日本からの輸出に関する制度

牛乳・乳製品の輸入規制、輸入手続き

品目の定義

調査時点:2021年10月

本ページで定義する牛乳・乳製品のHSコード

0401.10~0406.90
:牛乳・乳製品
2105.00
:アイスクリーム

ベトナムの輸入規制

1. 輸入禁止(停止)、制限品目(放射性物質規制等)

調査時点:2021年10月

日本産牛乳・乳製品はベトナムへ輸出することができます。「外国貿易管理法の施行細則を定める政令69/2018/ND-CP」の別表1のIIにおいて輸入禁止となる物品が列挙されていますが、牛乳・乳製品は輸入禁止の対象外です。東京電力福島第一原子力発電所事故に伴う輸入規制は既に撤廃されています。

2. 施設登録、輸出事業者登録、輸出に必要な書類等(輸出者側で必要な手続き)

調査時点:2021年10月

製造輸出施設登録
冒頭で書いてあるHSコードからみると、牛乳・乳製品が加工・包装済み食品であり、「食品安全法の施行細則を定める政令15/2018/ND-CP」第6章によると、牛乳・乳製品の輸出者は、輸出国の所轄機関で生産販売事業所の登録手続きの対象外となります。
なお、保健省が管轄する機能性食品、微量栄養素補助食品、補助食品(supplementary food)、食品添加物、飲用水およびミネラルウオーターに対しては、輸出国で発行された自由販売証明書(Certificate of Free Sale:CFS)の提出が要求されます〔外国貿易管理法の施行細則を定める政令69/2018/ND-CP〕。 「自由販売証明書(Certificate of free sale)」とは、輸出相手先国の通関関係機関などから入手する、輸出された食品が輸出国国内において問題なく流通していることを証明する書類です。同証明書は農林水産省の各地方農政局で発行しています。取得方法については関連リンクの「その他参考情報」の「輸出食品に関する自由販売証明書の発行申請について」(農林水産省)を参照してください。

3. 動植物検疫の有無

調査時点:2021年10月

牛乳・乳製品は、動物検疫の対象となります(農業農村開発省「動物由来食品の検疫を規定する通達25/2016/TT-BNNPTNT」(同省通達35/2018/TT-BNNPTNTによる一部修正)および「農業農村開発省の管轄範囲に属する商品のHSコード一覧表に関する通達15/2018/TT-BNNPTNT」)。輸出国で発行された食品衛生証明書の提出が要求されます。

日本国内では、ベトナム向けに牛乳・乳製品を輸出するための制度が構築されていません。対シンガポールやEUの例では、当該食肉の処理を行った登録施設を管轄する食肉衛生検査所に対して原料食肉証明書を発行してもらったうえで、保健所に、食肉衛生証明書の発行を申請する必要があります。その後、食肉衛生証明書を添えて動物検疫所で輸出検査を受け、輸出検疫証明書の発行を受ける必要があります。詳細は関連リンクの農林水産省「証明書や施設認定の申請 アジア」からベトナムの「ベトナム向け輸出食肉の取扱要綱」を確認してください。

ベトナムの食品関連の規制

1. 食品規格

調査時点:2021年10月

牛乳・乳製品は、ベトナム国家規格(「QCVN」)として、保健省の各規格である「酸性化したミルク製品に関するQCVN 5-5:2010/BYT」、「粉状のミルク製品に関するQCVN 5-2:2010/BYT」、「液体のミルク製品に関するQCVN 5-1:2010/BYT」、「ミルクから得た油脂製品に関するQCVN 5-4:2010/BYT」および「チーズ製品に関するQCVN 5-3:2010/BYT」が定められています。

コーデックス規格を導入する基準であるベトナム基準(「TCVN」といい、食品生産販売事業者が同基準の適用を任意に選定できるもの)については、科学技術省より次のとおり発布されました。

