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アジア太平洋との経済関係の強化図る-中南米主要国の通商政策と地域統合をめぐる動き-

(コロンビア)

ボゴタ発、米州課

2018年02月02日

コロンビアは、2017年11月末時点で49カ国と13の自由貿易協定(FTA)を発効させており、中南米ではチリ、ペルーに次いでFTAの数が多い国だ。近年は、輸出先や投資誘致対象国の多角化を視野に入れ、米州や欧州に加えてアジア太平洋地域を重視している。具体的には、太平洋同盟の準加盟国交渉を通じて同地域との経済関係の強化を図る。

2000年代に急速に拡大したFTA網

コロンビアは、関税同盟であるアンデス共同体(CAN)の加盟国(1969年設立、自由貿易地域としては2006年に完成)であり、ラテンアメリカ統合連合(ALADI、1981年設立)の加盟国でもあるため、伝統的に中南米諸国との経済関係の強化に努めてきた。1995年にメキシコとの間で発効させたFTAが最初の2国間FTAだ。FTA締結を積極的に進めたのは2000年代に入ってからで、2009年にチリ、2009~2010年に中米北部3カ国(グアテマラ、ホンジュラス、エルサルバドル)、2005年に南米南部共同市場(メルコスール)4カ国(ブラジル、アルゼンチン、ウルグアイ、パラグアイ)とのFTAを発効させた。

2000年代後半には北米諸国とのFTA交渉を開始し、カナダ、米国とのFTAをそれぞれ2011年、2012年に発効させた。欧州自由貿易連合(EFTA)やEUとの交渉も行い、欧州諸国とのFTAネットワークも構築した(発効は相手国に応じて2011~2014年)。

アジア諸国としては、韓国とのFTAに2013年に署名し、2016年7月に発効させている。日本との経済連携協定(EPA)交渉も2012年12月から開始しているが、両国側のセンシティブ品目についての市場アクセスをめぐり難航しており、最終合意のめどは立っていない。コロンビアのFTA締結相手国については、ジェトロのウェブサイトを参照。

太平洋同盟の準加盟国との交渉に注力

コロンビア政府が注力しているFTA交渉は、太平洋同盟の準加盟国交渉だ。太平洋同盟4カ国は、2017年6月にメキシコ市で開催された閣僚会合で「準加盟国(Estado Asociado)に関する指針」を採択し、太平洋同盟と域外国とのFTA締結に向けた道筋が明確となった(2017年6月16日記事参照)。そして、6月30日にコロンビア西部カリで開催された首脳会合において、カナダ、オーストラリア、ニュージーランド、シンガポールの4カ国を準加盟国とする交渉を開始すると発表した(2017年7月19日記事参照)。コロンビアは2017年6月末から1年間、太平洋同盟の議長国を務め、同交渉をリードする立場となっている。

2014年下半期以降の資源価格をはじめとした国際資源価格の下落により、コロンビアの輸出が大きく減少したことを受け、政府は脱資源輸出の観点から農産品・食品の有望26品目を定め、成長拡大が見込まれるアジア太平洋地域を中心に輸出拡大を図るとしている。商工省によると、カナダ向けには油、アボカド、魚、酒、オーストラリアにはコーヒー、花、菓子、玩具、シンガポールには油、砂糖、酒、カカオ、ニュージーランドにはコーヒー、花、野菜の輸出拡大を見込んでいる。特に2国間貿易でコロンビア側の出超となっているオーストラリアとシンガポールには、輸出拡大の余地があるとしている(商工観光省プレスリリース2017年10月27日、表参照)。

表 太平洋同盟加盟国と準加盟候補国との貿易額

2017年10月23日にカリで準加盟国候補国との第1回交渉が開催され、代表団は交渉プロセスの基礎となる議定書を提示し、提案された内容に関するコメントを受けた。次の会合の前にできるだけ速くプロセスを進めることを目的として、正式な交渉会合の間にも事務レベル会合を開催する必要性についても議論された。原産地規則、越境サービス貿易、政府調達の交渉グループは、各国の提案の提出日について合意した。

