貿易管理制度
最終更新日:2025年02月07日
- 最近の制度変更
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2025年2月12日
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2025年1月9日
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2024年10月31日
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2024年10月31日
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2024年8月26日
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管轄官庁
最高会議(国会)、閣僚会議(CMU)、国立銀行、経済省、国家税関局、独占禁止委員会、国際貿易に関する省庁間委員会など。
ウクライナの対外貿易は、対外経済活動に関する法律によって規制されている。以下の組織も対外貿易に関する規制に関与している。
国際貿易に関する省庁間委員会(ICIT)
国家税関局と国家環境監督局は、ワシントン条約(CITES)遵守の監督を担当する。
輸入品目規制
特定の品目の輸入は禁止されている。また、ライセンスや許可が必要な品目、関税割当の対象となる品目がある。
禁止品目の例
- 環境に危険をもたらす有害廃棄物および物質
- 麻薬および向精神薬(ライセンスや許可に基づく特定の医療目的を除く)
- 大量破壊兵器または軍事目的で使用される可能性のあるデュアルユース物品(民生用と軍事用の両方で使用できる製品)(特に許可された場合を除く)
- CITESで規定されている絶滅危惧種の野生動植物
- 知的財産権を侵害する物品または模倣品など
輸入禁止品目のリストは国家税関局ウェブサイト内の「禁止リスト(Перелік заборон)」参照。
ライセンスまたは許可が必要な品目の例
- 輸入ライセンスが必要な品目
- オゾン層破壊物質
- オゾン層破壊物質を含む可能性のある物品や機器(例:オゾン層を破壊する物質を含むエアコン、冷蔵庫など)
ライセンスが必要な物品のリストは(2025年版)は「2025年の輸出入許可対象物品リスト及び割当量の承認について
」を参照。
- 輸入に適切な許可が必要な品目
- 麻薬および向精神薬
- 放射性物質
- 殺虫剤および農薬など
輸入禁止品目のリストは国家税関局ウェブサイト内の「制限品目リスト(Перелік обмежень
)」参照。
関税割当品目
関税割当の対象品目には、ウクライナとEU間の高度かつ包括的な自由貿易協定(DCFTA)、他国とのFTAで定義されている農産物(例:砂糖、鶏肉と豚肉、ブドウ酒など)が含まれる。
「国際貿易のワンストップ窓口」内の『輸入割当数量残高リスト
』では、特定の国・地域からの物品輸入に関する関税割当の数量と残高に関する最新情報が提供されている。
輸入地域規制
ロシア、ベラルーシ、ロシアによる占領地域などを対象に規制を設けている。
ウクライナの関税法および対外経済活動法などの国内法令に基づき、特定の国・地域からの輸入が禁止されている。これは、国際的な制裁および安全保障上の考慮によって強化されている。輸入禁止の対象となる主な国・地域は以下のとおり。
- ロシア
ロシアによるウクライナ侵攻を受け、ロシアからの全面的な輸入禁止措置を課している。 - ベラルーシ
一部の企業や品目について、輸入が禁止されているか、追加の審査が必要である。 - ロシアによる占領地域
一時的に占領されている地域からの物品(役務、サービス)は、ウクライナへの輸入が禁止されている。
前記の国・地域以外にも、ウクライナは、国連安全保障理事会の決議、EUの制裁、その他の国際協定に従って、輸入禁止および制限を課している。これらの制裁は、通常、人権侵害、テロリズム、違法な武器取引に関与する国を対象としている。例えば、ウクライナは、国際的な核・化学兵器の不拡散および軍備管理協定への遵守の一環として、北朝鮮、イラン、シリアなどの国からの物品に対する輸入制限を実施している。
輸入関連法
関税法、関税に関する法、対外経済活動に関する法律、非食品の国家市場監督および管理に関する法、事業活動のライセンスに関する法、軍事およびデュアルユース物品の国際移転の国家管理に関する法など。
ウクライナへの輸入に影響を与える主要な法律とその概要は以下のとおり。