TCVN 相当するCODEX規格 定義
濃縮ミルク製品に関する基準TCVN 10558:2015 CODEX STAN 281-1971, Rev. 1999 加熱その他方法により、ミルクから水の一部を排除した成果物であり、同ミルクと同様の成分と特性があるミルク製品
ミルクから得た油脂製品に関する基準TCVN 8434:2010 Codex Stan 280-1973, Rev. 1-1999, AMD. 1-2006 ミルクと乳製品から水および無油脂分の大部分を排除することにより得られた油脂製品
スプレッドミルク油脂に関する基準TCVN 10557:2015 CODEX STAN 253-2006, AMD 2010 ミルクから得られたもので、水中ミルク油脂の乳状液にある高含有油脂の乳製品であり、スプレッドが可能と共に、20度でも固体で保持されるもの
スプレッドミルク油脂に関する基準TCVN 10557:2015 CODEX STAN 253-2006, AMD 2010 ミルクから得られたもので、水中ミルク油脂の乳状液にある高含有油脂の乳製品であり、スプレッドが可能と共に、20度でも固体で保持されるもの
酸性化したミルク製品に関する基準TCVN 7030:2016 CODEX STAN 243-2003 REV.2010 ミルクの酸性化による乳製品であり、適切な微生物の影響およびピーエイチ低下(凝固の有無を問わない)により、成分の変更にかかわらず、ミルクから製造されたもの
粉状であるミルクおよびクリームに関する基準TCVN 7979:2018 CODEX STAN 207-1999, AMD2018 ミルクまたはクリームから水を排除することにより得られた乳製品

2. 残留農薬および動物用医薬品

調査時点:2021年10月

牛乳・乳製品は、残留農薬規制の対象となります。ベトナムでは使用される農薬についてポジティブリスト制を採用しており、「食品中に含まれる農薬の最大許容量を規定する保健省通達50/2016/TT-BYT」において、農薬および食品の種類ごとに日常許容摂取値(ADI値)および最大残留許容値(MRL値)が定められています。加えて、「保健省決定46/2007/QD-BYTを一部修正する保健省通達24/2013/TT-BYT」第4条において、動物用医薬品の残留についてMRL値の規制が定められています。法令に記載されていない農薬または動物用医薬品の残留は認められていません。

3. 重金属および汚染物質

調査時点:2021年10月

牛乳・乳製品は、重金属および汚染物質規制の対象となります。最大残留基準値は、「食品中の重金属の最大残留基準値を規定する国家規格QCVN8-2:2011/BYT」の第2章において規定されています。
「食品中の重金属の最大残留基準値を規定する国家規格QCVN8-2:2011/BYT」の第2章では、6種類(ヒ素、カドミウム、鉛、水銀、メチル水銀、スズ)について、食品の種類ごとにMRL値が定められています。法令に記載されていない重金属の含有は認められていません。

牛乳・乳製品における重金属のMRL値は次のとおりです。

ヒ素
:0.5(mg/kgまたはmg/l)
カドミウム
:1.0(mg/kgまたはmg/l)
:0.02(mg/kgまたはmg/l)
水銀
:0.05(mg/kgまたはmg/l)
スズ
:250(mg/kgまたはmg/l)

*このほか、「食品中にある有毒菌類の最大残留基準値を規定する国家規格QCVN8-1:2011/BYT」にて有毒菌類、「食品中にある微生物の最大残留基準値を規定する国家規格QCVN8-3:2012/BYT」にて微生物、「食品中に含まれる生物的・化学的汚染の最大許容量に関する保健省決定46/2007/QD-BYT」の第7章および「溶媒である製造助剤許容値を規定する国家規格QCVN18-1:2015/BYT」にて食品の製造助剤許容値についても規制をしています。

4. 食品添加物

調査時点:2021年10月

牛乳・乳製品は食品添加物規制の対象となります。
ベトナムで使用可能な食品添加物リストおよび使用対象食品ごとにおけるその最大許容値(ML値)は「保健省通達24/2019/TT-BYT」で定められています。ポジティブリスト形式で規定されているため、同リストに記載のない食品添加物の使用、販売、輸出入は認められません。
また、食品添加物は、次の(1)および(2)に該当する場合に限り、使用できます。

