調味料の輸入規制、輸入手続き
UAEの輸入規制
1. 輸入禁止(停止)、制限品目(放射性物質規制等)
調査時点:2020年12月
1. 放射性物質規制
アラブ首長国連邦(UAE)政府は、2020年12月10日付で東京電力福島第一原子力発電所事故の発生に伴う日本産食品の輸入規制を撤廃しました。
2. 輸入地域規制
2017年6月のカタールとの断交以降、カタールとの輸出入は不可となっています(2020年11月現在)。
関連リンク
- 関係省庁
-
農林水産省
- その他参考情報
-
農林水産省「レバノン及びアラブ首長国連邦(UAE)による日本産食品の輸入規制の撤廃について」(2020年12月15日付)
- 根拠法等
-
UAE政府広報
2. 施設登録、輸出事業者登録、輸出に必要な書類等(輸出者側で必要な手続き)
調査時点:2020年11月
1. 輸出に必要な書類
UAEへの輸入に通常必要な書類(船荷証券(B/L)、インボイス、パッキングリスト、原産地証明書)のほかに次の書類が必要になります。
- 衛生証明書
日本の商工会議所で衛生証明書の代替となるサイン証明書を取得する必要があります。その際、ドバイ向けにかぎっては、サイン証明書の書式が規格化されています。書式は、サイン証明を発給する最寄りの商工会議所から入手してください。 - ハラール証明書
現状は、牛肉および牛肉派生品に限りハラール証明書が求められます。「その他」の記載を参照してください。
3. 動植物検疫の有無
調査時点:2020年11月
UAEに日本から調味料を輸入する場合は、動物および植物検疫証明書なしで輸出できます。
関連リンク
- 関係省庁
-
植物防疫所
-
動物検疫所
-
連邦気候変動環境省(MOCCAE)(英語)
- 根拠法等
-
連邦法 No. 5 1979「植物検疫(Agricultural Quarantine)」(英語)
(103KB)
-
連邦法 No. 5 1979「植物検疫(Agricultural Quarantine)」の改正(連邦法No. 6 1992)(英語)
(12KB)
-
連邦法 No. 6 1979「動物検疫(Veterinary Quarantine)」および改正連邦法No. 7 1992(英語)
(104KB)
-
連邦法 No. 6 1979「動物検疫(Veterinary Quarantine)」の改正(連邦法No. 7 1992)(英語)
(24KB)
-
連邦気候変動環境省 省令No. 460 2001「GCCにおける動物検疫執行令に関する省令」(英語)
(26KB)
- その他参考情報
-
植物防疫所「各国の輸入規制等詳細情報アラブ首長国連邦」
UAEの食品関連の規制
1. 食品規格
調査時点:2020年11月
1)食品安全・衛生規制
UAEでは、調味料を含む食品は、GCCまたは連邦レベルで規定されている法律や規格、さらに各首長国の規定に従う必要があります。輸入される食品も同様です。
また2016年1月には、連邦レベルの食品安全法(Food Safety Law)が成立しました。同法は、公衆衛生と消費者保護を確保する効果的なシステムの主要要件について定めるもので、食品安全を脅かす違反に対してはより厳しい罰が課されることになりました。
食品安全要件と表示ラベルや消費期限などの規制が順守されているかどうかの監視は、各市政庁が担っています。店舗やレストランなどで抽出検査を実施し、食品の品質を確保しています。ドバイでは、食品安全局が2013年4月に「Food Code」という食品安全全般に関する規定をまとめた文書を公表しています。
2)調味料の食品規格
UAEでは、GSOレベルで発行されているさまざまな食品の規格(技術規則)を採用しており、代表的な調味料では、味噌やマヨネーズ、サラダドレッシング、穀物酢を含む食酢などの規格があります。醤油についてはUAEに規格は存在しませんが、GSOが成分やラベル表示の要件を明示した規格を新たに策定中です。この規格が発効されると、その要件を満たした製品以外はUAE(およびその他のGCC諸国)に輸出できなくなるため、適合性の確認が必要となります。
調味料のGSO規格(例) | UAEの現行規格 |
---|---|
味噌 |
UAE.S/GSO 2212 :2012 Fermented Soybean Paste GSO改正規格GSO 2212:2015(CODEX STAN 298R:2009を改変採用) |
マヨネーズ |
UAE.S/GSO 1316 :2011 Mayonnaise GSO改訂GSO 1316:2011/Amd 1:2015 |
サラダドレッシング | UAE.S/GSO 2198 :2012 Salad dressing |
ケチャップ | UAE.S/GSO 2199 :2012 Preserved tomato products - Ketchup |
食酢 | UAE.S/GSO 1974 :2010 Vinegar |
