ウクライナ中銀が固定相場制を緩和、柔軟な管理相場制に移行
(ウクライナ)
ワルシャワ発
2023年10月06日
ウクライナ国立銀行(NBU、中央銀行)は10月2日、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻以来継続していた対ドル固定相場制を緩和し、3日から柔軟な管理相場制に移行すると発表した(10月2日付プレスリリース)。
移行の理由として、インフレ率の低下のほか、外貨準備高が十分に高い水準にあり、NBUが為替レートの安定性を維持できる能力が高まっていることや、通貨フリブニャ建ての金利商品の魅力が高まっていることを挙げた。
移行後も、NBUは外国為替市場の状況を監視し、為替介入を行うことで過度な相場変動を大幅に制限するとしている。また、為替レートの安定性を維持することで、インフレ率の減速を維持し、中期目標の5%の達成を目指すとのこと。
移行翌日の4日の公定為替レートは1ドル36.5901フリブニャとなり、前日と比べて0.0615のフリブニャ安にとどまった。
NBUのアンドリー・ピシュニー総裁は3日、自身のフェイスブックで「目標はレートの安定性を維持することだ。NBUがフリブニャを自由に変動させるつもりがないことを市場が理解すれば、(市場)介入は徐々に安定化すると確信している」と述べている。
NBUは2022年2月24日、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻を受け、金融システムの信頼性と安定性を確保することを主な目的とし、公定為替レートを同日時点のレートで固定した(2022年3月3日記事参照)。同年7月21日には、1ドルの固定レートを36.5686フリブニャに引き上げていた(同日付プレスリリース)。
ウクライナでは2023年第2四半期(4~6月)の実質GDP成長率が戦争勃発以来初のプラスを記録したほか(2023年9月28日記事参照)、8月にはインフレ率が8.6%まで低下している(2023年9月27日記事参照)。
(柴田哲男、坂口良平)
(ウクライナ)
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