欧州産業界、次期欧州委に50項目の政策提言、組織改革も求める

(EU)

ブリュッセル発

2019年07月18日

ビジネスヨーロッパ(欧州産業連盟)は7月16日、ウルズラ・フォン・デア・ライエン次期欧州委員長に対する欧州議会の信任を祝福する声明PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)を明らかにし、同時に「企業が次期欧州委員会に対し、発足から100日間に実施を期待する50項目」と題する意見書PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)を公表した。「通商政策」をはじめ、「市場統合」「投資規制」「イノベーション」「産業政策」「デジタル化対策」「財政政策」「環境政策」「格差是正」「移民対策」「英国のEU離脱対策(2019年7月18日記事参照)」について、11月1日に発足する予定の新欧州委員会への欧州産業界としての具体的な提言をまとめたものだ。

欧州産業界、効果的な通商政策実施に向け、次期欧州委の組織改革を進言

同連盟は「通商政策」について、EU・ベトナム自由貿易協定(FTA)(2019年6月26日記事参照)やEU・メルコスールFTA(2019年7月1日記事参照)の早期発効に向けた取り組み、鉄鋼・アルミニウムの追加関税や航空機補助金(2019年4月18日記事参照)などをめぐる対米通商摩擦の解消とそのための対米通商交渉への適切な対応(2019年4月16日記事参照)を求めた。また、WTOの紛争解決制度の機能不全(2019年7月1日記事参照)につながりかねない、12月にも想定されるWTO上級委員会の実質的機能停止の回避に向けた対策の必要性などを訴えた。

EUの「通商政策」に関する同連盟の提言で注目されるのは、主要経済国との国際競争を意識し、欧州委員会の組織改革を求めた点だろう。同連盟は「欧州が国際的競争において課題により効率的に取り組み、その利益を守り実現するための独立的な調査を可能にし、欧州投資銀行(EIB)のような他の欧州の機関と良好な調整を行うための組織改編」を提言している。

このほか、対中関係では、4月9日にブリュッセルで開かれたEU・中国首脳会談(2019年4月10日記事参照)での合意事項の履行を求め、特にEU・中国間の投資協定や地理的表示(GI)協定に関する約束に言及して、中国側の市場アクセス改善(2019年7月4日記事参照)を重視する姿勢を打ち出した。

(前田篤穂)

(EU)

ビジネス短信 0167a272e421743f