醤油 | なし:GSO規格を策定中Final Draft GSO 05/FDS/2016 Soy Sauce |
3)食品中の残留アルコール
アルコール製品やエタノールを製造時に添加物として使用することは認められていません(「3. 食品添加物」参照)。
果実や麦芽などの成分から最終製品中に自然発生するアルコールについては、各製品の規格などで一定の含有が認められている場合があります。GSOは、このような場合について統一的な規格の策定を進めており、今後の動向に留意する必要があります。
2. 残留農薬および動物用医薬品
調査時点:2020年11月
UAEでは、コーデックス規格を採用し、産業先端技術省(MoIAT)の発行規格「UAE.S CAC/MRL 1 :2013農産物および食品中の農薬の最大残留許容量(Maximum Residue Limits (MRLs) for Pesticides in agricultural and food products)」で、食品の残留農薬の最大残留許容量について規定しています。規格は、ESMAに登録して購入が可能です。
これに加え、連邦気候変動環境省(MOCCAE)が、省令を通じて禁止または制限農薬のリストを公表しています。省令は随時改正されており、2018年の改正省令では、禁止農薬のリストに346種類、制限農薬のリストには36種類、計382種類の農薬が含まれています。リストはESMAに請求すると送付してくれます。
関連リンク
3. 重金属および汚染物質
調査時点:2020年11月
一部の調味料は、重金属規制などの対象となります。UAEでは、汚染物質と毒素に関する基準として、コーデックス規格を採用し、「UAE.S CAC 193 :2013食品と飼料に含まれる汚染物質と毒素に関する一般基準(General Standard for Contaminants and Toxins in Food and Feed)」として産業先端技術省(MoIAT)がこれを公表しています。コーデックス規格では、缶飲料のスズの含有量は150ppmを超えてはなりません。また、「UAE.S GSO 841 :1997食品と飼料へのマイコトキシンの最大許容量‐アフラトキシン(Maximum Limits Of Mycotoxins Permitted In Foods And Animal Feeds – Aflatoxins)」により、食品へのアフラトキシンの最大許容量は、20μg/kg(一部の食品に例外あり)となります。これらの規格は、産業先端技術省(MoIAT)に登録して購入が可能です。
なお、例えば調味料では、液体調味料に含まれるクロロプロパノール(酸化水分解植物性たん白)がコーデックス規格の規制対象となっています。
重金属の種類 | 最大許容量(ppm) |
---|---|
ヒ素 | 0.1 ppm |
鉛 | 0.1 ppm |
重金属の種類 | 最大許容量(ppm) |
---|---|
ヒ素 | 0.5 ppm |
カドミウム | 0.5 ppm |
鉛 | 2.0 ppm |
水銀 | 0.1 ppm |
関連リンク
- 関係省庁
-
産業先端技術省(MoIAT)(英語)
- 根拠法等
-
UAE.S CAC 193 :2013食品と飼料に含まれる汚染物質と毒素に関する一般基準(General Standard for Contaminants and Toxins in Food and Feed)(英語)
-
UAE.S 1807 : 2007食品に含まれるカドミウムの最大許容量(Maximum Level For Cadmium In Food)(英語)
-
UAE.S/GSO CAC 230 :2007鉛の最大許容量(Maximum Level For Lead)(英語)
-
UAE.S GSO 841 :1997食品と飼料へのマイコトキシンの最大許容量‐アフラトキシン(Maximum Limits Of Mycotoxins Permitted In Foods And Animal Feeds – Aflatoxins)(英語)
- その他参考情報
-
CODEX STAN 193-1995 : General Standard for Contaminants and Toxins in Food and Feed (英語)
(614KB)
4. 食品添加物
調査時点:2020年11月
UAEで使用できる食品添加物は、各種規格によって規定されています。コーデックス規格を採用した2013年の「UAE.S CAC 192 : 2013食品添加物の一般基準(General Standard for Food Additives)」のほかに、添加物に関しては、「UAE.S 192 : 2016食品への使用が許可される添加物(Additives Permitted for Use in Foodstuffs)」や「UAE.S GSO 707 :1997食品への使用が許可される香料(Flavourings Permitted for Use in Foodstuffs)」などがあります。これらの規格は、産業先端技術省(MoIAT)に登録して購入が可能です。
