日本からの輸出に関する制度

牛肉の輸入規制、輸入手続き

UAEの輸入規制

1. 輸入禁止(停止)、制限品目(放射性物質規制等)

調査時点:2017年2月

Ⅰ. 放射性物質規制

東京電力福島第一原子力発電所事故の影響により、UAE(ドバイおよびアブダビ両首長国)では、日本産食品の輸入に対して次のような規制措置がとられています(証明書発行日が2016年12月22日時点以降の措置)。これらの措置は、水産物およびアルコール飲料を除くすべての食品(食品添加物を含む)に適用されるもので、牛肉にも適用されます。

  1. 指定地域5県(岩手、宮城、福島、栃木、群馬)で生産・加工された製品:
    輸入時に、放射性物質検査証明の提出が求められます。日本の政府機関が発行する証明書は要しません。UAE(ドバイまたはアブダビ)側に登録した検査機関で放射性物質検査を行い、その検査結果(英文)を輸出品に添付します。次の放射性物質基準に適合している場合に輸入が認められます。
    • ヨウ素131:100 Bq/Kg
    • セシウム(セシウム134とセシウム137の合計):1,000 Bq/Kg
    両首長国により登録されている検査機関のリストは、農林水産省のホームページに掲載されています。
  2. 上記5県以外で生産・加工された製品:
    原料の50%超(主原料)が指定地域5県産でないことを確認した、日本の政府機関が発行する産地証明の提出が義務付けられています。商品の生産・加工地が5県以外であっても、主原料が指定地域産の場合(複数の原料を合わせて50%超となる場合を含む)には、当該原料の放射性物質検査報告書を産地証明に添付することが求められます。ドバイについては、商品や主原料の産地が不明の場合でも、最終製品について放射性物質検査証明があれば(上記1.の手続き)で輸入が認められます。アブダビへは、産地が不明な原料について放射性物質検査を行い、政府機関による産地証明を添付すれば輸入が認められます。
  3. 平成23年3月11日以前に生産・加工された食品:
    全47都道府県について、日本の政府機関が発行する日付証明が必要です。

「日本の政府機関」とは地方農政局などが該当し、インターネットの輸出証明書発行システムを通してこれらの機関に産地証明および日付証明の交付申請を行います。

Ⅱ. イスラエル

UAEは、イスラエルを原産とする製品、またはイスラエルのトレードマークやロゴが付された製品の輸入を禁止しています。

2. 動植物検疫の有無

調査時点:2017年2月

UAEに日本から牛肉を輸入する場合は、食肉衛生証明書と輸出検疫証明書の発給を受ける必要があります。
食肉衛生証明書は、証明しようとする牛肉が選定と畜場等で適切に処理され、対UAE輸出が可能なものであることと、ハラールと畜証明書発行機関による証明がなされたものであること(「7. その他」「1. ハラール認証」の項参照)を確認するもので、当該牛肉処理を行った選定と畜場等を管轄する食肉衛生検査所(設置されていない場合はと畜検査を実施している保健所)に発行を申請します。
輸出検疫証明書は、輸出品について家畜の伝染性疾病を広げる恐れのないことを動物検疫所が証明するもので、輸出港を管轄する動物検疫所に輸出検査申請書を提出して検査を受けます。

3. 残留農薬規制

調査時点:2017年2月

UAEでは、食品中に残留する動物医薬品の最大残留許容量はコーデックス規格を採用し、連邦基準化計測庁(ESMA: Emirates Authority for Standardization and Metrology)の発行する規格「UAE.S CAC/MRL 2: 2013食品中の動物用医薬品の最大残留許容量(Maximum Residue Limits for Veterinary Drugs in Food)」として定められています。牛肉については、クロルテトラサイクリン(抗生物質)などが対象となっています。UAE規格は、ESMAに登録して購入が可能です。なお、現在UAEが採用しているコーデックス規格は2012年7月時点のもので、最新のコーデックス規格に掲載されているすべての動物用医薬品が対象となるとは限りません(コーデックスでの採択年はオンラインデータベースで確認できます)。

4. 重金属および汚染物質(最大残留基準値/禁止)

調査時点:2017年2月

牛肉は、重金属等の規制の対象となります。UAEでは、汚染物質と毒素に関する基準として、コーデックス規格を採用し、「UAE.S CAC 193 :2013食品と飼料に含まれる汚染物質と毒素に関する一般基準(General Standard for Contaminants and Toxins in Food and Feed)」として連邦基準化計測庁(ESMA)がこれを公表しています。また、カドミウムや鉛等の最大許容量に関しては、GCCの標準化機構であるGSOの規格で定められています。牛肉については、鉛(肉および食用内臓)などについて最大許容量が定められています。アフラトキシンについては、「UAE.S GSO 841 :1997食品と飼料へのマイコトキシンの最大許容量‐アフラトキシン(Maximum Limits Of Mycotoxins Permitted In Foods And Animal Feeds – Aflatoxins)」により食品への最大許容量は、20μg/kg(一部の食品に例外あり)となります。これらの規格は、連邦基準化計測庁(ESMA)に登録して購入が可能です。

5. 食品添加物規制

調査時点:2017年2月

UAEで使用できる食品添加物は、各種規格によって規定されています。コーデックス規格を採用した2013年の「UAE.S CAC 192 : 2013食品添加物の一般基準(General Standard for Food Additives)」のほか、添加物に関しては、「UAE.S 192 : 2016食品への使用が許可される添加物(Additives Permitted for Use in Foodstuffs)」や「UAE.S GSO 707 :1997食品への使用が許可される香料(Flavourings Permitted for Use in Foodstuffs)」等があります。これらの規格は、連邦基準化計測庁(ESMA)に登録して購入が可能です。
また、ドバイ首長国の場合、ドバイ市政庁食品安全局(旧食品管理局)による禁止食品添加物と特定品目にのみ許可される着色料のリストがあり、この要件も合わせて適用となります。添加物としての使用禁止物質には次の表の添加物が含まれます。添加物としてアルコールの使用は認められていません。

