EU、中国との地政学的関係再構築を目指す

(EU、中国)

ブリュッセル発

2019年04月10日

欧州理事会(EU首脳会議)のドナルド・トゥスク常任議長と、欧州委員会のジャン=クロード・ユンケル委員長は4月9日、ブリュッセルで開かれたEU・中国首脳会談で中国の李克強首相と会談した。同日公表された「共同声明PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)」によると、懸案となっているEU・中国投資協定について、2020年をめどに妥結することで合意。WTO改革でも協力する方針を確認した。

EU側は中国の投資環境改善への取り組みを要請

共同声明には具体的な合意・協力事項が多数盛り込まれたが、代表的な項目は以下のとおり。

  • 「国家補助規制の枠組み」および「競争環境監視システム」に関する対話についての「覚書PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)」(署名:2017年6月2日)の推進
  • 「競争政策に関わるEU・中国対話」についての「付託事項PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)」(署名:2004年5月6日)の推進
  • 「エネルギー分野におけるEU・中国相互協力」実施に関わる共同声明PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(発表:2019年4月9日)
  • 「鉄道運輸分野におけるEU・中国相互接続プラットフォーム」に関わる実務協議(第4回会合PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)開催:2019年4月8日)

EU首脳が今回の首脳会談で特に強調したのが、「バランス」と「相互主義」だ。2017年の中国の対EU直接投資は291億ユーロに達しているのに対して、EUの対中直接投資は69億ユーロにとどまり、このアンバランスを見直すためには、中国側の投資環境を改善する必要があるというのがEU側の主張だ。

ビジネスヨーロッパ(欧州産業連盟)も4月8日、今回のEU・中国首脳会談に向けて声明を出し、欧州企業にとっての中国の投資環境改善(2018年11月7日記事参照)を求め、特に「EU・中国投資協定」交渉の加速を要請していた。

(前田篤穂)

(EU、中国)

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