  1. ヒトの健康を損なうおそれがなく、消費者を欺くことなく、必要とされる効果を発揮する。
  2. 次のア~ウの目的を達成するために、より経済的かつ技術的に効果のあるその他の方法がない。
    1. 食品の栄養価値の維持
    2. 食品の品質・安定性維持の強化または感覚刺激性の改善(消費者を欺く性質・品質の変更を伴わないもの)
    3. 食品の製造・輸送の補助(低品質な原材料の使用または不適切な製造・技術により発生する影響を隠す目的ではないもの)

新たな効果がある混合食品添加物、前述のリストに記載のない食品添加物、または前述のリストに記載される使用対象食品以外の食品への食品添加物の使用については、使用または販売する前に、「食品安全法の施行細則を定める政令15/2018/ND-CP」の第6条~第8条による商品公表書登録手続を行う必要があります。

このほか「食品中に含まれる生物的・化学的汚染の最大許容量に関する保健省決定46/2007/QD-BYT」の第7章および「溶媒である製造助剤許容値を規定する国家規格QCVN18-1:2015/BYT」で食品の製造助剤許容値についても規制をしています。

5. 食品包装(食品容器の品質または基準)

調査時点:2021年10月

輸出食品の包装および容器は、「食品と接触する容器・包装に対する安全衛生の国家技術規格を定める通達34/2011/TT-BYT」および「食品に直接接触するガラス、陶磁器などの容器・包装に関する通達35/2015/TT-BYT」に添付の各品質基準に合致することが求められます。合成樹脂、ゴム、金属それぞれの材料により安全衛生の国家技術規格が異なるため注意する必要があります。
また、食品に直接接触するプラスチック容器の場合は、次の基準を満たすことが求められます。

  1. ポリエチレンに関する基準TCVN6514-1:1999 (AS2070-1:1995(E))
  2. ポリ塩化ビニルに関する基準TCVN 6514-2:1999 (AS 2070 – 2 : 1993(E))
  3. スチレンのプラスチック材料に関する基準TCVN 6514-3:1999 (AS 2070 – 3 : 1993(E))
  4. アクリロニトリルのプラスチック材料に関する基準TCVN 6514-4:1999 (AS 2070 – 4 : 1993(E))
  5. ポリプロピレンに関する基準TCVN 6514-5:1999 (AS 2070 – 5 : 1993(E))
  6. 着色剤に関する基準TCVN 6514-6:1999 (AS 2070 – 6 : 1993(E))
  7. ポリ塩化ビニリデンに関する基準TCVN 6514-7:1999 (AS 2070 – 7: 1993(E))
  8. その他の添加剤に関する基準TCVN 6514-8:1999 (AS 2070 – 8: 1992(E))

なお、食品をベトナムに輸出後に、ベトナムにおいて包装および容器に封入する場合、当該包装および容器は、これらの規定に従うほか、商品自己公表手続きが必要となる場合があります(「食品安全法の施行細則を定める政令15/2018/ND-CP」の第4.1条)。詳細は「輸入手続き_4.販売許可手続き」をご確認下さい。

関連リンク

関係省庁
ベトナム保健省(ベトナム語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
根拠法等
食品と接触する容器・包装に対する安全衛生の国家技術規則34/2011/TT-BYT(ベトナム語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
その他参考情報
食品に直接接触する容器に関する各国家規格 QCVN12-1:2011/BYT(ベトナム語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
食品に直接接触する容器に関する各国家規格 QCVN12-2:2011/BYT(ベトナム語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
食品に直接接触する容器に関する各国家規格 QCVN12-3:2011/BYT(ベトナム語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
食品に直接接触する容器に関する各国家規格 QCVN12-4:2011/BYT(ベトナム語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
食品に直接接触するプラスチック容器(ポリエチレン)に関する基準TCVN6514- 1:1999(ベトナム語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
食品に直接接触するプラスチック容器(ポリ塩化ビニル)に関する基準TCVN6514- 2:1999(ベトナム語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
食品に直接接触するプラスチック容器(スチレンのプラスチック材料)に関する基準TCVN6514- 3:1999(ベトナム語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
食品に直接接触するプラスチック容器(アクリロニトリルのプラスチック材料)に関する基準TCVN6514- 4:1999(ベトナム語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
食品に直接接触するプラスチック容器(ポリプロピレン)に関する基準TCVN6514- 5:1999(ベトナム語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
食品に直接接触するプラスチック容器(着色剤)に関する基準TCVN6514- 6:1999(ベトナム語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
食品に直接接触するプラスチック容器(gポリ塩化ビニリデン)に関する基準TCVN6514- 7:1999(ベトナム語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
食品に直接接触するプラスチック容器(その他の添加剤)に関する基準TCVN6514- 8:1999(ベトナム語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
ジェトロ「海外向け食品の包装制度調査(EU、TPP、米国、中国、韓国、台湾、インド、タイ、インドネシア、GCC、メルコスール)」(2020年3月)(日本語)