食品添加物としての使用禁止物質
E 番号 添加物名(英語) 添加物名(日本語)
E-104 Quinoline Yellow (yellow no.1) キノリンイエロー(黄色1号)
E-105 Fast Yellow AB ファストイエローAB (アゾ色素)
E-107 Yellow 2 G (Food Yellow 5) イエロー2G(食用黄色5号)
E-123 Amaranth (C.1. 16185. FD and C Red 2) アマランス(C.1. 16185. FD and C 赤色2号)
E-124 Ponceau 4 R (Red 2) (CI. 16255) ポンソー 4 R (赤色2号、CI. 16255)
E-131 Patent Blue V (C.I. 42051) パテントブルー V (C.I. 42051)
E-142 Green S (Acid Brilliant Green, Food Green S, Lissamine Green, C. 44090) グリーン S (アシッドグリリアントグリーン、フードグリーン S、リサミンクグリーン C. 44090)
E-924 Potassium Bromate (Bread products) 臭素酸カリウム (パン製造時に使用)
E-952 Cyclamate: An artificial intense sweetener with known links to testicular atrophy in rats and monkeys. These links led to cyclamate being banned in the United Kingdom, but European Union legislation allowed cyclamate back into our food and drink. チクロ: 強力な甘味を持つ人工甘味料であり、ネズミおよびサルの動物実験により精巣萎縮と関係があることが知られている。
英国ではチクロの使用を禁止したが、EUでは一旦使用禁止にしたものの、食品や飲料へのチクロ使用を再容認している。
E-1510 Ethanol (alcohol) エタノール(アルコール)

6. 食品包装規制(食品容器の品質または基準)

調査時点:2017年2月

UAEでは、牛肉を含む食品用の容器・包装に関する規制は、主に「UAE.S GSO 839 :1997食品包装‐パート1:一般的要件(Food Packages - Part 1: General Requirements)」および、「UAE.S GSO 1863 :2013食品包装 – パート2:プラスチック包装の一般的要件(Food packages - Part 2: Plastic package - General -requirements)」によって定められています。

  • 「UAE.S 5009 :2009酸化型生分解性プラスチック袋とその他の使い捨てプラスチックの規格と仕様(Standard & Specification For Oxo-Biodegradation Of Plastic Bags And Other Disposable Plastic Objects)」
  • 「UAE.S GSO 1194 :2002食品パッケージに適用されるポリエチレンバッグの検査方法(Methods Of Testing Polyethylene Bags For Food Packaging Applications)」

酸化型生分解性プラスチックの食品包装については、連邦気候変動環境省(MOCCAE)の省令により2014年1月1日からその利用が義務付けられています。さらにESMAの首長国適合性認証システム(ECAS)への登録と適合性認証が必要になります。これらの規格は、ESMAで登録して購入が可能です。

7. その他

調査時点:2017年2月

ハラール認証:
UAEでは、動物および家禽類由来の派生品(現状は、牛肉および牛肉派生品に限る)は、ハラール認証を得た食肉処理場で加工されたものでなければ、輸入ができません。輸入の際には、ハラールであることを示すハラール証明書が必要になります。食肉以外でも、ハラール認証のない食肉処理場で加工された油脂などの肉の派生品を原材料に含む食品は、輸入ができないので注意が必要です。
ハラール証明書は、連邦気候変動環境省(ESMA等が審査)の認可を得た輸出国所在のハラール証明書発行機関で取得することになっており、2017年2月時点では、宗教法人日本イスラーム文化センター(Japan Islamic Trust)、宗教法人イスラミックセンター・ジャパン(Islamic Center Japan)、Emirates Halal Center for Standards & Quality Certificate Corporationの3カ所がそれに該当します。
UAEでは、特定の場所を除き、国内で流通しているものは原則ハラール食品となっています。そのため、輸入にあたってESMAが発行するUAEのハラールマークの付与はUAE国内での販売には特に必要ありません。ハラールマークの取得に関する規制の詳細は、ESMAが2015年4月発行したUAE規格「UAE.S 2055-1:2015ハラール製品-パート1:ハラール食品の一般要件」に定められています。規格は、ESMAで登録して購入が可能です。

UAEの輸入関税等

1. 関税

調査時点:2017年2月

GCC統一関税法により、UAEに輸入される牛肉のうち、冷凍されたもの(HSコード020110、020120、020130)は5%の対外共通税率が課税されます。生鮮および冷蔵された牛肉(HSコード020210、020220、020230)には関税はかからないことになっていますが、日本からの高額な和牛には税関の担当官の判断で実態的に5%関税がかけられることがあります。なお、GCC諸国からの輸入品は課税が免除されます。

2. 付加価値税(VAT)・物品税

調査時点:2017年2月

従来UAEへの輸入において、関税以外の諸税は基本的に課されていませんが、GCCでは、2018年1月から統一付加価値税制度を導入することを目指し、詳細が検討されています。UAE政府は2018年1月1日から標準税率を5%とするVATを導入する計画を進めており、同国への輸入においても付加価値税が適用される見通しのため、動向に留意する必要があります。詳細が決定次第、連邦財務省のウェブサイト上に公表される予定です。

3. その他

なし

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