為替管理制度
最終更新日:2025年02月07日
- 最近の制度変更
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2023年10月6日
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2019年11月13日
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管轄官庁/中央銀行
ウクライナ国立銀行(NBU、中央銀行)、国家税関局
為替相場管理
2023年10月に規制緩和し、管理された変動相場制に移行した。公式為替レートは、銀行間市場における取引の為替レートに基づいて決定されている。
2022年2月24日から2023年10月3日まで、戒厳令による通貨制限の一環として、NBUによって固定相場制度が導入されていた。2023年10月3日より、管理された変動相場制へ移行し、現在の公式為替レートは、銀行間市場における外国為替レートに基づいて決定されている。
貿易取引
ウクライナ国内の決済は、現行法の規定に従う外貨決済を除き、ウクライナ通貨フリブニャ(UAH)のみで行われる
ウクライナ国内における全ての決済は、現行法の規定に従って許可されている外貨での決済を除き、ウクライナの通貨フリブニャ(UAH)でのみ行われる。また、戒厳令下では明確に定義された場合を除き、外貨およびUAHの越境資金移動は禁止されている。
- 2022年2月24日以降に開設(確認、提供)された信用状/保証/カウンター保証に基づく決済は、以下の場合を除いて禁止されている。
NBU決議第18号「戒厳令期間中の銀行システムの運営について」第14条第1項第2~第6号に規定される取引を銀行の顧客のために行う目的、および/または物品輸出に関する契約上の債務履行を確保する目的、および/または物品輸出入札に関して居住者顧客から非居住者顧客への義務履行を確保する目的、および/または同決議第14項に従って顧客が資金移動を許可されている取引および契約に基づき、居住者借入人の義務が生じた場合の信用契約/融資契約に基づく居住者借入人から非居住者債権者への債務履行を確保する目的の場合。 - ウクライナ法は、40万UAH(約9,700ドル)を超える輸出入取引の決済期限を規定している。現在、それは180暦日で、2022年4月5日以降に行われた取引に適用される。決済期限が適用されない例外(40万UAH未満の輸出入取引やNBUが個別に設定する項目)もあるが、ケースごとに分析する必要がある。
- 外貨の支払い/受領に関して、NBUからの許可証/ライセンスを取得する必要性やNBUへの報告義務はない。ただし、サービスを提供する銀行は、40万UAHを超える取引の金融モニタリングの過程で、取引を確認する書類(契約、行為、請求書、その他の書類、そのリストは限定的ではない)を要求する権利を有する。
- 外貨による輸出収益をNBUに売却する義務はない。また、相殺決済(ネット決済)は許可されている。ただし、現時点では、相殺に基づく通貨監督を完了することは禁止されている。
貿易外取引
2022年2月24日以降、戒厳令によって発出されたあらゆる通貨規制は徐々に緩和されている。2024年2月時点で、2021年2月23日以降に行われた全ての物品、役務、サービスの輸入に対する支払いは許可されている。また、2024年1月以降の業績に対する配当の送金も許可されている。
2022年2月24日、NBU理事会は、本格的な侵攻開始時の状況を安定化させるため、NBU決議18号「戒厳令期間中の銀行システムの運用について」を発行した。この決議は、明確に定義された場合を除き、越境資金移動を全面的に禁止した。
2023年6月、NBUは外貨規制の緩和、柔軟性のある為替レートへの移行、インフレ目標への着地を目指す戦略を採択し、徐々に規制緩和が行われている。
現在、2021年2月23日以降に行われた全ての物品、役務、サービスの輸入に対する支払いは許可されている。また、2024年1月以降の活動結果に対する配当の送金も、1カ月100万ユーロ相当を上限として許可されている。
資本取引