6. ラベル表示

調査時点:2021年10月

牛乳・乳製品のラベル表示には、「商品のラベル表示に関する政令43/2017/ND-CP」および「食品安全法の施行細則を定める政令15/2018/ND-CP」により規定されています。 表示義務項目は次のとおりです。

  1. 商品名
  2. 内容量
  3. 製造年月日
  4. 賞味期限(消費期限)
  5. 商品に責任を持つ組織あるいは個人の名称と住所(輸入食品の場合は、製造者である組織・個人および商品自己公表もしくは商品公表書登録手続きを行った組織・個人の名称と住所)
  6. 原産地
  7. 成分または定量の成分
  8. 衛生安全性に関する情報と警告
  9. 使用方法・保管方法

ラベルには、ベトナム語による表記が義務付けられています。
機能性食品のラベル表示については、「政令15/2018/ND-CP」第24条に規定されています。
また、遺伝子組み換え食品のラベル表示については、「農業農村開発省・科学技術省共同通達45/2015/TTLT-BNNPTNT-BKHCN」に規定されています。なお、遺伝子組換え食品について、それぞれの遺伝子組換え成分が食品の5%以下である場合は表示が免除されています(遺伝子組み換え生物やそのサンプル・製品の安全性に関する政令69/2010/ND-CP第43条、政令15/2018/ND-CP第10条)。

7. その他

調査時点:2021年10月

ベトナムで販売する牛乳・乳製品の衛生規制は、食品安全法で定められています。
同法によれば、ベトナムの国レベルでの食品安全管理は、主に保健省が担っています。保健省は食品安全に関する食品包装、食品容器の国家技術規定の公布や、加工食品にかかる食品添加物、食品加工助剤などについての管理権限も有しています。ただし、牛乳・乳製品の食品安全管理については、商工省が担っています。
「食品安全法の施行細則を定める政令15/2018/ND-CP」の第6章に基づいて、輸入される食品、食材、食品添加物、食品加工助剤、食品包装用具、食品包装材、食品容器など、すべてが検査対象となります。ただし、展示会サンプル用の食品など、検査対象外の場合もあります。 輸入される牛乳・乳製品の検査の方法、手続きは、「輸入手続きの「2.輸入時の検査」を参照してください。

ベトナムでの輸入手続き

1. 輸入許可、輸入ライセンス等、商品登録等(輸入者側で必要な手続き)

調査時点:2021年10月

「外資企業の商品売買活動等に関する商法および外国貿易管理法の細則を定める政令09/2018/ND-CP」の第3条第1項および第5条によれば、日本から牛乳・乳製品を輸入するにあたって、外資企業は事前に商工省から外資企業の営業許可書(輸入)を取得する必要はありません。

2. 輸入通関手続き(通関に必要な書類)

調査時点:2021年10月

「財務省通達38/2015/TT-BTC」(同省「通達39/2018/TT-BTC」および「通達81/2019/TT-BTC」により改正)では一般的な通関検査、通関手続きなどを規定しています。
通関申告は通関データ処理システム(VNACCS)を用いてオンラインで行われ、申告書、インボイス、船荷証券、価値申告書、商品証明書といった書類が通関申告の登録のために必要になります。通関申告の登録が承認された場合、VNACCSによって申告番号が付与されます。その後、通関に必要な検査内容(審査・検査なし、書面審査、貨物検査の3レベルがあります)が決定され、VNACCS上で通知されます。また、通関には、動物検疫、食品安全検査などに合格し必要な要件をすべて満たしていること、関税などがすべて納付されることが必要となります。

