税制
最終更新日:2018年01月15日
法人税
法人税の実効税率は、2017年より24%に引き下げられた(金融機関は27.5%)。法人所得に関しては、主に利息控除、欠損金の繰越などに関連した規定がある。
法人所得に関連する主な規定は、次のとおり。
- 支払利息控除
支払利息は、会計年度ごとに、最大で受取利息額相当分までの控除が認められる。受取利息相当額を支払利息が超過した金額については、EBITDA(*)にリース料を加えた額の30%相当額を損金として算入することが可能。
*EBITDA(earnings before interest, taxes, depreciation and amortization):税前利益に支払利息、固定資産の減価償却費を加えた金額 - 欠損金の繰越
欠損金は無期限で繰越が可能。ただし、単年度所得から控除できる繰越欠損金は、各会計年度における課税所得の80%を上限とする。 - キャピタル・ゲイン課税
キャピタル・ゲインについては、受益者の所在する国との間に二国間租税条約がある場合は、その扱いに従う。
二国間租税条約
日本との間で二国間租税条約がある(1969年3月締結、1973年3月発効、1980年2月改正議定書締結、1982年1月改正議定書発効)。配当に対する課税限度は10%および15%、利子は10%、ロイヤルティーは10%。
- 配当課税
- 配当総額の10%:配当受取人が、利益分配に係る事業年度終了直前の6カ月間に、配当を支払う会社の議決権のある株式の少なくとも25%を所有する法人である場合。
- 配当総額の15%:その他のすべての場合。
- 利子課税
税率は10%。利子には、公債、債権、社債、その他すべての種類の信用にかかわる債権から生じた所得などが含まれる。 - ロイヤルティーに対する課税
税率は10%。ロイヤルティーには、著作権、特許権、商標権、意匠等から生じた所得などが含まれる。
その他税制
主要な直接税としては、州事業税、所得税がある。主要な間接税としては、付加価値税、登録税、相続税などがある。
- 州事業税
事業活動により生じた、生産価値の純額が州事業税の課税対象となり、通常の税率は3.9%。
各州の税務当局の権限により、税率は最大で0.92%引き上げることができ、特定の条件下では、さらに最大0.15%までの引き上げが認められる。また、税率の引き下げや控除も認められている。そのため、税率には州ごとに差がある。
この他、金融機関、公的機関、特定の事業を行う会社組織に対しては、特定の税率が適用される。 - 所得税
個人所得税は累進課税であり、税率は次のとおり。
23%:所得が1万5,000ユーロ以下
27%:所得が1万5,000超~2万8,000ユーロ以下
38%:所得が2万8,000超~5万5,000ユーロ以下
41%:所得が5万5,000超~7万5,000ユーロ以下
43%:所得が7万5,000ユーロ超
※この他、地方税や市税も徴収される。 - 付加価値税(VAT:イタリアではIVA)
標準税率は22%で、主に生活必需品を対象として、10%と4%の軽減税率がある。
軽減税率は、次の品目に対して適用される。- 10%:家畜、食肉、ハム、建物、小麦粉、コメ、薬、肥料、観葉植物、果物、鮮魚、映画、卵、酢、砂糖など。
- 4%:紅茶、医療補助器具、生鮮野菜、牛乳、マーガリン、チーズ、バター、書籍、新聞、オリーブ油、パン、パスタなど。
付加価値税については、2017年予算安定化法案で2018年1月からの増税が定められていたが、2018年予算法において増税時期は先送りされ、2019年1月から実施されることになった。近年は、毎年の予算法で増税が先送りされる傾向にある。
- 登録税
登記・登録の対象となる取引(個人が任意に申請する登記・登録も同様)に対して課せられる。
固定額が課せられる場合と、取引額などを課税標準として異なる税率が課せられる場合がある。課税される主なケースは次のとおり。- 金銭出資による法人の設立または増資:200ユーロ
- 準備金繰り入れによる増資:200ユーロ
- 相続税
次に示す課税対象に対し、各税率の相続税が課せられる。- 配偶者および一親等の親族が相続する場合:相続人ごとに4%。相続額のうち100万ユーロが控除される。
- 3親等までの傍系親族と4親等までのその他の親族が相続する場合:相続人ごとに6%。兄弟姉妹の場合、相続額のうち10万ユーロが控除される。
- その他の個人が相続する場合:8%