2019年の新車の新規登録台数は前年並み(ベルギー)
2020年上半期の新車登録台数は前年同期比30.2%減

2020年8月18日

ベルギー自動車工業会(FEBIAC)によれば、2019年通年の新車登録台数は、2018年9月に導入された国際調和排出ガス・燃費試験法(WLTP)の影響があったものの、前年からほぼ横ばいで前年比0.1%増の55万3台となった。

2020年に入ると、新型コロナウイルス感染拡大防止措置の影響により、上半期(1~6月)の新車登録台数は、前年同期比で30.2%減の21万6,605台となり、前年同期の31万188台から大幅に減少した。

2019年の新車登録台数は前年並み

FEBIACによれば、2019年通年の新車登録台数は好調だった前年からほぼ横ばいの55万3台となり、過去最高を記録した2011年の57万2,211台に次ぐ水準となった。2019年上半期(1~6月)は、前年9月に導入された新規登録車に対するWLTPの駆け込み需要に対する反動で、前年同月比でマイナス成長を記録し続けたが、同年7月に、新車登録台数が過去10年の7月としては最高の4万5,110台を記録し、プラス成長に転じた。その後、9月には、WLTP導入による影響を最も大きく受けた前年同月から31.6%増となり、続く10月も15.8%増と、10月の新車登録台数としては、過去2番目の実績となった。

2019年に新規登録された乗用車をメーカー・ブランド別にみると、フォルクスワーゲンが2年連続1位で、2位はルノー、3位はプジョーだった(表1参照)。これに、メルセデス・ベンツとBMWが続いた。

表1:2019年の主要メーカー・ブランド別新車乗用車登録台数の推移(単位:台、%)(△はマイナス値)
メーカー・ブランド 2016年 2017年 2018年 2019年 シェア 前年比
フォルクスワーゲン 53,021 50,461 52,738 53,106 9.7 0.7
ルノー 55,871 50,949 50,213 48,410 8.8 △3.6
プジョー 37,593 41,865 42,623 42,832 7.8 0.5
メルセデス・ベンツ 33,586 37,419 35,526 37,938 6.9 6.8
BMW 40,227 42,176 40,057 36,632 6.7 △8.6
オペル 38,470 37,553 34,420 31,200 5.7 △9.4
アウディ 33,225 33,323 28,710 31,183 5.7 8.6
シトロエン 25,154 24,895 23,561 27,476 5.0 16.6
フォード 25,316 24,460 23,830 24,075 4.4 1.0
ダチア 17,646 18,930 19,658 21,802 4.0 10.9
トヨタ 17,239 17,704 17,933 17,476 3.2 △ 2.5
日産 16,441 18,287 19,290 13,848 2.5 △ 28.2
マツダ 7,342 7,730 8,693 9,537 1.7 9.7
スズキ 6,641 6,962 7,038 6,106 1.1 △ 13.2
ホンダ 3,619 3,266 3,093 3,199 0.6 3.4
三菱自動車 2,169 1,856 2,404 2,520 0.5 4.8
レクサス 1,723 1,656 1,468 1,479 0.3 0.7
スバル 504 556 558 379 0.1 △ 32.1
日系ブランドの合計 55,678 58,017 60,477 54,544 9.9 △ 9.8
全体合計 539,519 546,558 549,632 550,003 100 0.1

出所:ベルギー自動車工業会

日系ブランドの新車登録台数は、前年比9.8%減の5万4,544台となり、市場シェアは9.9%だった。うち、トヨタは2.5%減の1万7,476台と微減にとどまったものの、日産は1万3,848台(28.2%減)と大きく減少した。マツダは9,537台(9.7%増)、スズキは6,106台(13.2%減)、ホンダは3,199台(3.4%増)となった。

2019年の新車登録台数を燃料タイプ別にみると、ガソリン車とハイブリッド車、電気自動車のシェアが増加した一方、ディーゼル車のシェアは減少した(表2参照)。

表2:新車登録台数の燃料タイプ別シェアの推移(単位:%)
燃料別 2018年 2019年 2020年上期
ガソリン 58.6 61.6 56.5
ディーゼル 35.5 31.4 32.1
ハイブリッド 4.5 4.8 8.4
電気 0.7 1.6 2.3
天然ガス 0.7 0.6 0.6

出所:ベルギー自動車工業会

2020年はコロナ禍で3~4月に大幅に減少も、6月には回復

2020年に入ると、新型コロナウイルスの感染拡大防止措置の影響を受け、上半期の新車登録台数は大幅に落ち込んだ。2020年3月の新車登録台数は、13日からの店舗閉鎖や販売・納車の中止など、営業活動に対する制限措置が実施されたことにより、前年同月比47.5%減となり、店舗閉鎖の義務付けで、販売活動がほぼ停止した4月には、90.1%減まで落ち込んだ。5月になると制限措置の緩和段階に入り、4月までに発注・入荷されていた車の納車が開始された結果、新車登録台数は32.0%減となり、6月には1.8%減まで回復した。FEBIACは、2020年上半期の新車登録台数の大幅な落ち込みの原因は新型コロナ危機であり、新型コロナウイルスの感染拡大が収束していない以上、2020年下半期での巻き返しは限定的となる、との見方を示した。

燃料タイプ別では、2020年上半期の新規登録車に占めるハイブリッド車のシェアが増加した。電気自動車とディーゼル車の市場シェアも微増している一方、ガソリン車のシェアは減少した。

所有者のカテゴリーを燃料タイプ別にみると(表3参照)、企業によって新規登録された車の45.2%をディーゼル車が占め、ガソリン車(38.3%)が続く。一方、個人によって新規登録された車は、ガソリン車が全体の73.7%を占め、次いでディーゼル車(19.8%)となった。FEBIACは、企業の新規登録車の15.6%をハイブリッド車と電気自動車が占める一方、個人では5.8%にとどまっていることから、ハイブリッド車と電気自動車のシェアの増加は、企業が牽引したと分析している。

表3:2020年上期の燃料タイプ別の所有者の内訳(単位:%、台)
燃料別 企業 自営業 個人
ガソリン 38.3 59.0 73.7
ディーゼル 45.2 29.3 19.8
ハイブリッド 11.8 8.2 4.9
電気 3.8 2.4 0.9
天然ガス 0.8 0.4 0.4
LPG 0.0 0.3 0.3
水素 0.0 0.0 0.0
合計台数 102,791 5,308 108,506

出所:ベルギー自動車工業会

カテゴリー別では、2020年上半期に新規登録車の40.9%をスポーツ用多目的車(SUV)が占め、最も多かった。中でも、小型と中型のSUVのシェアが大きく、それぞれ、14.0%、23.1%を占めた。2位になったのはファミリーカーで、市場シェアの28.4%を占めた。特に、小型サイズのファミリーカー(市場シェア20.4%)が人気となっている。

ベルギーでは、フランダース政府が低炭素排出車にかかる車両税を免除するなどの措置を2020年12月末まで実施しており、今後も電気自動車やハイブリッド車の新車登録台数は増えるとみられるが、新型コロナウイルス感染拡大による影響がどこまで続くかは不透明である。

執筆者紹介
ジェトロ・ブリュッセル事務所
大中 登紀子(おおなか ときこ)
2015年よりジェトロ・ブリュッセル事務所に勤務。