- 関税法:物品の関税領域への持ち込み手続き、関税申告、関税の支払い、関税管理手続きなどを規定している。
- 関税に関する法:HSコードに従って分類された輸入物品への関税(税率)を規定している。
- 対外経済活動に関する法:輸入割当、ライセンス、特定の物品の輸入制限など、対外経済活動の法的枠組みを規定している。
- 非食品の国家市場監督および管理に関する法:ウクライナの関税領域に輸入される非食品が、一定の要件に準拠することを要求し、公共の利益に重大なリスクをもたらす製品の輸入を防ぐための枠組みを規定する。
- 事業活動のライセンスに関する法:特定の物品の輸入にはライセンスが必要であることを義務付け、ライセンスを取得するための条件と手続きを規定している。
- 軍事およびデュアルユース物品の国際移転の国家管理に関する法:デュアルユース物品と軍事装備の輸入管理は、武器や機密技術の拡散を防ぐために厳しく規制されている。
輸入管理その他
輸入管理に関する主要な法律、日本からの輸出に関する出荷前検査、輸入ライセンスや登録制度、貿易救済措置。
輸入管理に関する主要な法律
輸入管理は、検疫、食品安全、公衆衛生、環境保護などの分野を網羅する様々な法律によって規定されている。主要な法律には以下が含まれる。
- 食品、飼料、動物副産物、動物の健康と福祉に関する法律の遵守に関する国家管理に関する法
市場関係者による食品、飼料、動物の健康と福祉に関する法律、および動物由来の副産物に関する法律。動物由来の副産物の輸入に関する法律の遵守を確認するための、国家管理の法的および組織的原則を定義する。植物性および動物性製品は、植物検疫および動物検疫に関する規制を遵守する必要がある。これらは、国家食品安全消費者保護局が管轄する。 - 食品の安全と品質に関する基本原則および要件に関する法
食品の輸入は、衛生基準の遵守を確保するため検査の対象となる。食品安全検査は、国家食品安全消費者保護局が管轄する。 - 環境保護に関する法
危険物、化学物質など、環境保護に関する法の対象となる製品の輸入には、環境保護・天然資源省からの追加の許可・ライセンスが必要である。この法律は、天然資源の保護、使用、再生に関する規制を定め、環境の安全性を確保し、経済活動やその他の活動による環境への悪影響を防止することを役割とする。 - 医薬品に関する法
医薬品、医療機器などの輸入は、製品が国家基準の遵守が保障されるよう、保健省が規制する。この法律は、医薬品の開発、創出、品質管理、臨床試験(治験)、医薬品の国家登録、処方、使用、輸入、卸売・小売取引、遠隔販売、医薬品の品質管理、安全性監視などに関連する規制を定義する。
日本からの輸出に関する出荷前検査
製品規格または健康規制が適用される特定の場合を除き、一般的に、日本から輸出される物品に対する出荷前検査は要求されない。食品、医薬品、危険物などの特定の高リスク製品は、ウクライナの安全基準への適合性を確保するために、国際機関またはウクライナ当局が発行する検査または品質証明書が必要な場合がある。特に公衆衛生と安全に影響を与える製品カテゴリーについて、関連するウクライナ当局によって規定されていない限り、検査証明書は必要ない。
ウクライナにおける輸入ライセンスまたは登録制度
ウクライナは、特定の物品について輸入ライセンスや登録制度を運用している。以下の製品は通常、通関前に輸入ライセンスまたは登録が必要である。
- 医薬品および医療機器:これらの品目は輸入前に保健省に登録する必要がある。
- 武器、デュアルユース物品および軍事装備:ライセンスと国家輸出管理局への登録などが必要である。
- 農産物、生きた動物、および植物製品:これらの品目は国家食品安全消費者保護局からの登録および植物検疫、動物検疫が必要となる場合がある。
- 危険物および化学物質:環境保護・天然資源省からのライセンスが必要である。
貿易救済措置の概要
ウクライナは、不公平な競争や貿易慣行から国内産業を守るために、セーフガードや反ダンピング(AD)関税を含むいくつかの貿易救済措置を導入している。
- セーフガード
輸入の急増によって深刻な損害が発生する、または発生する恐れがある場合に、国内産業を守るために講じられる一時的な措置。セーフガードには、特定の製品に対する関税または輸入枠の設定が含まれる場合がある。ウクライナはWTO規則に従いセーフガードを適用する。 - 反ダンピング(AD)関税
ウクライナで公正な価格を下回って販売され、国内産業に損害を与えている輸入品に課される関税。反ダンピング調査は、国際貿易に関する省庁間委員会(ICIT)および経済省によって行われ、ダンピングと損害に関する調査結果に基づいて関税が課される可能性がある。 - 相殺措置
