ウクライナ中銀、貨幣の種類を整理

(ウクライナ)

ワルシャワ発

2019年11月13日

ウクライナでは、10月25日から1,000フリブニャ(UAH)(約4,500円、1UAH=約4.5円)紙幣の流通が開始された。これまでウクライナでは500UAHが紙幣額面の最高額だったが、1,000UAH紙幣の登場により、これが更新された。

ウクライナ中央銀行は、6月25日に貨幣種類の整理に関する発表を行っており、今回の1,000UAH紙幣の流通開始はこれに沿ったもの。同発表には、1コピイカ(kop)、2kop、5kopを10月1日より法定通貨から外し流通を停止させること、25kopは法定通貨として引き続き使用されるものの、最終的には廃止することなどが記されている(注)。

ウクライナ中銀によると、今回の変更のメリットは主に、a.利便性の向上、b.国・企業のコスト削減としている。

a.利便性の向上については、貨幣の種類が多過ぎると、現金での支払いの際に余分な時間がかかる。ウクライナ中銀のヤキフ・スモリ総裁は「国民1人当たりの硬貨数が半減し、紙幣も3分の1程度に減るため、現金決済が容易になる」と指摘している。また、ウクライナでは所得の上昇やインフレにより、500UAH紙幣に需要が集中しており、同時に、5kop以下の硬貨は支払いの際に使用されることはほとんどなくなってきている。

b.国や企業のコスト削減については、法定通貨の変更により、国や企業は貨幣の生産、処理、輸送、保管費用を削減することができ、1,000UAH紙幣の導入で、紙幣の輸送・保管の費用対効果を改善することが期待されている。また、5kop以下の硬貨の生産コストは、その価値を大きく上回っていることもある。

5kop以下の硬貨は法定通貨ではなくなったが、今後3年間は他の貨幣と交換が可能だ。2020年9月30日まではウクライナにあるどの銀行でも交換できるが、2020年10月1日~2022年9月30日の間はウクライナ中銀および認定された銀行(オシャド銀行、プリバト銀行、ライファイゼンバンク・アバルの3行)でしか交換できなくなる。また、25kopは法定通貨として使用できるものの、一度、銀行が受け取った場合、再び市場に流通させることはないとしている。

(注)100kop=1UAH。

(楢橋広基)

(ウクライナ)

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