また、ドバイ首長国の場合、ドバイ市政庁食品安全局による禁止食品添加物と特定品目にのみ許可される着色料のリストがあり、この要件も合わせて適用となります。添加物としての使用禁止物質には次の表の添加物が含まれます。添加物としてアルコールの使用は認められていません。
E 番号 | 添加物名(英語) | 添加物名(日本語) |
---|---|---|
E-102 | Tartrazine | 黄色4号 |
E-104 | Quinoline Yellow (yellow no.1) | キノリンイエロー(黄色1号) |
E-105 | Fast Yellow AB | ファストイエローAB (アゾ色素) |
E-107 | Yellow 2 G (Food Yellow 5) | イエロー2G(食用黄色5号) |
E-110※ | Sunset Yellow FCF | 黄色5号 |
E-122※ | Azorubine | アゾルビン |
E-123 | Amaranth (C.1. 16185. FD and C Red 2) | アマランス(C.1. 16185. FD and C 赤色2号) |
E-124 | Ponceau 4 R (Red 2) (CI. 16255) | ポンソー 4 R (赤色2号、CI. 16255) |
E-129※ | Allura Red AC | 赤色40号 |
E-131 | Patent Blue V (C.I. 42051) | パテントブルー V (C.I. 42051) |
E-142 | Green S (Acid Brilliant Green, Food Green S, Lissamine Green, C. 44090) | グリーン S (アシッドグリリアントグリーン、フードグリーン S、リサミンクグリーン C. 44090) |
E-924 | Potassium Bromate (Bread products) | 臭素酸カリウム (パン製造時に使用) |
E-952 | Cyclamate: An artificial intense sweetener with known links to testicular atrophy in rats and monkeys. These links led to cyclamate being banned in the United Kingdom, but European Union legislation allowed cyclamate back into our food and drink. |
チクロ: 強力な甘味を持つ人工甘味料であり、ネズミおよびサルの動物実験により精巣萎縮と関係があることが知られている。 英国ではチクロの使用を禁止したが、EUではいったん使用禁止にしたものの、食品や飲料へのチクロ使用を再容認している。 |
E-1510 | Ethanol (alcohol) | エタノール(アルコール) |
関連リンク
- 関係省庁
-
産業先端技術省(MoIAT)(英語)
-
ドバイ市政庁(英語)
-
アブダビ食品管理庁(ADFCA)(英語)
- 根拠法等
-
UAE.S CAC 192 : 2019 食品添加物の一般基準(General Standard for Food Additives)(英語)
-
UAE.S 192 : 2019 食品への使用が許可される添加物(Additives Permitted for Use in Foodstuffs)(英語)
-
UAE.S GSO 707 :1997食品への使用が許可される香料(Flavourings Permitted for Use in Foodstuffs)(英語)
- その他参考情報
-
アブダビ食品管理庁(ADFCA)「2019食品添加物の一般基準」(英語)
(602KB)
-
CODEX STAN 192-1995 : General Standard for Food Additives 2016(英語)
(3.8MB)
-
ドバイ市政庁食品安全局「禁止食品添加物および特定品目に許可される着色料のリスト」(英語)
(2.4MB)
-
ドバイ市政庁食品安全局「食品の輸入および再輸出に関する要件」(英語)
(2.4MB)
- ジェトロ「食品添加物規制調査 UAE」(2016年3月)(ジェトロ)
- ジェトロ「加工食品の輸入制度(アラブ首長国連邦(UAE))」(2014年2月)
5. 食品包装(食品容器の品質または基準)
調査時点:2020年11月
UAEでは、調味料の容器・包装に関する規制は、主に「UAE.S GSO 839 :1997食品包装‐パート1:一般的要件(Food Packages - Part 1: General Requirements)」および、「UAE.S GSO 1863 :2013食品包装 – パート2:プラスチック包装の一般的要件(Food packages - Part 2: Plastic package - General -requirements)」によって定められています。そのほか、次の規格も適用されます。
