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2020年の米貿易赤字は2008年以来の高水準に
新型コロナウイルスの影響で輸出入ともに記録的な減少

2021年4月23日

米国商務省の発表によると、2020年の米国の貿易赤字は6,817億ドルで、2008年以来の高水準となった。新型コロナウイルスの感染拡大に伴う世界的な経済活動の停滞で、輸出入ともに記録的な減少率だったが、輸出は輸入以上に大きく減少し、貿易赤字の拡大につながった。

米国商務省が3月23日に発表した2020年の貿易統計(国際収支ベース、季節調整済み)によると、輸出(財・サービス)は前年比15.9%減の2兆1,273億ドル、輸入は9.5%減の2兆8,090億ドルだった。輸出の減少額が輸入のそれを大きく上回ったことから、貿易赤字額は前年比1,048億ドル増加の6,817億ドルで、2008年(7,124億ドル)以来の高水準となった(表1、図参照)。

表1:財・サービス貿易収支推移(国際収支ベース、季節調整済み)(単位:100万ドル、%)(△はマイナス値)
項目 2019年 2020年
金額 前年比 金額 前年比
輸出 2,528,262 △ 0.4 2,127,254 △ 15.9
階層レベル2の項目 1,652,437 △ 1.5 1,435,128 △ 13.2
階層レベル2の項目サービス 875,825 1.6 692,126 △ 21.0
輸入 3,105,127 △ 0.5 2,808,954 △ 9.5
階層レベル2の項目 2,516,767 △ 1.6 2,350,698 △ 6.6
階層レベル2の項目サービス 588,359 4.7 458,256 △ 22.1
貿易収支 △ 576,865 3,072 △ 681,700 △ 104,835
階層レベル2の項目 △ 864,331 15,970 △ 915,570 △ 51,239
階層レベル2の項目サービス 287,466 △ 12,898 233,870 △ 53,596

注:貿易収支の前年比は差額。
出所:米商務省データを基に作成

図: 財・サービス貿易収支推移(国際収支ベース、季節調整済み)
貿易赤字は、2006年に最高値7,635億ドルを記録したが、その後、リーマンショックの影響により2009年には3,948億ドルまで減少した。その後、貿易赤字は再び拡大する傾向にある。2020年は、輸出が2兆1,273億ドル、輸入が2兆8,090億ドル、貿易赤字は6,817億ドルとななった。新型コロナウィルスの感染拡大に伴う世界的な経済活動の停滞が影響したことで、輸出入ともに記録的な減少率となった。また、減少額で輸出が輸入を大きく上回ったことから、貿易赤字額は2009年以降で最大となった。

出所:商務省データを基に作成

新型コロナウイルスの感染拡大に伴う世界的な経済活動の停滞が影響し、輸出入ともに記録的な減少率だった。輸出の前年比は、データの確認できる1961年以降で最大の減少率、輸入は2009年の22.4%減に次いで2番目に高い減少率となった。貿易総額(輸出入の合計)は2012年以降で最も少ない4兆9,362億ドルを記録した。

輸出入ともに原油、民間航空機、自動車が押し下げ

財貿易をみると、輸出が13.2%減の1兆4,351億ドル、輸入が6.6%減の2兆3,507億ドルだった(表2参照)。輸出では原油を含むエネルギー関連製品、民間航空機、民間航空機用エンジン・部品など、輸入では原油を含むエネルギー関連製品、乗用自動車(カナダ向け以外)、民間航空機用エンジン・部品などが押し下げ要因となった。

表2:2020年の主要財別貿易(国際収支ベース、季節調整済み)(単位:100万ドル、%)(△はマイナス値)(-は該当なし)

輸出(単位:100万ドル、%)(△はマイナス値、-は該当なし)
主要品目 金額 前年比 主要品目に対する寄与度が最大の個別品目
品目 寄与度
合計 1,435,128 △ 13.2
食料品・飲料 139,726 6.6 大豆 5.52
工業用原材料 455,009 △ 13.6 エネルギー関連製品 △ 10.18
(うち原油) 50,216 △ 22.8
資本財 460,586 △ 16.0 民間航空機 △ 5.01
自動車・同部品など 127,200 △ 21.7 部品・周辺機器(エンジンおよび同部品以外、カナダ向け以外) △ 4.65
消費財 174,068 △ 15.1 宝飾品 △ 4.23
その他 78,539 △ 0.4

