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「広深港高速鉄道」全線開通初日に高速鉄道に乗車して(香港)

2018年10月2日

香港と広州を結ぶ初めての高速鉄道、「広深港高速鉄道」が9月23日(日曜)に正式開通した。これにより、香港は約2万5,000キロメートルに及ぶ中国本土の高速鉄道網に接続された。筆者は開通初日の23日に、香港側の出発駅となる「西九龍駅」(写真1)にて実際に乗車券を購入し、高速鉄道に乗車した。乗車券の購入から、香港出境および中国本土の入境手続きを共に行う「一地両検」(注1)など乗車に至るまでの流れを報告する。


(写真1)西九龍駅(ジェトロ撮影)

乗車券購入

  1. 購入窓口に並ぶ

    10時55分(香港時間):西九龍駅の高速鉄道乗車券売り場に並ぶ。売り場は、自動券売機(注2)コーナー(写真2)と、窓口に分かれている。自動券売機では、中国本土の身分証明証保持者および香港・マカオ住民で中国本土への渡航に必要な「港澳居民来往内地通行証」(回郷証)保持者のみが購入できる。それらの証明証を保持しておらず、日本のパスポートを保持している筆者は、窓口に並んだ。


    (写真2)自動券売機(ジェトロ撮影)

    窓口は、(1)高速鉄道の香港区間を運営する香港鉄路(MTR)のウェブサイト(注2)を通じて既に予約済みでチケットを受領する窓口(取票)、(2)電子決済(クレジットカードやWeChat Payなどのモバイル決済サービス)によるチケット購入窓口(電子貨幣)、(3)現金によるチケット購入窓口(只限現金)、(4)香港以外の中国本土区間のチケット購入窓口、に分かれている。筆者は(3)の現金によるチケット購入窓口に並んだ。現金の購入窓口には既に50人ほどが列を作っていた(写真3)。現金窓口は5つあるが、窓口職員が乗客の処理やトラブル対応などに時間をとられており、5つすべてが十全に稼働しているとは言えない状況であった。前述の自動券売機コーナーでチケットを購入可能な人たちも列に加わっていたが、MTRの職員が乗客に自動券売機もある旨を声掛けしたため、何人かは自動券売機での購入のため列から離れた。


    (写真3)乗車券の販売窓口(ジェトロ撮影)
  2. 乗車券を購入

    11時56分:1時間1分の待ち時間を経て、購入窓口に到着した。職員にパスポートを手交し、西九龍駅から2つ先の深セン北駅までの区間の二等車乗車券を往復で購入した。当該高速鉄道の乗車時には、45分前に駅に到着し出入境手続きを行うことが奨励されている。そのため、窓口到達時間から1時間後以降に出発する列車で空席のある列車を尋ね、職員が勧めた13時24分発のG6534号(終着駅は広州南駅)の乗車券を購入した。座席の場所はランダムに決定されるので、座席の指定はできない。

    職員から「中国本土に渡航する際のビザはないのか」と尋ねられたが、「日本人は15日以内の渡航であればビザは免除されている」(注3)旨を伝えた。職員は「私はイミグレーションの職員ではないので詳細は分からないが、一応尋ねた」と答えた。ちなみに、購入に際して、自身の携帯電話番号を聞かれる。

    運賃は片道75元(約1,200円、1元=約16円)で、毎月の人民元・香港ドル間の為替レートに基づき、香港ドル建ての金額が決定される(購入時は86香港ドル)。乗車券面には、自身のパスポート番号、氏名(英語)が、一部消されたかたちで表示される。

    窓口に到達してから、手続き終了までの時間は約8分であった。

出入境手続き

西九龍駅にて「広深港高速鉄道」に乗車する場合は、同駅にて香港側の出境手続きに加え、中国本土側の入境手続きを行う「一地両検」が実施されている。 筆者は12時5分、出発口に到着した。到着から乗車までの一連の流れは以下のとおり。

