に関する関税同盟技術規則」の一部条項が、2013年1月30日付ユーラシア経済委員会評議会決定第6号によって修正され、2017年1月1日から、EEU域内で流通させる全ての乗用車・トラックに対し、搭載が義務付けられた。

自動車業界の関係者によると 、国産車に対しては機器の搭載、ERA-GLONASSへの登録に係る一連の手続きが整備されていたものの、輸入車(新車、中古車)に関しては手続きの整備が遅れていたという。

そのため、ロシア極東地域では、日本などから持ち込まれた中古車などに対して、機器の搭載と作動確認ができないことを理由にPTSの発行が拒絶され、1月以降、一時は約800台 が公道での走行を許可されずヤードに留置されたままとなり、関係者による搭載義務の措置撤回を求める署名活動などが起こっていた。こうした事態を重くみたユーリ・トルトネフ副首相兼極東連邦管区大統領全権代表やミクルシェフスキー沿海地方知事が政府関係者に掛け合い、事態の打開に努めていた。

(注)当該車両の車両識別番号(VIN)、車種などの技術仕様が記載された文書。輸入車のPTSは税関、国産車のPTSは当該車両のメーカーや交通警察などが発行する。

(齋藤寛)

(ロシア)

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