EUベトナムFTA、6月30日に署名へ

(EU、ベトナム)

ブリュッセル発

2019年06月26日

EU理事会は6月25日、EU・ベトナム自由貿易協定(FTA)およびEU・ベトナム投資保護協定(IPA)のそれぞれについての署名を承認したと発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。両協定の署名は、6月30日にベトナム・ハノイで行われる。欧州委員会は2018年10月17日付で、EU理事会に両協定の署名・締結を提案(2018年10月18日記事参照)していた。うち、FTAについては署名後、EU、ベトナム双方がそれぞれ批准手続き(EU側は欧州議会の承認)を終え、互いに批准完了を通知した日の翌々月の初日に発効する。

EU側は非関税障壁撤廃にも関心示す

EUにとって、ベトナムはASEANで(シンガポールに次いで)2位の貿易相手国。欧州委は、最終的に双方で99%の関税撤廃を目指す同FTAについて、EUが開発途上国と結んだ「最も野心的な通商協定」と評し、期待感を示している。

物品貿易では、ベトナム側のEU原産品に対する関税は全品目の65%が発効と同時に撤廃、その他も最長10年の段階的な逓減期間を経て、最終的に約99%が撤廃される見通し。EU側もベトナム原産品への関税について71%が即時撤廃、残りも最長7年の逓減期間を経て撤廃を目指すとしている。

また、EU側では同FTAについて、2006年10月発表の「グローバル・ヨーロッパPDFファイル(1.1MB)」戦略における「新世代」の2国間協定との位置付けから、「知的財産権保護」「投資自由化」「持続可能な開発」などの観点でも重要とみている。EUは、特に「持続可能な開発」章で、ILOが定める「結社(労働組合結成)の自由」「児童労働の撤廃」などを含む中核的労働基準PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)や、気候変動、生物多様性保護などに関する国連条約に関する取り決めを、同FTAが含む点を強調する。

EUとベトナム政府間での交渉は、2015年12月2日に最終合意(2015年12月10日記事参照)に達していたが、その後、EU・シンガポールFTAをめぐり、EU司法裁判所が投資保護規定の一部について加盟国が共有権限を有するとする意見書(2017年5月17日記事参照)を明らかにしたことを受け、欧州委はEU理事会と欧州議会の承認で発効できるFTAと、発効に向けてEU加盟各国議会の批准も必要なIPAに分離した経緯がある。

なお、各協定のテキストは、次のウェブサイトから閲覧できる。

(前田篤穂)

(EU、ベトナム)

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