ウクライナでは対内直接投資のための許可証(ライセンス)の取得の必要はない。ウクライナ法は各種株式等の金融商品を定義している。海外送金は、戒厳令下の越境資金移動に対する制限があることを考慮する必要がある。
- 対内直接投資
対内直接投資を行うための許可証/ライセンスを取得する必要はない。しかし、国有企業(SOE)への投資には規制が設けられている。例えば、ウクライナ法によると、国は、国有財産に基づいて設立された合弁会社の資本金の50%以上を保有する必要があり、この要件は外国投資にも適用される。従って、そのような合弁会社への外国投資は最大49%まで可能。SOEと外国投資が関与する合弁契約は、一般的にウクライナ閣僚会議(CMU)の承認とウクライナ経済省への登録が必要である。しかし、法律改正により、監督委員会を持つSOEについては、CMUの承認は不要となった。 - 対外直接投資
対外直接投資については、明確に定義された場合を除いた越境資金移動の禁止を考慮する必要がある。NBUは、海外取引の例外リストを有している。 - 証券投資
ウクライナ法は、株式、企業投資ファンドの株式、債券、国債、投資証券、証券オプション、新株予約券証券、信用状、預託証券、政府デリバティブ、不動産ファンド証券、銀行預金証券、銀行貯蓄証券、約束手形、抵当権、その他の金融商品といった種類の証券を定義している。
証券投資に関して一般的に制限はないが、ウクライナにおける非居住者による証券取得には、証券の種類と処分手続きに応じて異なる要件がある。一般的な要件には、特別口座の開設、ブローカーのみを通した活動、納税などが挙げられる。現在、非居住者は、規制当局からライセンスを取得したブローカーに遠隔登録し、ウクライナ国内の国債を大きな制限なく売買することができる。一方、金融商品取引会社(投資会社を含む)は、資本市場分野における特定の事業活動について、規制当局からライセンスまたは許可を取得する必要がある。
ただし、証券からの利益の海外送金については、現在の越境資金移動の制限を考慮する必要がある。前述のように、明確に定義された場合を除き、すべての越境取引は禁止されている。例えば、2024年1月1日以降の活動結果に基づいて計上された配当の非居住者への送金(月間上限100万ユーロ)、2023年4月1日以降に受け取ったウクライナ国債(OVDP)の利子を送金することは許可されている。
居住者による証券の取得に関する要件には次のものがある。
- 証券口座の開設。
- 規制当局からライセンスを取得したブローカーを選択すること。
- 口座への資金投入(越境資金移動の制限に注意)
- 納税と税務申告書の作成。
- 対外借入、貸出
一般的に、許可証/ライセンスに関する要件、金額または融資期間に関する制限はない。ただし、戒厳令下の通貨制限を遵守する必要がある。前述のように、明確に定義された場合を除き、越境資金移動は一般的に禁止されている。例えば、2023年6月20日以前に行われた外国からの借入の利払い、同日以降に行われた外国からの借入の返済は、追加の要件を満たすことを条件に許可されている。非居住者からのすべての融資/借入に関する情報は、NBUの自動情報システムに転送される。 - 預金勘定取引
外国投資家は、契約に基づいてウクライナ国内の他の口座または海外の口座から資金を移動することにより、ウクライナの銀行にフリブニャまたは外貨の預金を行う。海外預金については、前述の越境資金移動制限を考慮する必要がある。 - 配当の対外送金に関する特記事項
明確に定義された場合を除き、越境資金移動は一般的に禁止されている。特に、2024年1月1日以降の活動結果に基づいて計上された配当の送金が許可されているが、取引の月間上限は100万ユーロである。
関連法
為替管理に関する主要な法律および規制
- 通貨および通貨取引に関する法律
- 対外経済活動に関する法律
- NBU決議第18号「戒厳令期間中の銀行システムの運用について」
- NBU決議第5号「外貨での個別取引の実施のための保護措置および手続きの決定に関する規則の承認について」
- NBU決議第7号「外貨での個別取引実施のための保護措置および手続きの決定に関する規則の承認について」
- NBU決議第67号「物品の輸出入取引に関する決済期限の導入の例外および(または)特殊性の設定、および一部の規制法令の変更について」
その他
特になし。