なお、税関職員の裁量と慣行によって、実際には法令とは異なる手続きがなされることがあることにも注意する必要があります。

3. 輸入時の検査・検疫

調査時点:2021年10月

牛乳・乳製品は輸入時の食品安全検査および検疫の対象となります。

検査
「食品安全法の施行細則を定める政令15/2018/ND-CP」第6章および農業農村開発省通達15/2018/TT-BNNPTNT」の付録1第12項目によると、牛乳・乳製品は輸入時の食品安全検査対象となります(ただし、商品公表書登録の受取書が発行された商品など、「政令15/2018/ND-CP第13条」に定める場合は、この検査が免除されます)。
検査の方式としては、簡易検査・通常検査および厳重な検査があります。原則として通常検査の方式は適用されますが、次の場合は、簡易検査または厳重検査が適用されます。
  1. 簡易検査の適用
    1. ベトナムが加盟している食品安全相互認定に関する国際条約を締結している国の機関、組織により食品安全に関する要求に到達していると認定された場合;ベトナム法令に適合する輸入ロットおよび商品に対する輸出国の権限のある機関による検査結果がある場合。
    2. 12カ月以内に行った通常検査により輸入要件合格通知書を連続で3回取得した商品。
    3. GMP、HACCP、ISO22000、IFS、BRC、FSSC22000の品質管理基準またはそれと同等な基準を適用している事業所で生産された商品。
  2. 厳重検査の適用
    1. 前回の検査における輸入要求レベルに到達していなかった輸入ロットおよび商品。
    2. 前回の監査、検査(ある場合)において基準を満たさなかったロット、商品。
    3. 保健省、農業農村開発省、商工省、省級の人民委員会または権限を有する外国の機関あるいは生産業者からの警告がある場合。

なお、前述の2.(i)および(ii)について厳重検査を連続3回合格した場合、または前述の2.(iii)について、保健省、農業農村開発省もしくは商工省から厳重検査適用の停止通知書がある場合において、厳重検査から通常検査に変更されます。
食品安全検査を申請する際の書類として、次のものを検査実施機関に提出します(通常検査の場合)。

  1. 食品安全検査申請書(正本)
  2. 商品自己公表書
  3. パッキングリストの写し

食品安全検査の手段としては、書類検査ですが、厳重な検査の場合はサンプル検査も行われます。
食品安全検査に合格すると、輸入要件合格通知書が発行されます。輸入者は同通知書を税関当局に提出します。

検疫
「通達25/2016/TT-BNNPTNT」(通達35/2018/TT-BNNPTNTによる一部修正)付録Iおよび「農業農村開発省の管轄範囲に属する商品のHSコード一覧表に関する通達15/2018/TT-BNNPTNT」の付録I第1項目に基づき、アイスクリームおよびそのほか氷菓(HSコード2105.00)以外の牛乳・乳製品は動物検疫対象となります。
同通達第9条によると、動物検疫では、ナショナルシングルウインドウまたは郵便の方法、あるいは電子メール・ファクスでスキャンデータを送付してから原本を提出することにより、動物検疫申請書を農業農村開発省獣医局に提出する。同局は輸出国の衛生管理状況などを考慮したうえで動物検疫許可証を発行します。その後、所定の書式の検疫申告書および輸出国が発行した検疫証明書を輸出の目的地の港の動物検疫当局に提出し、動物厚生衛生基準を満たしたと判断されると、同局から動物検疫証が発行されます。