  1. 購入した乗車券を自動改札口(写真4)に投入。

    (写真4)自動改札口(ジェトロ撮影)
  2. 香港側荷物検査
  3. 香港側出境手続き。筆者は香港居民身分証(香港IDカード)を保持しているため、香港居民と書かれた自動検査レーンで手続きを行った。
  4. 香港側税関検査
    ※香港側税関検査を終えると、免税店(写真5)が数店設置されたエリアに出る。

    (写真5)免税店エリア(ジェトロ撮影)
    その後、「香港口岸区」(香港特別行政区政府側が管理するエリア)と「内地口岸区」(中国政府が管理するエリア)の境界(地面に記載されている)を超え、中国本土側が管理するエリアへ出る(中国側の法律が適用される)。
  5. 中国本土側の入境手続き。窓口付近にいる警察官に声を掛け、中国の出入境時に必要な書類である「外国人入境卡」(外国人入境カード)を入手し記入後、「Foreigner」と書かれた窓口に並ぶ。日本語での電子音声に従い、左手の親指を除く4本の指紋の電子採取および写真撮影を行う。パスポートには、入境地点を「西九龍」と明記した本土入境スタンプが押される。
  6. 中国本土側税関検査(エックス線検査)
  7. 乗車待合室(写真6)に到着。乗車待合室には、乗車する列車の改札口が電子表示されている。
    1.~7.に要した時間は約15分であった。

    乗車までは、乗車待合室で時間を過ごす。乗車手続き開始は出発の約15分前。待合室の各種案内は、中国語の繁体字および英語で表示されている。オレンジ色の服を来たMTRの職員の姿も目立つ。一方、警備に当たるのは中国本土の公安職員および警備員であった。待合室エリアは、香港の雰囲気と中国本土の雰囲気が入り交じる独特な空間となっている。


    (写真6)乗車待合室。スクリーンでは列車の行き先・発車時刻および改札口が表示(ジェトロ撮影)
  8. 乗車改札。乗車15分前から改札が開始されるため、13時ごろにスクリーンに表示されている改札口(写真7)に並んだ。しかし、15分前になっても改札は開始されない。その後、列車が3分遅れ、13時27分発車となることがスクリーンに表示された。

    13時15分:改札が開始された。再度、自動改札口を通過し、エスカレーターを降りてプラットホームに降りる。


    (写真7)乗車改札口(ジェトロ撮影)
  9. フォームには、2017年6月に営業運転を開始した新型車両「復興号」(写真8)が停車しており、13時17分に乗車した。

    (写真8)フォームに停車中の復興号(ジェトロ撮影)

出発

定刻より4分遅れの13時28分に、西九龍駅を出発した。香港区間は地下を時速200キロ以下で走行。走行速度は前方の電光掲示板に表示される。13時43分に最初の停車駅である福田駅に到着した。

13時48分:福田駅を出発し、地下区間を抜け地上区間へと出る。定刻より4分遅れの13時53分に深セン北駅に到着した。深セン北駅は、人がごった返す中国の鉄道駅そのものの雰囲気。わずか25分の高速鉄道乗車時間であったが、短時間で香港から中国本土に移動してきたことを実感した。


注1:
「一地両検」の流れについては、香港特別行政区政府運輸・房屋局のサイトで、さまざまなPR資料・映像資料が公開されている。
注2:
MTRの高速鉄道関連の情報は以下のページに、中国語(繁体字、簡体字)ページ、英語ページに分かれてまとめられている。
注3:
一般旅券を所持する日本国民が、中国へ観光、商用、親族・知人訪問あるいは通過の目的で中国に入国する場合、中国での滞在日数が15日以内(入国日を含む)であれば、ビザは免除される。
執筆者紹介
ジェトロ・香港事務所 次長
中井 邦尚(なかい くにひさ)
1996年、ジェトロ入構。清華大学留学(2000~2001年)、ジェトロ・北京事務所経済信息部長(2002~2008年)、本部海外調査部中国北アジア課課長代理(2008~2012年)、ジェトロ・成都事務所長(2014~2015年)などを経て、2015年9月より現職。

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