他方、コロンビアはメルコスール諸国との経済関係強化も重視しており、2017年7月にメルコスールとの経済補完協定(ACE)72号に署名した。2005年に発効したACE59号のコロンビアとアルゼンチン、コロンビアとブラジルの間で関税撤廃の例外とされていた品目について、相互に削減・撤廃する内容だ。対アルゼンチンでは自動車、農薬、繊維製品、プラスチック製品、金属加工品などが新たな特恵関税の対象となり、対ブラジルでは自動車、繊維製品が恩恵を受ける。同協定は12月20日に暫定発効した。同協定により、自動車業界は対メルコスール輸出の拡大に期待しており、コロンビアでトラックを生産する日野自動車も2018年半ばをめどに輸出を開始する意向と報じられている(「ラ・レプブリカ」紙2017年8月4日)。

イスラエルとのFTAは発効間近、対パナマの発効は不透明

コロンビアには、署名済みだが未発効の2国間FTAが2つある。イスラエルとのFTAとパナマとのFTAだ。

イスラエルとのFTAはコロンビアが中東諸国と署名した最初のFTAだ。2013年9月に署名したが、議会における批准審議が遅れていた。2017年6月1日に議会は同FTAの批准を承認したため、7月以降、憲法裁判所における合憲審査が行われている。憲法裁判所の承認が下りれば、大統領による公布を経て発効することになる。サントス大統領は2017年9月、コロンビアを訪れたネタニヤフ首相と会談し、科学技術や観光分野において協力関係を築くことで覚書に署名した。そのほか、農業、水、技術革新、サイバー防衛における2国間協力の深化でも合意した。コロンビアが取り組むOECDへの加盟についても、イスラエルは協力する意向を表明している(主要紙2017年9月14日)。

パナマとのFTAは、4年間の交渉を経て2013年9月20日に署名されたが、コロンビア政府が課した衣類と履物に対する輸入関税が原因で通商紛争に発展し、両国議会における批准審議が停止されている(2016年11月25日記事参照)。2017年2月に問題解決に向けた話し合いが行われ、2カ国間の相違を克服するために対話を継続していくことで合意し、WTOの下で対話が継続している。一方で、コロンビア政府は2017年11月2日に政令1786号を公布し、安価な衣類と履物に対する高率関税の適用を2年間延長した。パナマ政府は、輸入関税をめぐる一連の問題が解決しない限りFTAは批准しないとコメントしているため、今回の発令で解決にはまだ時間がかかりそうだ。

インドや中国との通商関係強化も視野に

アジア諸国との将来的なFTA締結に向けた動きとしては、現在行われている太平洋同盟の準加盟国交渉、日本との2国間EPA交渉に加え、インドおよび中国との貿易協定締結に向けた動きがある。

インドを公式訪問したマリア・オルギン外相は2017年11月7日、インドとの2国間FTAの交渉開始に期待すると語った。今回の訪問は、コロンビアの内戦終結後のプロセスにおけるインドの支援、2国間の貿易・投資・観光の促進が目的で、農業、鉱業、情報技術、教育、文化、スポーツにおける共同活動の発展を促進させたい考えだ。金属加工品、自動車、プラスチック容器、農薬、ココア、パーム油などコロンビア産品のインドへの輸入ビジネスや、コロンビアの観光インフラ(ホテルなど)、金融サービスや保健サービスにおける投資に大きな機会があるとインドの投資家たちに呼び掛け、投資優遇税制度や内戦終結後のコロンビアの開発ポテンシャルなどについて述べた(「ポルタフォリオ」紙2017年11月7日)。

他方、中国との間でも2国間FTAの締結に向けた共同研究の開始で合意している。サントス大統領が2012年に中国を訪問した際に覚書に署名(2012年5月17日記事参照)しているほか、中国の李克強首相が2015年5月にコロンビアを公式訪問した際にも、両国政府は2国間FTAの実現可能性を評価するための共同研究を開始すると発表している。

2017年11月7日に首都ボゴタで開催された、中国と中南米の経済関係に関するフォーラムに参加した李念平・在コロンビア中国大使によると、既に中国政府はコロンビアとのFTA交渉開始に向けた調査を開始しているという。コロンビアで事業展開している中国企業の数は過去5年間で3倍になったと指摘し、コロンビアの農産品、特にアボカド(ハス種)の品質の良さに注目しており、その輸入に期待していると語った(主要紙2017年11月7日)。中国とのFTAが締結されればコロンビアの農産品の対中輸出拡大が期待されるが、同時に繊維産業など国内の製造業に大きな悪影響を与えることを懸念する声も多い。

(日脇亜友美、中畑貴雄)

(コロンビア)

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