4. 販売許可手続き

調査時点:2021年10月

牛乳・乳製品を輸入・販売する企業は、次の手続きが必要となります。

  1. 食品安全要件充足施設証明書
    食品安全法(マスタープランに関連する11法律の一部の条項を改正・補足する法律 28/2018/QH14により一部改正)の第34条および「食品安全法の施行細則を定める政令15/2018/ND-CP」の第11条および第12条によれば、包装済み食品に該当する場合を除き、牛乳・乳製品を輸入・販売する企業は、食品安全要件充足施設証明書を取得する必要があります。
    食品安全要件充足施設証明書の取得の条件は、食品安全法第34条に規定されます。
  2. 商品自己公表または商品公表書登録
    「食品安全法の施行細則を定める政令15/2018/ND-CP」第4条および第5条によると、加工包装済み食品を輸入する企業は、商品自己公表手続きを行う必要があります。
    商品自己公表に際しては、(i)所定の書式の商品自己公表書、および(ii)商品テスト結果が必要となります。商品テスト結果は12カ月以内に実施されたもので、ベトナム当局が承認するか、所定の研究機関が定める技術基準に基づくテストでなければなりません。同手続きは、輸入する前ではなく、販売する前に行う必要であるため、製品を輸入次第、ベトナム国内の所定研究機関に依頼も可能なので、輸入の前にベトナムへのサンプル送付が求められていないと考えられます。
    事業者は、これらの書類をマスメディアまたは自己のウェブサイトもしくは所在地において公表し、かつ食品安全に関するアップデートデータ情報システムに公表します。(同システムが設定されていないときは、当局へ直接あるいは郵便で送付します。それを受領した当局は、当局のウェブサイトに事業所名および公表された商品名を掲載します。)
    ただし、輸出商品の加工もしくは個人・組織内使用のために輸入する商品または原料は、商品自己公表手続きを行う必要はありません。

    なお、健康食品、医学的な栄養食品、特別用途食品および36カ月以下の子供用の栄養食品に該当する牛乳・乳製品を輸入する企業は、「政令15/2018/ND-CP」第6条、第7条、第8条によると、保健省(健康食品の場合)または保健局(医学的な栄養食品、特別用途食品および36カ月以下の子供用の栄養食品の場合)において商品公表書登録手続きを行う必要があります。
    商品公表書登録に際しては、前述の(i)および(ii)の書類に加え、輸出国の当局により発行された自由販売証明書(Certificate of free sale)もしくは輸出証明書(Certificate of Exportation)あるいは保健証明書(Health Certificate)、公表した製品もしくは製品の構成分の作用を証明する科学的な証拠、適正製造規範(GMP:Good Manufacturing Practice)に適合した施設に発給される食品安全条件充足証明書もしくはそれに相当する証明書(健康食品の場合)を、オンラインパブリックサービスシステムもしくは郵便によりあるいは直接当局に提出します。当局が審査のうえ、商品公表書登録受取書を発行し、ウェブサイトならびに食品安全に関するデータベースにおいて登録した事業者およびその商品の名称を公開します。

  3. 輸入事業者の要件
    ベトナム企業と外資企業で根拠法令が異なります。 ベトナム企業の場合は特別な規制の対象品目を除き、別途輸入許可申請を行うことなく食品を輸入できます。
    外資企業の場合は活動許可書(計画投資局からの投資ライセンス)にベトナムのWTO加盟以降「輸入・流通業務」の追加手続きがなされていることが条件となります(「外国貿易管理法施行細則を定める政令69/2018/ND-CP」の第3条)。
    また、「外資企業の流通関連ビジネスに関する商法施行政令09/2018/ND-CP」の第5条によれば、外資企業は、牛乳・牛製品の輸入・卸売販売について事前に商工省から外資企業の営業許可書(輸入・卸売販売)を取得する必要はありません。また、小売店舗を設立する場合は、営業許可書に加え、同政令第22条ないし第29条に基づき、商工局から小売店舗の設立許可証を取得する必要があります。
    牛乳・乳製品の販売については「食品販売事業所への安全確保の一般条件」に関する内容が「食品安全法」の第4章に定められています。また、小型販売店の場合、「食品安全法」の第22条「小型の食品販売事業所への食品安全の条件」に基づいて、拠点、設備、食品、食品販売担当者などの食品安全条件を順守しなければなりません。

卸売業・小売業でベトナムに進出する場合については、「その他参考情報」の「ジェトロ貿易・投資相談Q&A 卸売業・小売業で進出する際の留意点:ベトナム」を参照してください。

