【コラム】新型コロナ第2波が落ち着き始めた中、チェンナイへ(インド)
羽田発デリー着ANA便、デリー発チェンナイ着インディゴ便の搭乗報告

2021年8月19日

インドでの新型コロナウイルス感染第2波が徐々に落ち着き始める中、日本に一時退避していた駐在員が少しずつインドへ戻り始めている。筆者も日本に一時退避した後、7月26日にチェンナイ〔インド南部のタミル・ナドゥ(TN)州の州都〕に戻った。利用したのは、羽田発デリー着全日空(ANA)便とデリー発チェンナイ着インディゴ便だ。その際の渡航の様子を手続きも含めて実体験から報告する。

デリー経由でチェンナイ渡航

日本・インド両政府間で2020年10月、エア・バブル外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(入国前後の渡航や移動制限などの障壁を緩和・撤廃する二国間協定)が締結。ANAや日本航空(JAL)、エア・インディアにより、羽田発デリー便がほぼ毎週運航されている。また、2021年7月からインドの航空会社ヴィスタラも就航した。

日本からのチェンナイ直行便については、ANAが2019年に就航していた。しかし、現在は運休中となっている。このため、チェンナイに向かうには、デリー経由で渡航する駐在員が多いとみられる(注1)。

筆者が搭乗したフライトは以下のとおり。

  • 7月26日午前10時45分羽田発デリー着ANA便(NH837)
  • 同日午後8時45分デリー発チェンナイ着インディゴ(IndiGo)便(6E2162)

搭乗までの準備

現在、空路でのインド入国に際しては、インド中央政府の通達を踏まえた各州政府の告示と、利用する航空会社の要請の双方の順守が求められる。具体的には、(1)新型コロナウイルスのRT-PCR検査、(2)その英文陰性証明書取得し、所定の手続き、(3)インド入国後に2週間のセルフモニタリング、が要請される。同検査の英文陰性証明書がなければ、インドへの入国は原則認められていない。

また、TN州は州外からの入境に対し、「ePass」(国外および州外からの移動に関する許可証)の取得を義務付けている。そのため、筆者のチェンナイ渡航では、「ePass」も事前取得した。

以下、搭乗までに筆者が進めた準備を時系列にまとめる。紹介する書類はフライト搭乗時に印刷して持参したものだ。

  1. ANA、インディゴの搭乗eチケット
  2. 航空会社の指定フォーム(事前に情報を登録)
    いずれの航空会社も、国際線搭乗者に事前の情報登録を求めている。ANAの場合、事前登録の締め切りを出発時刻の48時間前までと設定している(ANA公式サイト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。
  3. 羽田空港出発時刻の72時間前以降に受検したRT-PCR検査の英文陰性証明書
  4. 「自己申告書(Self-Declaration Form)」
    デリー空港公式サイト内Air Suvidha外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますで搭乗前までに「自己申告書(Self-Declaration Form)」の内容を登録しなければならない。求められる情報は、インドの滞在先住所、携帯電話番号、利用フライト情報、個人情報など。これらを入力し、パスポート画像とRT-PCR検査の英文陰性証明書をアップロードする必要がある。
    これらの諸情報をAir Suvidha上で提出が完了した後、「自己申告書(Self-Declaration Form)」がeメールで届き、印刷可能となる。
  5. TN州の「ePass」
    必要情報は、日本とインドの滞在先住所(出発前と出発後)、携帯電話番号、利用フライト情報、個人情報、空港から自宅への移動手段、ドライバー情報など。専用サイト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますからこれらを入力し、国際線フライトチケットとパスポート画像をアップロードする必要がある。
    入力完了後、eメールが届き、記載されたリンクから「ePass」のデータを入手できる。

Air Suvidhaの「自己申告書
(Self-Declaration Form)」(ジェトロ撮影)

「ePass」の書式(ジェトロ撮影)

出発前の羽田空港での手続き

羽田空港のANAカウンターでは、まずAir Suvidhaの「自己申告書(Self-Declaration Form)」とRT-PCR検査の英文陰性証明書の確認が行われた。その後は、通常どおりの搭乗手続きだった。筆者が確認する限り、機内の搭乗率は2割程度。インド人の東京オリンピック関係者も見られた。


ANA搭乗前に受け取ったフェースシールド(ジェトロ撮影)

デリー空港に到着

デリー着陸前、機内アナウンスにより、インド当局の要請として航空会社から提供されるフェースシールドの着用が求められた。その後、デリー空港第3ターミナルに到着し、降機した。

入国審査ゲートに向かって進む途中で、係官から搭乗券の提示を求められ、スタンプが押された。スタンプには、「SELF MONITORING OF HEALTH FOR 14 DAYS  AUTHORISED SIGNATORY」と記載。また、別の場所で係官から検温を受けた。入国審査は、通常どおりの手続きだった。


筆者のANA搭乗券、押されたスタンプには下赤線表示(ジェトロ撮影)

国内線の旅客利用は回復しつつある

デリー空港第3ターミナルで預け入れ荷物を回収した後、チェンナイへの乗り継ぎのため、7月22日に再開された第2ターミナルに向かった。混雑しない程度に利用客が回復してきた印象を受けた。フードコートの営業も再開されていた。

国内線搭乗手続きは通常どおり。RT-PCR検査の英文陰性証明書の提示は求められなかった。なお、機内の搭乗率は7割程度で、3人掛けの真ん中席の乗客は、配付されたガウンの着用が求められていた。

チェンナイ空港に到着すると、通常どおり預け入れ荷物を回収し、帰宅することができた。

常に最新情報を確認し、十分な事前準備を

2020年3月ロックダウン以後のインド渡航を既に1度でも経験した方にとっては、渡航関連手続はそれほど難しくはないだろう。手続きの煩雑さの程度は、筆者の日本への一時帰国時(2021年5月)の検疫に比べると低かった。隔離を求められることもなかった。

筆者は今回のチェンナイへの渡航に関し、不具合や混乱に遭遇することはなかった。しかし、渡航する方は常に最新情報を確認するとともに、十分な事前準備をお勧めしたい(注2)。


注1:
日本からチェンナイへの渡航には、成田発ベンガルール着JAL便を利用し、陸路でベンガルールからチェンナイへ向かう方法もある。
注2:
本報告はあくまでも7月26日時点の状況に基づく。運用が変更になることも想定され、実際の渡航にあたっては最新の情報を収集する必要があるだろう。また、当記事はあくまで筆者個人の経験にすぎない。同様の手法でチェンナイへの渡航が保証されるものでないことにも留意が必要だ。
執筆者紹介
ジェトロ・チェンナイ事務所
浜崎 翔太(はまさき しょうた)
2014年、財務省 関東財務局入局。金融(監督、監査)、広報、および財産管理処分に関する業務に幅広く従事した。ジェトロに出向し、2020年11月から現職。