日本からの輸出に関する制度 青果物の輸入規制、輸入手続き

EUでの輸入手続き

1. 施設登録、商品登録、輸入ライセンス等(登録に必要な書類)

調査時点:2020年7月

適合証明書の取得
EU規制において、上市される野菜および果物が満たすべき品質などの一般販売基準または特別販売基準が定められています(規則(EU) No 1308/2013)。このため、産業加工用、皮をむいたカットフルーツ、動物用肥料などを除き、特定販売基準が定められている、レモン、マンダリン、うんしゅうみかん、クレメンタイン、タンジェリンおよびオレンジなど10種類とバナナについては、EUの販売基準に適合している旨の「適合証明書」(欧州委員会実施規則 (EU) No 543/2011 Annex IIIに規定)の提出が求められます。
一般販売基準の対象である生鮮のごぼう、わさび、山芋について基本的には求められませんが、国によっては適合証明書を要求されることがあります。その場合は、事前に通知がされるため取得する必要があります。
適合証明書は、EUへの輸入時に、通関代行事業者からEU加盟国の管轄当局に対してオンラインで事前通知を行い、書類審査または実際の物品検査(目視検査)を経て通関前に取得することになります。
フランスの場合、対象の青果物の輸出入事業者は必要情報を事前にフランス競争・消費・不正抑止総局(DGCCRF) 管轄のTELEFELというシステムを通じて通知し、審査が行われます。実際の物品検査が行われた場合はDGCCRFから「適合証明書 (Certificat de conformité)」が、書類審査のみの場合は「許可証明 (Bulletin d’admission) 」が発行され、通関手続きを行います。TELEFELでの申告にはEORI 番号(EU圏内の通関時に必要な番号)が必要なため、基本的には通関代行事業者が依頼します。一度、TELEFELで必要情報を入力した後は、輸出入処理システムのProdouane経由で情報を共有することができます。
主なEU加盟国および英国の管轄機関
国名 管轄機関
フランス Direction Générale de la Concurrence, de la Consommation et de la Répression des Fraudes – DGCCRF
Service de la Protection des consommateurs et de la régulation des marchés
ドイツ Bundesanstalt für Landwirtschaft und Ernährung - BLE (Federal Agency for Agriculture and Food)
オランダ Ministerie van Landbouw, Natuur en Voedselkwaliteit (Ministry of Agriculture, Nature and Food Quality)
Nederlandse Voedsel en Waren Autoriteit
イタリア Dipartimento delle Politiche Europee e Internazionali e dello Sviluppo Rurale (Department of European and International Policies and Rural Development)
Direzione generale delle politiche internazionali e dell'Unione europea (Directorate-General for the European Union and International Policies)
スペイン Secretaría de Estado de Comercio (Secretariat of State for Trade) Dirección General de Política Comercial y Competitividad (Directorate-General for Commercial Policy and Competitiveness)
Subdirección General de Inspección, Certificación y Asistencia Técnica del Comercio Exterior (Sub-Directorate-General for Inspection, Certification and Technical Assistance for International Trade)
輸入ライセンス
野菜・果実は輸入ライセンス対象セクターですが、定義品目である生鮮のごぼう、わさび、山芋およびかんきつ類の青果に関して、規則(EU)No 2016/1237により規定されていないため、輸入ライセンスは求められません。
なお、輸入業者含め、販売に関与する青果物の取引業者に関する規制は、「4. 販売許可手続き」の項を参照してください。

2. 輸入通関手続き(通関に必要な書類)

調査時点:2020年7月

日本から青果を輸入するにあたっては、次の書類が必要になります。

  1. 通関申告書(単一管理文書 (SAD : Single Administrative Document)) EU域外の第三国とのすべての輸出入手続きに必要な共通申請書。様式は委員会実施規則(EU) 2016/341 Appendix B1に記載されています。
  2. インボイス(商業送り状)
  3. パッキングリスト(包装明細書: P/L)
  4. 価格申告書(Customs Value Declaration) CIF価格が2万ユーロを超える場合、SADとあわせて価格申告書の提出を求められます。様式は規則 (EU)2016/341 ANNEX 8に記載されています。
  5. 船荷証券(Bill of Lading: B/L)/航空運送状(Air Waybill: AWB)
  6. 植物検疫証明書
  7. 共通衛生入域文書(Common Health Entry Documents: CHED-PPまたはCHED-D) 2019年12月14日から、公的管理の新規則(EC)2017/625 が適用開始となり、貨物の到着1日前までに共通衛生入域文書(CHED : Common Healthy Entry Document)をTRACES などの電子システム経由で国境管理所(BCP:Border Control Post)に通知する必要があります。