- 「UAE.S 5009 :2009酸化型生分解性プラスチック袋とその他の使い捨てプラスチック製品の規格と仕様(Standard & Specification For Oxo-Biodegradation Of Plastic Bags And Other Disposable Plastic Objects)」
- 「UAE.S GSO 1194 :2002食品パッケージに適用されるポリエチレンバッグの検査方法(Methods Of Testing Polyethylene Bags For Food Packaging Applications)」
酸化型生分解性プラスチックの食品包装については、連邦気候変動環境省(MOCCAE)の省令により2014年1月1日からその利用が義務付けられています。さらに産業先端技術省(MoIAT)の首長国適合性認証システム(ECAS)への登録と適合性認証が必要になります。これらの規格は、ESMAで登録して購入が可能です。
関連リンク
- 関係省庁
-
産業先端技術省(MoIAT)(英語)
-
連邦気候変動環境省(MOCCAE)(英語)
- 根拠法等
-
UAE.S GSO 839 :1997食品包装‐パート1:一般的要件(Food Packages - Part 1: General Requirements)(英語)
-
UAE.S GSO 1863 :2013 食品包装 – パート2:プラスチック包装の一般的要件(Food packages - Part 2: Plastic package - General -requirements)(英語)
-
UAE.S 5009 :2009 酸化型生分解性プラスチック袋とその他の使い捨てプラスチック製品の規格と仕様(Standard & Specification For Oxo-Biodegradation Of Plastic Bags And Other Disposable Plastic Objects)」(英語)
-
UAE.S GSO 1194 :2002食品パッケージに適用されるポリエチレンバッグの検査方法 (Methods Of Testing Polyethylene Bags For Food Packaging Applications)(英語)
- その他参考情報
-
首長国適合性認証システム(ECAS)のウェブサイト(ESMA)(英語)
- ジェトロ「加工食品の輸入制度(アラブ首長国連邦(UAE))」(2014年2月)
- ジェトロ「食品輸出にかかる食品接触材規則と留意点:欧州」(貿易・投資相談Q&A)
- ジェトロ「海外向け食品の包装制度調査(EU、TPP、米国、中国、韓国、台湾、インド、タイ、インドネシア、GCC、メルコスール)」(2020年3月)
6. ラベル表示
調査時点:2020年11月
ラベル表示に関しては、GSO規格である「UAE.S GSO 9 :2013包装食品のラベル表示(Labeling of prepackaged food stuffs)」の要件に従う必要があります。また、各首長国の食品安全局や食品管理庁も食品のラベル表示に関する指針などを定めています。
ドバイ首長国では、輸入前にラベルの承認を受ける必要があり、ラベルに表示しなければならない内容は次のとおりです。食品添加物の表示は、認可物質名または国際番号とその機能の表記が必要です。
- ブランド名
- 製品名(食品の説明の要約)
- 原材料(原材料を含有重量/容量の大きい順に)
- 製造日および消費期限(消費期限または有効期限の表示が免除されている場合を除く)
- 製造者、梱包者、販売者、または輸入者名
- 正味重量または容量
- 原産国(省略すると消費者の混乱や誤解を招く場合)
- 製品のバーコード
- ロット番号
- 保管条件(保管条件が製品の有効性に影響する場合)
- 過敏症を引き起こす可能性のある成分情報
- 使用説明(必要な場合)
- 栄養成分
ラベルはアラビア語で表示しなければなりません(最低限2、3、7、10、12、13について)。また、ラベルはステッカーの貼付でもよいとされています。
