都市封鎖下で急成長する宅配サービス(カザフスタン)

2020年4月27日

カザフスタンでは、新型コロナウイルスの感染拡大により首都ヌルスルタン(旧アスタナ)市やアルマトイ市をはじめとする主要都市が封鎖。市民の経済活動は著しく制限されている。そのような状況でも、一部の業界は顧客を増やし業績を上げている。特に成長目覚ましいのは、電子商取引(EC)と宅配サービスを組み合わせたビジネスだ。

フード宅配プラットフォーム大手チョコフードの3月期のサービス利用者は前月比23.5%増で、4月期に入っても増加を続けている。都市別ではヌルスルタンで51%増、カラガンダ56%増、シムケント35%増となった。食品宅配サービスも売り上げを伸ばしている。スーパーマーケットチェーン大手マグナムは、ヌルスルスタン、アルマトイで都市封鎖が開始された翌日から食品を中心とした商品宅配サービスを開始した。

スペイン・バルセロナ発のオンデマンド宅配プラットフォームであるグローボ・カザフスタンの最高経営責任者(CEO)のカリム・ボグスパエフ氏によると、カザフスタン国内での宅配注文アプリのダウンロード回数は2倍に増加。全オーダーの10%を食品が占め(都市封鎖前の4倍)、さらに増える見込みだ。封鎖による消費者行動の変化で、週末以外に平日のオーダーも10~15%増えた。

宅配に欠かせないのは配達業者の確保だ。チョコフードによると、市外の配達業者が市内に入れずに業者が一時的に不足したが、現在では市内の需要が減ったタクシー業者も宅配を行っている。

営業を停止し様子を見ていた外食業界も、非常事態の長期化に備えて宅配に活路を見いだそうとしている。タクシー配車サービスプラットフォーム大手のヤンデクス・タクシーの中央アジア市場開拓担当マネジャー、タミルラン・シャピエフ氏は「デリバリー契約を申請するレストランやカフェが倍増し、現在登録作業に追われている」と話す(経済紙「クルシブ」4月12日)。

アルマトイの宅配プラットフォーム、インスタショップKZのオレグ・プロコシェフ社長は、カザフスタンを含む世界の宅配サービスは「非接触型」に移りつつあるとみる(ポータルサイト「フォーブス・カザフスタン」3月31日)。同社は注文主の自宅のドア横まで商品を配送し、到着通知を受けた注文主が商品を受領後にオンラインで決済する非接触型の宅配サービスを提供している。

執筆者紹介
ジェトロ・タシケント事務所
増島 繁延(ますじま しげのぶ)(在カザフスタン)
2006年から、カザフスタンのアスタナ(現ヌルスルタン)在住。2019年から、タシケント事務所コレスポンデント。