日本からEU域内にかんきつ類の青果を輸入する際には、適合証明書(もしくはそれに準ずるもの)および日本で発行された植物検疫証明書が必要です。
適合証明書については「1.施設登録、商品登録、輸入ライセンス等(登録に必要な書類)」を参照してください。

EU域内に日本から生鮮のごぼう、わさび、山芋を含むその他の根菜を輸入する際には、植物検疫証明書が必要になります。

また、残留農薬などに関するサンプリング検査の対象となった場合には、関係資料・データなどの提出を求められることがあります。

フランスの場合、産業加工用など販売基準が求められない青果の場合、輸入申告の際にコード2879 「Fruits et légumes frais non soumis à normes de commercialisation à l’importation/exportation」と記入する必要があります。
さらに、有機食品の場合は関連する輸入事業者がTRACESに登録されている必要があります。詳細は、「その他」の「有機食品に関する規制」を参照してください。

関連リンク

関係省庁
欧州委員会(英語)  外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
仏税関 ポータルサイト(仏語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
根拠法等
規則(EU)No 543/2011(英語) 外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
指令2000/29/EC(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
※関連リンクに示したEU法のリンクは、全て制定時の条文へのリンクとなっています。最新の条文を確認するには、ページ左側の「Document information」を選択し、「Relationship between documents」の「All consolidated versions」の中から最新時点のものを選択してください。
規則(EC) 2017/625(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

3. 輸入時の検査

調査時点:2020年7月

「輸入規制」の「3.動植物検疫の有無」に記載のとおり、かんきつ類の青果、生鮮のごぼう、わさび、山芋を含むその他の根菜の輸入時には、公的管理の対象となるため、輸入元国での植物検疫が課され、国境管理所(BCP Border Control Post)において書類検査または同一性検査、あるいは現物検査が行われます(見本市の展示品、科学的・研究目的など市場に投入されないものは除外)。
実施規則(EU)2019/66第5条にあるとおり、EU域内 への輸入に際して植物検疫証明書の添付が求められる植物に対して実施される同一性検査(identity check)と現物検査(physical check )の頻度は、最低でも貨物 全体の1%とする旨が定められています。
なお、国境管理所(BCP)で実施される輸入品に対する公的管理(輸入検疫)には、関係当局より、当該公的管理の対象となった事業者(輸入品の場合は当該貨物に責任を有する者)に対して一定の手数料が課されます。手数料については、公的管理の新規則(EC)2017/625 のANNEX IV (VIII)に記載されています(書類検査 7ユーロ、同一性検査7ユーロ〜14 ユーロ、現物検疫検査 アイテム・重量により変動)。

また、公的管理の強化期間中に同じ業者または国からの貨物が同じ違反を3回した場合は、欧州委員会は第三国の発送国の当局に対して、必要な調査と是正が要請されます。

フランスにおいては、税関に植物検疫証明書が必要な植物や植物製品が到着するとともに、植物検疫検査がservice d'inspection vétérinaire et phytosanitaire aux frontières(SIVEP)により行われ、書類確認または、現物チェック、検疫検査が終わると(あるいは、フランスの検疫当局と協定を結んでいるほかの加盟国の検疫検査当局による検査が終了している場合は)、「防疫移動書類(Document Phytosanitaire de transport)」が検査終了までに発行され、「Laissez-Passer phytosanitaire(植物通行許可証)」が発給されると通関を切ることができます。到着した税関とは別の税関局を通った場合に、さらに検査が必要と判断された場合は追加の検査が行われます。