このほか、食品のラベル表示に関しては、栄養成分表示の要件や栄養と健康強調表示の要件に関するGSO規格があります。また食品の消費期限の詳細については、「UAE GSO 150 -1:2013食品の消費期限パートI:消費期限の義務(Expiration dates for food products - Part 1 : Mandatory expiration dates)」および「UAE.S GSO 150 -2:2013食品の消費期限パートII:任意の消費期限(Expiration dates for food products - Part 2 : Voluntary expiration dates)」で規定されています。製造年月日と消費期限を食品包装またはラベルに印刷する必要があり、記載方法は以次のとおり指定されています。製造日から消費期限までが3カ月以上ある場合は、月と年のみの表示でよいとされています。また、消費期限が3カ月以上の場合、製造日を省略できるルールがありますが、ドバイ首長国のみで通用するルールのため、ほかの首長国への運搬やGCCの他国へ再輸出ができません。製造日を記載することを推奨します。
- 製造日
- P:日/月/年
- 消費期限
- E:日/月/年
関連リンク
- 関係省庁
-
ドバイ市政庁(英語)
-
アブダビ食品管理庁(英語)
-
産業先端技術省(MoIAT)(英語)
- 根拠法等
-
UAE.S GSO 9 :2019 包装された食品のラベル表示規格(Labeling of prepackaged food stuffs)(英語)
-
UAE.S GSO 2233 :2019 栄養成分表示の要件(Requirements of nutritional labeling)(英語)
-
UAE.S GSO 2333 :2019 食品の栄養および健康強調表示の要件(Permitted Health And Nutrition Claims Made on Food and Their Conditions of use)(英語)
-
UAE GSO 150 -1:2017 食品の消費期限パートI:消費期限の義務(Expiration dates for food products - Part 1 : Mandatory expiration dates)(英語)
-
UAE.S GSO 150 -2:2016食品の消費期限パートII:任意の消費期限(Expiration dates for food products - Part 2 : Voluntary expiration dates)(英語)
- その他参考情報
-
ドバイ市政庁食品安全局「食品の輸入および再輸出に関する要件」(英語)
(2.4MB)
-
アブダビ食品管理庁「食品輸入者の手引き」(英語)
(373KB)
- ジェトロ「加工食品の輸入制度(アラブ首長国連邦(UAE))」(2014年2月)
7. その他
調査時点:2020年11月
なし
UAEでの輸入手続き
1. 輸入許可、輸入ライセンス等、商品登録等(輸入者側で必要な手続き)
調査時点:2020年11月
UAEにおける食品の輸入手続きは、各首長国の税関および食品安全局(Food Safety Department)や食品管理庁(Food Control Authority)が実施を担っています。
ドバイ首長国の場合、調味料を含むすべての食品の輸入に際して、輸入者によるドバイ市政庁食品安全局の食品輸入再輸出システム(FIRS:Food Import Re-Export System)への事前登録が必要となります(輸入者の要件は「輸入手続き」の「3.販売許可手続き」を参照)。 輸入する食品はすべてFIRSの登録分類システムに登録することになっており、輸入者は、輸入前に食品ラベルの評価も実施する必要があります。FIRSへの登録は、ドバイ市政庁E-Governmentを通じて行います。登録と輸入申請のための手順は次のとおりです。
- 企業の登録:商業ライセンスを持つ輸入者がドバイ市政庁のE-Governmentウェブサイトに登録してアカウントを作成し、そのうえでFIRSへの登録を行います。
- 食品の登録とラベル評価手続き:バーコード番号に基づいて輸入する食品をFIRSに登録し、ラベル評価手続きを行います。
- 食品輸入申請:FIRSの登録分類システムに登録した食品について、FIRSを通じて必要情報を入力し、輸入申請を提出します。手続きが完了すると照会番号が作成され、この番号は港での検査時に必要になります。
2018年2月からUAEの各エミレーツ(首長国)で共通運用する連邦気候変動環境省のポータルサイトのZad(アラビア語で食品の意)システムが運用開始され、当面はFIRSシステムと併用されていますが、将来的にはZadシステムに一元化される見込みです。システムの内容はFIRSシステムがベースとなっています。
関連リンク
- 関係省庁
-
ドバイ市政庁 (英語)
-
アブダビ食品管理庁(英語)
- その他参考情報
-
ドバイ市政庁「E-Governmentウェブサイト」(英語)
-
ドバイ市政庁食品安全局「食品の輸入および再輸出に関する要件」(英語)
(2.4MB)
-
ドバイ市政庁食品安全局「食品輸入者向けユーザーガイド:FIRSへの食品企業の新規登録方法」(英語)
-
ドバイ市政庁食品安全局「食品輸入者向けユーザーガイド:FIRSの食品登録とラベル評価、食品輸入申請の方法」(英語)
-
ドバイ市政庁食品安全局「食品輸入者向けユーザーガイド:食品輸入申請の方法」(英語)