輸出業者に不当利益をもたらす外国政府が提供する補助金を相殺するために適用される措置。
輸出品目規制
特定の品目の輸出は禁止されている。また、ライセンスや許可が必要な品目がある。
禁止品目の例
- 大量破壊兵器およびデュアルユース物品(特に許可された場合を除く)
- CITESで規定されている絶滅危惧種の野生動植物
- 環境に危険をもたらす有害廃棄物および物質
- 適切な許可がない場合の美術品や骨董品などの文化遺産
輸出禁止品目のリストは国家税関局ウェブサイト内の「禁止リスト(Перелік заборон)」参照。
ライセンスまたは許可が必要な品目の例
- 輸出ライセンスが必要な品目
- オゾン層破壊物質
- オゾン層破壊物質を含む可能性のある物品や機器(例:オゾン層を破壊する物質を含むエアコン、冷蔵庫など)
輸出ライセンスが必要な物品のリストは(2025年版)は「2025年の輸出入許可対象物品リスト及び割当量の承認について
」を参照。
- 輸出に適切な許可が必要な品目
- 麻薬および向精神薬(特定の医療または研究目的の場合)
- 放射性物質およびその他の危険物質
- 管理化学物質や殺虫剤などの農薬
輸出禁止品目のリストについては税関局ウェブサイト内の「制限品目リスト(Перелік обмежень
)」参照。
輸出地域規制
一部の国・地域への物品輸出に関して制限を設けている。
現在、ウクライナは以下の国・地域への物品輸出に関して制限を設けている。
アフガニスタン、ベラルーシ、コンゴ民主共和国、ハイチ、イエメン、インド、パキスタン、イラク、イラン、北朝鮮、レバノン、リビア、ミャンマー、ニカラグア、南スーダン、ロシア、シリア、スーダン、台湾、中央アフリカ、国連非加盟国、西アフリカ諸国経済共同体(ECOWAS)加盟国、ソマリア
輸出関連法
関税法、対外経済活動に関する法、軍事およびデュアルユース物品の国際移転の国家管理に関する法、通貨および通貨取引に関する法。
ウクライナの輸出に影響を与える主要な法律とその概要は以下のとおり。
- 関税法:ウクライナの通関手続きを規定する主要な法律。通関に必要な書類、物品の通関価格の決定手続き、輸出申告規則を概説している。また、税関当局と輸出業者の責任についても定義している。
- 対外経済活動に関する法:輸出を含む対外貿易のあらゆる側面を規定している。対外経済活動、輸出許可、数量制限、その他の貿易制限の枠組みを定義している。
- 軍事およびデュアルユース物品の国際移転の国家管理に関する法:デュアルユース物品および軍事装備品の輸出は、武器や機密技術の拡散を防ぐために厳しく規制されている。
- 通貨および通貨取引に関する法:輸出による収益は、通常90~120日以内にウクライナに戻すことが義務付けられている。この規制は、輸出による外貨収入がウクライナの経済を支えるために適切に送還されることを保証する。
輸出管理その他
衛生植物検疫(SPS)規制、認定経済事業者(AEO)に対する簡素化された通関手続き、輸出業者に対するVAT還付。
ウクライナの輸出管理に影響を与える規制と優遇措置の例は以下のとおり。
衛生植物検疫(SPS)規制
SPS規制は、食品、農産物、生きた動物の輸出入を管理することにより、人、動物、植物の健康を保護することを目的としている。この規制は、国家食品安全消費者保護局によって執行されている。この規制には、食品安全管理(HACCPの使用)、植物検疫(植物製品に対する検疫検査と植物検疫証明書の要求)、動物検疫(生きた動物と動物製品に対する検疫証明書の要求)が含まれる。病気や害虫の蔓延を防ぐために、国境検査とリスクベースのアセスメントが行われる。SPS基準を遵守しない場合、罰金、物品の受け入れ拒否、または国境での廃棄処分となる可能性がある。これらの規制は、安全な貿易を促進し、公衆衛生を保護するために国際基準に準拠している。
認定経済事業者(AEO)に対する簡素化された通関手続き
ウクライナは、認定経済事業者(AEO)の地位を持つ輸出業者に対して、簡素化された通関手続きを提供している。AEOは、通関検査の削減、優先処理、行政手続きの簡素化などのメリットを受け、輸出をより迅速かつ効率的に行うことができる。
輸出業者に対するVAT還付
ウクライナの輸出業者は、国外に輸出した物品・サービスに対するVAT還付のメリットを受けることができる。輸出された物品は通常、税率の免除が適用され、輸出物品の生産に使用された投入物に対して支払われたVATの還付を要求できる。