フランスにおける植物などの国境管理所のある港や空港、管理所は、2020年2月19日付アレテのANNEX IIに記載にされています。

ただし、公的管理の規則(EU)No 2017/625第44条および第47条に基づき、リスクに応じた適切な頻度で定期的に、残留農薬基準など、EUの食品衛生基準に適合しているか、消費者を誤認させる可能性があるかどうかのサンプリング検査をしており、書類検査または、同一検査あるいは現物検査が実施される場合があります。
残留農薬検査のサンプリング手法は、欧州委員会指令2002/63/ECに定められていますが、同指令の内容はCODEX(コーデックス委員会)の推奨するサンプリング手法を踏襲しているため、CODEXの手法と原則同じ内容です。
検査に要した費用は請求されます。

関連リンク

根拠法等
指令2002/63/EC(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
実施規則 (EU) 2019/66 (英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
規則(EC) 2017/625(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
実施規則(EU)2019/2072(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
※関連リンクに示したEU法のリンクは、全て制定時の条文へのリンクとなっています。最新の条文を確認するには、ページ左側の「Document information」を選択し、「Relationship between documents」の「All consolidated versions」の中から最新時点のものを選択してください。
動植物国境管理所のリストを定める2020年2月19日付アレテ (フランス語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
残留農薬のMRLへの適合を判定するための推奨サンプリング法(CODEX) PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(213KB)
RECOMMENDED METHODS OF SAMPLING FOR THE DETERMINATION OF PESTICIDE RESIDUES FOR COMPLIANCE WITH MRLS (CAC/GL 33-1999), Codex Alimentarius Commision, FAO(英語)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(126KB)
その他参考情報
国境管理所(BCP Border Control Post)

4. 販売許可手続き

調査時点:2020年7月

規則No 2016/2031第79条に規定されているとおり、2019年12月14日から、EUで統一した植物パスポートのラベルが採用されるだけでなく、すべての植え付けを目的とした植物の販売、遠隔販売を含めたEU域内の移動にも植物パスポートが必要です(種子や個人使用など一部例外を除く)。実施規則(EU)2019/2072の ANNEX XIIIに記載されているとおり、葉や花柄(枝と果実をつなぐ軸)を伴うカンキツ属、キンカン属、カラタチは植物パスポート取得の対象となります。

さらに、日本側で発行される植物検疫証明書や植物パスポートが必要とされる植物を輸入する事業者や物流業者は、「専門事業者の登録(Professional Operator)」が必要とされています((EU)2016/2031 第65条)
従来からあるシステムであったが、新規則において、より専門家の役割が重視され、植物、植物製品、およびその他の製品に関する定植、育種、生産、繁殖、EUへの入域、EU域内での移動、上市などの活動に法的責任を負い、専門事業者として関与するという意味で、登録が義務付けられました。

手続きは各国で異なるため、確認してください。

フランスの場合、フランス農業・食料省管轄の地域食品農林局(DRAAF:Direction Régionale de l'Alimentation, de l'Agriculture et de la Forêt)が管轄で、「専門事業者の登録」手続きは2019年までは書類での申請でしたが、2019年11月27日から電子化が進められており、すべて電子システムでの登録に統一される予定です。現在は移行期間中のため、うまくいかない場合は紙での申請も可能です。すでに農業食糧省の食品総局 (DGAL)、フランス・アグリメール 、全国種苗業種間連合会(GNIS-SOC)により、発給された登記番号INUPPを取得済みの場合、新たな登録は不要です。フランスまたはEU域内で植物などの生産や販売に関わる場合は、毎年4月30日より前に申し出る必要があります。
木材の専門事業者については別様式となります。

関連リンク

関係省庁
フランス農業・食料省 ホームページ「植物専門事業者の登録手続き」(フランス語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
食品農林地域局(Directions régionales de l'Alimentation, de l'Agriculture et de la Forêt:DRAAF) (フランス語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
根拠法等
規則(EU)No 543/2011(英語) 外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
規則(EU)No 2016/2031 (英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
※関連リンクに示したEU法のリンクは、全て制定時の条文へのリンクとなっています。最新の条文を確認するには、ページ左側の「Document information」を選択し、「Relationship between documents」の「All consolidated versions」の中から最新時点のものを選択してください。
その他参考情報
フランス農業・食料省 専門事業者登録(仏語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
ジェトロレポート「EUにおける新しい公的管理・植物衛生・動物衛生制度に関する調査(2020年3月)」外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

5. その他

調査時点:2020年7月

なし