(1.3MB)
-
ドバイ市政庁食品安全局「食品の輸入手続き」(英語)
(2.4MB)
-
アブダビ食品管理庁「食品輸入者の手引き」(英語)
(373KB)
- ジェトロ「中東向け輸出の際のイスラエル不寄港証明書等の概要と取得方法」
2. 輸入通関手続き(通関に必要な書類)
調査時点:2020年11月
調味料の輸入通関には、UAEへの輸入に通常必要な書類(輸入申告書、荷渡指図書(D/O)、船荷証券(B/L)、インボイス、パッキングリスト、原産地証明書)のほかに次の書類が必要になります。
- 衛生証明書(日本の商工会議所でサイン照明による衛生証明書を取得する必要があります。その際、ドバイ向けにかぎっては、サイン証明書の書式が規格化されています。書式は、サイン証明を発給する最寄りの商工会議所から入手してください)
- ハラール証明書(現状は、牛肉および牛肉派生品に限る。「その他」の記載を参照)
関連リンク
- 関係省庁
-
ドバイ税関(英語)
-
アブダビ税関(英語)
-
ドバイ市政庁(英語)
-
アブダビ食品管理庁(英語)
- 根拠法等
-
GCC統一関税法(Common Customs Law of the GCC states2008)(英語)
(568KB)
-
ドバイ税関「税関ポリシー(Customs Policy)」(英語)
-
ドバイ税関「各種改定の通達」(英語)
- その他参考情報
-
ドバイ税関「通関手続き:輸入」(英語)
-
ドバイ市政庁食品安全局「食品の輸入および再輸出に関する要件」(英語)
(2.4MB)
-
ドバイ市政庁食品安全局「食品輸入者向けユーザーガイド:港での検査(Inspection in the Ports)」(英語)
(1.6MB)
-
豊田商工会議所「ドバイ向け衛生証明(サイン証明)書式の規格化について」
- ジェトロ「加工食品の輸入制度(アラブ首長国連邦(UAE))」(2014年2月)
- ジェトロ「輸出入手続き」
3. 輸入時の検査
調査時点:2020年11月
GCCでは、各食品のリスクの高さに応じた食品検査システムを導入しており、輸入食品の種類によって検査の手続きが異なります。リスク分類のカテゴリーは、高中低の3段階で、人の健康に及ぼす危険性の度合いにより分類されます。GCC諸国は、このリスクベースシステムに分類に基づいて、輸入時の検査を実施する必要があります。
UAEにおける食品検査は、輸入通関手続地の食品安全局または食品管理庁が担っています。ドバイ首長国の場合、食品のラボラトリー検査は、ドバイ市政庁食品安全局の食品輸入再輸出サービス(FIRS)システムのリスク基準に従ってサンプル抽出し実施されています。
アブダビ首長国では、食品の種類によって人間に及ぼすリスクを高中低の3段階に分け、食品検査を実施しています。この食品の分類には「調味料」というカテゴリーはありませんが、「ケチャップやからしなどの酸性食品」が中リスクの食品リストに分類されているほか、「酢」が低リスクに含まれています。中リスクに分類される食品の50~70%、低リスクに分類される食品では85~90%に対して衛生書類の確認のみが行われますが、次の表のように、貨物検査やサンプル抽出とラボラトリー検査が行われる可能性もあります。なお、リスク度ごとの食品リストに分類されていないその他の食品についても、すべての食品の10%を無作為に抽出して、ラボラトリー検査のためのサンプル抽出が行われます。リスク分類ごとの食品リストやリスクの分類は随時、変更される可能性があります。
食品のリスク分類 |
衛生書類の確認 貨物検査 サンプル抽出・ラボラトリー検査 |
衛生書類の確認 貨物検査 |
衛生書類の確認 |
---|---|---|---|
高リスク | 80~100% | 0~10% | 0~10% |
中リスク | 15~25% | 15~25% | 50~70% |
低リスク | 5~10% | 0~5% | 85~90% |
関連リンク
- 関係省庁
-
ドバイ市政庁(英語)
-
アブダビ食品管理庁(ADFCA)(英語)
- 根拠法等
-
アブダビ首長国法No.2, 2008食品法(Food law)(英語)
-
アブダビ首長国規則No.2, 2008アブダビ首長国国境からの輸入食品検査のリスクベースアプローチ(Risk - Based approach for the control of imported foods via border of the emirate of Abu Dhabi)(英語)
(216KB)
-
アブダビ首長国規則No.5, 2010公式食品検査のサンプル抽出(Regulation No (5) of 2010 Food Sampling for Official Control)(英語)
(832KB)
- その他参考情報
-
2016年GCC輸入食品管理ガイド(GCC Guide For Control On Imported Foods 2016)(英語)
(1.9MB)
-