5. その他

調査時点:2021年10月

なし

ベトナム内の輸入関税等

1. 関税

調査時点:2021年10月

ベトナムへ輸入される牛乳・乳製品は、関税の対象となります。
関税額は、CIF価格を基準に計算されます。「政令122/2016/ND-CP」および「政令125/2017/ND-CPを改正、補足する政令57/2020/ND-CP」に添付された輸入税表によると、牛乳・乳製品に係る最恵国税率(MFN)は、製品によって0~20%となります。
日本から輸入する場合は日本・ASEAN包括的経済連携協定(AJCEP)、日本・ベトナム経済連携協定(VJEPA)の税率を適用することができます。なお、AJCEP・JVEPAの適用を受けるためには、原産地基準を満たす必要があり、また、各協定の引下げスケジュールを確認する必要があります。
AJCEPの特別優遇税率を規定する「政令160/2017/ND-CP」および「VJEPAの特別優遇税率を規定する政令155/2017/ND-CP」に基づき、牛乳・乳製品の特別優遇輸入関税率は次のとおりです。

牛乳・乳製品の関税率
HSコード AJCEP適用税率(%) VJEPA適用税率(%)
2018年1月1日-2018年3月31日 2018年4月1日-2019年3月31日 2019年4月1日-2020年3月31日 2020年4月1日- 2021年3月31日 2021年4月1日- 2022年3月31日 2022年4月1日- 2023年3月31日 2018年1月1日-2018年3月31日 2018年4月1日-2019年3月31日 2019年4月1日-2020年3月31日 2020年4月1日- 2021年3月31日 2021年4月1日- 2022年3月31日 2022年4月1日- 2023年3月31日
04.01 8 6 5 4 3 1 9 7.5 6 5 4 2.5
0402.10.41
0402.10.42
0402.10.49
1 0 0 0 0 0 2 1 0 0 0 0
0402.10.91
0402.10.92
0402.10.99
4 4 4 4 4 2 4.5 4.5 4.5 4.5 4.5 4
0402.21. 1 0 0 0 0 0 3 1 0 0 0 0
0402.29 11 9 8 6 4 2 13 11 9 7.5 6 4
0402.91 1 0 0 0 0 0 3 1 0 0 0 0
0402.99 30 30 30 30 30 30 30 30 30 30 30 30
04.03 11 9 8 6 4 2 13 11 9 7.5 6 4
0404.10.10
0404.10.90
8 6 5 4 3 1 9 7.5 6 5 4 2.5
0404.90 11 9 8 6 4 2 13 11 9 7.5 6 4
0405.10
0405.20
8 6 5 4 3 1 9 7.5 6 5 4 2.5
0405.90.10
0405.90.20
5 0 0 0 0 0 1 0.5 0 0 0 0
0405.90.30
0405.90.90
8 6 5 4 3 1 9 7.5 6 5 4 2.5
04.06 1 0 0 0 0 0 2 1 0 0 0 0

包括的および先進的な環太平洋パートナーシップ協定(TPP11=CPTPP)の特別優遇税率を適用する場合

CPTPP(TPP11)の特別優遇税率の適用を受けるためには、次の条件をすべて満たしている必要があります。

  • 「政令57/2019/ND-CP」に添付される優遇輸入関税の商品リストに該当すること
  • 日本(またはほかの締約国)からベトナムへ輸入されること
  • 日本(またはほかの締約国)からベトナムに直接出荷される商品であること
  • CPTPPの商品の原産地に関する規定を満たし(品目別規則などは「通達03/2019/TT-BCT」(「通達06/2020/TT-BCT」により一部改正)に規定)、生産者または輸出者が自ら原産性を証明すること(※)

