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太平洋同盟、4カ国と準加盟交渉へ-アジア太平洋地域との関係強化に向けた取り組みが本格化-

(コロンビア、チリ、メキシコ、ペルー、カナダ、オーストラリア、シンガポール、ニュージーランド)

ボゴタ発

2017年07月19日

太平洋同盟の第12回首脳会合が6月30日、コロンビア西部のカリで開催され、カナダとオーストラリア、ニュージーランド、シンガポールの4カ国との準加盟交渉を開始することが発表された。交渉は9月から始まる予定で、合意に達すれば、これら4カ国が初の準加盟国となる。太平洋同盟の発足当初から基本方針に盛り込まれていたアジア太平洋地域との関係強化に向けた取り組みが、いよいよ本格化する。

TPP原署名4カ国と準加盟交渉を開始へ

太平洋同盟の準加盟国は、3月14日にチリで開催された閣僚会合でその創設が決まり、6月2日にメキシコで開催された閣僚評議会で具体的な指針が採択された(2017年6月16日記事参照)。今回開催された第12回首脳会合では、カナダ、オーストラリア、ニュージーランド、およびシンガポールの4カ国と準加盟国入りに向けて交渉を開始することが決まった。

準加盟国になるための要件の1つが、正規加盟4カ国(メキシコ、コロンビア、ペルー、チリ)とのハイレベルの自由貿易協定(FTA)締結だ。加盟国のうちコロンビアを除く3カ国と準加盟候補4カ国は、環太平洋パートナーシップ(TPP)の原署名国になっている。また、カナダとメキシコは北米自由貿易協定(NAFTA)で、ニュージーランドおよびシンガポールとチリはP4経済連携協定(EPA)で、それぞれ多国間通商協定を発効しているが、準加盟国として認定されるためには、あらためて加盟4カ国との単一協定の締結が必要となる(表1参照)。チリ以外の国とはFTAが発効していないニュージーランドは、太平洋同盟加盟国向けに乳製品の輸出拡大が期待されるほか、観光や教育などのサービス輸出も大きな可能性を秘めている。ニュージーランド政府は輸出市場の拡大と多様化を目指しており、2030年までにモノの輸出の90%をFTAでカバーする目標を掲げている。太平洋同盟への準加盟は、これらの目標達成にとって重要なステップとなるだろう。なお、カナダについては、既にメキシコとの間で発効済みであるNAFTAの枠組みや有効性を損なわないように交渉が進められることが、首脳会合後に出された閣僚宣言で確認されている。

表1 太平洋同盟加盟国と準加盟候補国とのFTA締結状況
相手国 正規加盟国 準加盟候補国
メキシコ コロンビア ペルー チリ カナダ オーストラリア ニュージーランド シンガポール
メキシコ 発効
(95年1月)
発効
(12年2月)
発効
(99年8月)
発効
(94年1月)
TPP署名
(16年2月)
TPP署名
(16年2月)
TPP署名
(16年2月)
コロンビア 発効
(95年1月)
発効
(06年1月)
発効
(09年5月)
発効
(11年8月)
なし なし なし
ペルー 発効
(12年2月)
発効
(06年1月)
発効
(09年3月)
発効
(09年8月)
TPP署名
(16年2月)
TPP署名
(16年2月)
発効
(09年8月)
チリ 発効
(99年8月)
発効
(09年5月)
発効
(09年3月)
発効
(97年7月)
発効
(09年3月)
発効
(06年11月)
発効
(06年11月)

(出所)各国貿易担当省ウェブサイト

経済連携・通商交渉の範囲については、最低でもモノの貿易、サービスの貿易、投資の3分野が含まれなければならず、3分野に加え、政府調達や知的財産権保護などを含む、より包括的な協定であってもよい。交渉は9月に始まる予定で、加盟国および準加盟候補国の首席交渉官らによって進められる。また、加盟国首脳らは2017年11月にベトナムで開催予定のAPEC首脳会議の機会を捉え、準加盟候補国代表らとの会合を開催する予定だ。

準加盟候補4カ国への輸出額は域内輸出額を上回る

正規加盟4カ国と準加盟候補4カ国との貿易額をみると表2~4のとおりで、2016年の加盟国から準加盟候補国への輸出額合計は161億6,600万ドルと、域内輸出額の145億7,200万ドルを上回る。正規加盟4カ国にとって、輸出でも輸入でも第1の相手国は同じ米州のカナダで、既に4カ国ともFTAを締結している。また、チリとオーストラリアの間の貿易額が相対的に大きい。コロンビアを除けば、準加盟候補4カ国合計でみた場合の貿易収支は太平洋同盟側の黒字となっている。

表2 太平洋同盟加盟国から準加盟候補国への輸出額(2016年)(単位:100万ドル)
準加盟候補国 正規加盟国 合計
メキシコ コロンビア ペルー チリ
カナダ 10,427 388 1,686 968 13,468
オーストラリア 836 48 260 313 1,457
ニュージーランド 94 14 24 76 209
シンガポール 851 66 39 76 1,032
合計 12,208 516 2,009 1,433 16,166

(注)金額はFOB価格。
(出所)各国通関統計

表3 太平洋同盟加盟国への準加盟候補国からの輸入額(2016年)(単位:100万ドル)
相手国 正規加盟国 合計
メキシコ コロンビア ペルー チリ
準加盟
候補国
カナダ 9,632 712 669 593 11,607
オーストラリア 527 43 103 316 990
ニュージーランド 364 8 63 86 521
シンガポール 1,279 91 93 76 1,539
合計 11,802 855 928 1,071 14,656

(注)メキシコ、コロンビア、チリの金額はFOB価格。ペルーはCIF価格。
(出所)各国通関統計

表4 加盟国の域内貿易額(2016年)(単位:100万ドル)
国名 輸出額 輸入額
メキシコ 6,215 2,989
コロンビア 2,658 4,642
ペルー 2,187 4,006
チリ 3,512 3,575
合計 14,572 15,212

(注)輸出額はFOB価格。輸入額は、メキシコ、コロンビア、チリはFOB価格。ペルーはCIF価格。
(出所)各国通関統計

ITや教育における加盟国間の協力関係も強化

6月30日の太平洋同盟の首脳会合に先立ち、29日には各国省庁や企業による個別会合も開催された。IT分野における協力関係構築に関する会合では、加盟4カ国間の携帯電話ローミングサービスにかかる手数料を2020年以降無料にする方針がまとまった。

企業会合では、加盟国の学生が他加盟国のいずれの国でもインターンシップの経験を積める枠組みが決まった。一方、加盟国の年金基金による域内投資については、二重課税を回避するための租税条約の締結に向け、加盟国間で話し合いを進める方針であることが発表された。4カ国の年金基金の資産は合計で4,500億ドルに上り、租税条約の締結により域内の資本市場の一層の発展を促す狙いがあるとみられる。

(茗荷谷奏)

(コロンビア、チリ、メキシコ、ペルー、カナダ、オーストラリア、シンガポール、ニュージーランド)

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