出所:商務省データを基にジェトロ作成

輸入(単位:100万ドル、%)(△はマイナス値、-は該当なし)
主要品目 金額 前年比 主要品目に対する寄与度が最大の個別品目
品目 寄与度
合計 2,350,698 △ 6.6
食料品・飲料 155,508 2.6 その他の農産物、飼料、飲料 1.90
工業用原材料 429,377 △ 18.3 エネルギー関連製品 △ 16.21
(うち原油) 79,759 △ 38.7
資本財 649,437 △ 4.6 民間航空機用エンジン・部品 △ 2.61
自動車・同部品など 311,395 △ 17.4 乗用自動車(カナダ向け以外) △ 6.70
消費財 640,456 △ 2.4 宝石 △ 1.34
その他 164,525 31.0

出所:商務省データを基にジェトロ作成

輸出入ともに減少の主な要因となったエネルギー関連製品の落ち込みは、原油価格の大幅な下落が影響したとみられる。米国エネルギー情報局(EIA)によると、2020年の米国産原油の1バレル当たりの平均価格(WTIスポット)は前年より17.83ドル値下がりし、2004年以来最安値の39.16ドルとなった。

対中、対日赤字は減少

財貿易を主要国・地域別にみると、輸出では中国以外、輸入ではアジアNIES以外で前年比で減少した。輸出では、EUが前年比31.3%減の2,323億ドルで、最大の押し下げ要因だった(表3参照)。民間航空機・部品、乗用自動車、原油などが押し下げた。次いで、メキシコが17.2%減の2,128億ドルとなった。石油および歴青油(原油を除く)、計算機など(コンピュータを含む)の部品および周辺機器、自動車部品などが減少した。カナダが12.7%減の2,561億ドルで続いた。自動車部品、原油、貨物自動車が減少した。

輸入でも、EUが前年比19.5%減の4,169億ドルで、最大の押し下げ要因になった。ターボジェット・ターボプロペラや、乗用自動車、石油および歴青油(原油を除く)などが押し下げた。次いで、カナダが15.2%減の2,759億ドルとなった。原油、乗用自動車、石油および歴青油(原油を除く)が減少した。続いて、メキシコが9.3%減の3,301億ドルで、乗用自動車、貨物自動車、原油が減少した。

対中貿易に関しては、中国国内の経済活動の回復などを背景に、大豆や原油などを中心に輸出が16.0%増と伸びたことから、赤字額は前年比9.9%減少し3,102億ドルとなった。

対日貿易は、乗用自動車や半導体などの製造装置および部分品などの輸入が減少したことで、貿易赤字は前年比20.0%減と大きく減少し、赤字額は2010年以来最小の558億ドルだった。

表3:2020年の国・地域別財貿易(国際収支ベース、季節調整済み)(単位:100万ドル、%)(△はマイナス値)
国・地域 輸出 輸入 貿易収支
金額 前年比 金額 前年比 金額 前年との差
世界計 1,435,128 △ 13.2 2,350,698 △ 6.6 △ 915,570 △ 51,239
中国 125,231 16.0 435,466 △ 3.7 △ 310,236 34,003
EU 232,318 △ 31.3 416,921 △ 19.5 △ 184,604 △ 5,124
北米 468,811 △ 14.8 606,075 △ 12.1 △ 137,264 1,869
階層レベル2の項目メキシコ 212,751 △ 17.2 330,144 △ 9.3 △ 117,393 △ 10,126
階層レベル2の項目カナダ 256,060 △ 12.7 275,931 △ 15.2 △ 19,871 11,995
日本 64,444 △ 14.0 120,224 △ 16.9 △ 55,780 13,955
アジアNIES 133,527 △ 12.0 176,028 7.5 △ 42,501 △ 30,511
インド 27,288 △ 20.6 51,222 △ 11.2 △ 23,934 △ 590
サウジアラビア 11,034 △ 23.1 9,026 △ 32.9 2,008 1,110
ブラジル 34,897 △ 18.3 23,078 △ 25.1 11,819 △ 91
その他 337,578 △ 0.0 512,658 14.7 △ 175,078 △ 65,860

出所:商務省データを基にジェトロ作成

物流停滞も影響

2020年の貿易には、新型コロナウイルス感染拡大による船舶の遅延を含む世界的な物流の停滞も影響した。デンマークを拠点とする欧海事データ分析会社シー・インテリジェンスの調べ(注)によると、世界の船舶のうち、スケジュールどおりに港に到着した割合は、2020年11月が50.1%、12月が44.6%で、それぞれ前年同月の80.0%、76.3%から大きく低下した。米国・アジア間に関していえば、2020年10月から11月で、アジア・西海岸間が28.6%、アジア・東海岸間が26.4%とさらに低い水準となっている(アメリカンシッパー、2020年12月17日)。


注1:
毎月12,000を超える個別の船舶の到着状況を調査。
執筆者紹介
ジェトロ・ニューヨーク事務所 リサーチャー
大原 典子(おおはら のりこ)
民間企業勤務を経て2013年よりジェトロ・ニューヨーク勤務。自動車産業を柱に米国の産業調査を担当。

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