※CPTPPは自己申告制度のため、生産者または輸出者が自ら原産地証明書を作成し、ベトナム輸入時に税関に提出します。ベトナムでは輸入者が作成する原産地証明書はまだ認められていません(協定本文第3.20条第1項注2)。また、日本商工会議所の特定原産地証明書の発給は行われません。
※ベトナムから日本に輸入する場合は、商工省管轄の発給機関でCOフォーム(フォームCPTPP)発給を受ける(協定本文 付属書三-A 5項(b))か、または日本の輸入者が自ら作成し、日本輸入時に税関に提出するかのいずれかとなり、日本からベトナムに輸出する場合と手続きが異なります。
CPTPP協定に基づくと、牛乳・乳製品の各種輸入製品は、同協定発効後4年目に、輸入関税率が0%になります。その例外として、HSコード0402.91.00およびHSコード0402.99.00の製品は、同協定発効後5年目に、輸入関税率が0%になります。
「政令57/2019/ND-CP」によると、次の2つの製品を除き、日本から輸入する牛乳・乳製品の各種製品のCPTPPに基づく2021年および2022年の特別優遇輸入関税率は0%になっています。

CPTPPに基づく特別優遇輸入関税率
HSコード 税率(%)
2021年1月1日 - 2021年12月31日 2022年1月1日 - 2022年12月31日
0402.91.00 2 0
0402.99.00 4 0

関連リンク

関係省庁
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根拠法等
関税法 54/2014/QH13(ベトナム語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
VJEPAの特別優遇税率を規定する政令155/2017/ND-CP(ベトナム語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
税率表PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(6.4MB)
AJCEPの特別優遇税率を規定する政令160/2017/ND-CP(ベトナム語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
税率表PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(18.3MB)
CPTPPの原産地規則を規定する通達03/2019/TT-BCT(ベトナム語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
57/2019/ND-CP(ベトナム語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
通達03/2019/TT-BCT(ベトナム語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
輸入クオータ枠を超える輸入量に対する輸入税率および品目、混合税・上限税率および品目、優遇輸入税率表、輸出税率表について規定する政令122/2016/ND-CP(ベトナム語)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(12.1MB)(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
政令122/2016/ND-CP号を改正・補足する政令125/2017/ND-CP(ベトナム語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
政令122/2016/ND-CPおよび政令125/2017/ND-CPを改正・補足する政令57/2020/ND-CP(ベトナム語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
※当該政令が長いため、全文は8つのPDFに分けて掲載されています。
その他参考情報
経済産業省 AJCEP外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますVJEPA外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
世界各国の関税率(World Tariff)
内閣官房「TPPの内容」(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
内閣官房「TPPの内容」(日本語 訳文)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
内閣官房「Tariff Schedule」PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(11.8MB)
財務省関税局・税関「TPP11(CPTPP)原産地規則について」PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(857KB)
農林水産省「TPPにおける各国の対日関税に関する最終結果(HS2012版)(詳細版)」PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(1.1MB)
ジェトロ「ビジネス短信:TPP11の原産地規制に関する通達を公布(ベトナム)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
ジェトロ「ビジネス短信:CPTPPに基づく輸出入関税率が公布・施行(ベトナム)」外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

2. その他の税

調査時点:2021年10月

付加価値税

ベトナムにおいて、牛乳・乳製品に関する付加価値税(VAT)の取り扱いは、次のとおりです。

  1. 輸入時
    日本からベトナムへ輸入される生および未加工の農産物ならびに前処置のみ施された農産品(※)については、輸入付加価値税が免除されます。
    加工された農産物製品には、10%の輸入付加価値税が課税されます。
  2. 国内販売時
    生および未加工の農産物ならびに前処置のみ施された農産品(※)をベトナム国内で再販する場合には、5%の付加価値税の対象となります。
    それ以外の加工された農産物製品をベトナム国内で再販する場合は、10%の付加価値税の対象となります。なお、輸入者が輸入時に支払った付加価値税について控除を受けることが可能です。具体的には、再販時に買手から受け取る付加価値税から、支払済みの輸入付加価値税を控除した金額を納税することになります。なお、輸入付加価値税が売手から受け取る付加価値税より大きい場合は、翌課税期間への繰り越しが可能です。

    ※前処置のみ施された農産品とは、清浄、乾燥、皮むき、製粉、脱殻、カット、塩漬け、冷蔵保存(冷却または冷凍)、亜硫酸ガス、亜硫酸水またはほかの溶液で保存したもの、そのほかの共通の保存手段によるものを指します。

3. その他

調査時点:2021年10月

なし

その他

調査時点:2021年10月

なし