アブダビ食品管理庁「食品輸入者の手引き」(英語)
(373KB)
4. 販売許可手続き
調査時点:2020年11月
UAEで調味料を輸入・販売するにあたり、UAE国内共通のライセンスや登録はありませんが、輸入者は各国首長国において食品に特化した商業ライセンスあるいは一般商業ライセンスを取得する必要があります。商業ライセンスの発行は、各首長国の経済発展局(DED:Department of Economic Development)がそれぞれ実施しています。さらに、輸入者は、税関で登録し、会社コードを取得する必要があります。
関連リンク
- 関係省庁
-
ドバイ政庁経済発展局(英語)
-
アブダビ政庁経済発展局(英語)
- 根拠法等
-
Law No.13. 2011ドバイ首長国経済活動行為規制法(Regulating the Conduct of Economic Activities in the Emirate of Dubai)(英語)
-
連邦法No.2 2015会社法(Law on Commercial Companies)(英語)
(353KB)
- その他参考情報
-
ドバイ市政庁食品安全局「食品の輸入および再輸出に関する要件」(英語)
(2.4MB)
-
アブダビ食品管理庁「食品輸入者の手引き」(英語)
(373KB)
-
アブダビ経済発展局「アブダビでビジネスを開始するには」(英語)
-
ドバイ市政庁食品安全局「Food Code」(英語)
- ジェトロ「加工食品の輸入制度(アラブ首長国連邦(UAE))」(2014年2月)
5. その他
調査時点:2020年11月
なし
その他
調査時点:2020年11月
- ハラール認証
-
UAEでは、動物および家禽類由来の肉派生品(現状は、牛肉および牛肉派生品に限る)は、ハラール認証を得た食肉処理場で加工されたものでなければ、輸入ができません。輸入の際には、ハラールであることを示すハラール証明書が必要になります。食肉以外でも、ハラール認証のない食肉処理場で加工された油脂などの肉の派生品を原材料に含む食品は輸入ができないため注意が必要です。
ハラール証明書は、輸出国にあるイスラーム団体(ハラール・サーティフィケーション・ボディ:HCB)が産業先端技術省(MoIAT)に申請を行い、MoIATの関連組織で、HCBとしての適正を審査し、認可する組織のエミレーツ・インターナショナル・アクレディテーション・センター:EIAC)などが認可(Accredit)したHCBのみが発行でき、輸入時の許可要件の必要書類となっています。2020年6月時点では、宗教法人日本イスラーム文化センター(Japan Islamic Trust)、エミレーツハラールセンター(Emirates Halal Center for Standards & Quality Certificate Corporation)、NPO法人日本ハラール協会(Japan Halal Association) の3カ所が該当します。
UAEでは、特定の場所を除き、国内で流通しているものは原則ハラール食品となっています。そのため、輸入にあたってMoIATが発行するUAEのハラールマークの肉などを含む食品への貼付は許可条件となっておらず、また、UAE国内での販売には特に必要ありません。ハラールマークの取得に関する規制の詳細は、MoIATが2015年4月発行したUAE規格「UAE.S 2055-1:2015ハラール製品-パート1:ハラール食品の一般要件」に定められています。規格は、MoIATで登録して購入が可能です。
関連リンク
- 関係省庁
-
連邦気候変動環境省(MOCCAE)(英語)
-
産業先端技術省(MoIAT)(英語)
- 根拠法等
-
UAE.S 2055-1:2015ハラール製品-パート1:ハラール食品の一般要件(Halal products - Part one: General Requirements for Halal Food)(英語)
- その他参考情報
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産業先端技術省(MoIAT)「認定ハラール認証機関とと畜施設のリスト」(2020年6月18日)(英語)
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ドバイ市政庁食品安全局「食品の輸入および再輸出に関する要件」(英語)
(2.4MB)
- ジェトロ「加工食品の輸入制度(アラブ首長国連邦(UAE))」(2014年2月)
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ジェトロ「主要国におけるハラール関連制度・市場動向 -農林水産物・食品の輸出に向けて」(2016年3月)
(3.7MB)
- ジェトロ「ハラール調査-農林水産物・食品の輸出と海外のハラール産業政策動向-」(2018年3月
- ジェトロ「イスラーム食品市場輸出ガイドブック」(2017年11月)