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英国とEUの離脱交渉の立場を分析-「日本企業への影響」をテーマに名古屋でセミナー開催-

(英国、EU)

欧州ロシアCIS課

2017年04月28日

 ジェトロは4月14日、「英国のEU離脱と日本企業への影響」セミナーを名古屋で開催した。2人の講師が、英国とEUの離脱交渉方針の相違点、日本企業へのアンケート結果、為替や経済動向などの側面から解説した。

<離脱交渉の方針には英・EUで隔たりも>

 「ブレグジットの最新動向と日本企業の課題」のテーマで講演したジェトロ海外調査部欧州ロシアCIS課の田中晋課長は、3月29日の英国によるEU離脱の正式通知(2017年3月30日記事参照)、3月31日のEUの離脱交渉ガイドライン原案の発表(2017年4月3日記事参照)を基に、EUと英国で交渉方針や交渉手順が異なる点を分析し、交渉の焦点を示した。

 

 「EUに居住する英国民や英国に居住するEU市民の権利保障、北アイルランドとアイルランドの国境の取り扱いについては、英国・EUでほぼ共通認識を持っているものの、離脱交渉の進め方に係る交渉の原則や、離脱に伴うEU加盟国としての義務の清算などで認識に隔たりがある」と指摘し、将来の自由貿易協定(FTA)を含むパートナーシップ協定の交渉については「離脱協議との並行交渉を志向する英国に対し、EUはEU加盟国としての英国の義務の清算や市民の権利保障などの第1段階の交渉を終えた後、第2段階の交渉で将来関係の枠組みについて着手できるという考え。今後の焦点となるだろう」と解説した。

 

 EU側の交渉ガイドラインは4月29日の欧州理事会(EU首脳会議)で確定する予定だ。英国・EUとの間で相違のある交渉手順については、「EUが27ヵ国で方針を決定すると、EUを出ていく立場の英国はある程度従わざるを得ないのではないか」との見方を示した。加えて、EU27ヵ国の各国で交渉における優先事項が一定程度異なるが、多くの国では「英国在住自国民の権利保障」と「英国のEU加盟時の義務の清算」、「英国との良好な関係の維持」が優先事項として挙げられるとした。

 

 また、ジェトロが在欧州日系企業に対して2016年9~10月に実施した調査結果や、3月に大阪、東京で同テーマのセミナー(2017年4月21日記事参照)を実施した際の参加者アンケートの結果などを紹介。2016年7月に同テーマのセミナー(2016年8月12日記事参照)で実施した際の参加者アンケートに比べ、事業への影響予測でプラスと回答する割合が減少、マイナスの影響を指摘する回答の割合が増加したほか、懸念項目として、「為替(ポンド)への影響」「英国の規制・法制への影響」「日本から英国への輸出」が上位3項目に挙がった旨説明した。

 

<ポンド相場は短期楽観、長期警戒>

 「英ポンドと金融・マクロ情勢~世界経済改善の順風、離脱手続き難航の逆風~」と題して講演した国際通貨研究所の武田紀久子上席研究員は、長期停滞への懸念は払拭(ふっしょく)されていないものの2017年の世界経済の見通しには漠然とした浮揚感が漂っており、「イングランド銀行(英国中央銀行)が警戒する対象は英国のEU離脱をめぐる市場混乱・景気失速からインフレなどの一般的なマクロ情勢へ、いわば有事から平時へ対応がシフトしている」と指摘した。また、世界の為替取引に占めるポンド取引のシェアは4位の6%台で国際通貨として相応の地位にあるものの、「為替取引や外貨準備に占めるシェアはドルの一極集中が続いており、為替相場のトレンド形成において、ドルの決定力・支配力は依然として大きい」とした。

 

 ポンド相場の特徴としては、「(1)金融危機やEU離脱の国民投票などのショック発生時を除き、対ドルではユーロ相場と連動する傾向が強いこと、(2)英国は世界第2位の巨額の経常赤字国であること、また、(3)英国人は不動産売買を中心に資産形成を行う志向があるため、ポンド安は必ずしも有権者に歓迎されず、むしろインフレや金利上昇を介し、政治リスクにつながる可能性もある」と解説。その上でポンドの見通しについて、「短期的には持ち直し安定化する可能性が高いが、長期的には離脱交渉の不確実性や経常赤字通貨としての脆弱(ぜいじゃく)性から下値不安が強く残る」とした。また、国民投票直後のイングランド銀行による資金供給や大規模緩和などの対応について、「議会決議が不要で政府から独立した立場の中銀が政府の動きの鈍さを補うようなかたちで動いた」と説明した。

 

(深谷薫)

(英国、EU)

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