日本からの輸出に関する制度

水産物の輸入規制、輸入手続き

品目の定義

調査時点:2021年10月

本ページで定義する水産物のHSコード

0302:
魚(生鮮のものおよび冷蔵したものに限るものとし、第03.04項の魚のフィレその他の魚肉を除く)
0303:
魚(冷凍したものに限るものとし、第03.04項の魚のフィレその他の魚肉を除く)
0304:
魚のフィレその他の魚肉(生鮮のものおよび冷蔵しまたは冷凍したものに限るものとし、細かく切り刻んであるかないかを問わない)
0305:
魚(乾燥し、塩蔵しまたは塩水漬けしたものに限る)、くん製した魚(くん製する前にまたはくん製する際に加熱による調理をしてあるかないかを問わない)ならびに魚の粉、ミールおよびペレット(食用に適するものに限る)
0306:
甲殻類(生きているもの、生鮮のものおよび冷蔵し、冷凍し、乾燥し、塩蔵しまたは塩水漬けしたものに限るものとし、殻を除いてあるかないかを問わない)、くん製した甲殻類(殻を除いてあるかないかまたはくん製する前にもしくはくん製する際に加熱による調理をしてあるかないかを問わない)、蒸気または水煮による調理をした殻付きの甲殻類(冷蔵し、冷凍し、乾燥し、塩蔵しまたは塩水漬けしたものであるかないかを問わない。)ならびに甲殻類の粉、ミールおよびペレット(食用に適するものに限る)
0307:
軟体動物(生きているもの、生鮮のものおよび冷蔵し、冷凍し、乾燥し、塩蔵しまたは塩水漬けしたものに限るものとし、殻を除いてあるかないかを問わない)、くん製した軟体動物(殻を除いてあるかないかまたはくん製する前にもしくはくん製する際に加熱による調理をしてあるかないかを問わない)ならびに軟体動物の粉、ミールおよびペレット(食用に適するものに限る)
0308:
水棲無脊椎動物(生きているもの、生鮮のもの及び冷蔵、冷凍、乾燥、塩蔵又は塩水漬けしたものに限るものとし、甲殻類及び軟体動物を除く)、くん製した水棲無脊椎動物(甲殻類及び軟体動物を除くものとし、くん製する前に又はくん製する際に加熱調理をしてあるかないかを問わない)並びに水棲無脊椎動物の粉、ミール及びペレット(甲殻類及び軟体動物を除くものとし、食用に適するものに限る)

ベトナムの輸入規制

1. 輸入禁止(停止)、制限品目(放射性物質規制等)

調査時点:2021年10月

日本産水産物はベトナムに輸出することができます。「外国為替管理法の施行細則を定める政令69/2018/ND-CP」の別表1のIIに輸入禁止品目が挙げられていますが、水産物は対象外となっています。

輸出可能な水産物には条件があり、対ベトナム輸出水産食品取扱施設として登録された施設で製造された水産物であって、冷蔵または冷凍のものとされています。東京電力福島第一原子力発電所事故に伴う輸入規制は既に撤廃されています。

2. 施設登録、輸出事業者登録、輸出に必要な書類等(輸出者側で必要な手続き)

調査時点:2021年10月

日本の輸出者の手続き

日本から水産物をベトナムに輸出する場合は、最終加工施設の事前登録や日本政府関係当局が発行する衛生証明書(Health Certificate)、または食用水産品証明書が必要な場合があります。本ページは、ベトナム側の法律に基づいて記載していますが、輸出に当たっては、関連リンク「その他参考情報」の「農林水産省 ベトナム向け輸出水産食品の取扱要綱」(平成22年8月25日付け食安発0825第5号厚生労働省医薬食品局食品安全部長通知、22水漁第1110号水産庁長官通知)(最終改正:令和3年(2021年)7月1日付け最終改正)を必ず参照してください。

1. 最終加工施設の登録

最終加工施設の登録が必要か否かは、輸出する水産物の種類、加工地、消費地によって異なります。最終加工施設の登録要件については、関連リンク「その他参考情報」の「農林水産省 ベトナム向け輸出水産食品の取扱要綱」を参照してください。

  1. 水産物およびこれらの加工品(活水産動物を除く)
    1. 日本で加工され、ベトナム国内で消費される場合
      最終加工施設の登録を行う必要があります。登録手続きは、事前に最終加工施設が所在する都道府県の水産部局に対して行います。同申請は水産庁加工流通課に通知され、その後厚生労働省医薬食品局と農林水産省消費安全局が協議し、申請要件が確認されるとベトナム政府に登録要請が行われます。最終的にはベトナム政府農林水産物品質管理局に登録され、同局のウェブサイトに最終加工登録施設として掲載されます。
    2. 日本国外で加工され、ベトナム国内で消費される場合
      ベトナム政府による最終加工施設の登録は必要とされていますが、この場合、最終加工施設は日本国外にあるため、現実的に日本での施設登録はできません。当該国の手続きにのっとり、現地で登録を行うこととなります。
    3. 国内外の加工場所を問わず、全量がベトナムから再輸出される場合
      最終加工施設や最終保管施設(ベトナム向け輸出水産食品を最終的に保管する施設)の登録は不要ですが、輸出する水産食品が「食品衛生法に適合した水産動物およびこれらの加工品(活水産動物を除く)」に該当し、全量がベトナムから再輸出される場合、最終加工施設および最終保管施設は、次の(あ)、(い)のいずれかの要件に適合している必要があります。
      (あ)
      最終加工施設にあっては、次の(*)の要件に適合すること。
      (い)
      食品衛生法第27条に規定する輸入の届出を行い輸入された水産食品であって、かつ日本国内で(*)の(エ)から(カ)までのいずれの処理も行わない(輸入時の状態を維持した)場合にあっては、最終保管施設は、(*)の(ア)から(ウ)までのいずれかの要件に適合すること。
      (*)
      最終加工施設は、次の(ア)から(ウ)までのいずれかの要件に適合し、かつ(エ)から(カ)までのうちの少なくとも1つ以上の処理を行っていること。
      1. 法第52条に基づく営業許可を有すること。
      2. 条例に基づく食品製造などの営業許可を有することまたは営業に係る届出などを行っていること。
      3. 法第30条に規定する食品衛生監視員による監視指導を受けていることが食品衛生監視票などの書類で確認可能(食品衛生監視票の場合は、採点成績が年間平均90点以上)であること。
      4. 頭尾などの切り落としや内蔵の除去、フィレや切り身などの処理を行っていること。
      5. 乾燥、調味、加熱、塩蔵、凍結などの処理を行っていること。
      6. 食品に接触する包装処理を行っていること。
  2. 活水産動物(活魚)
    最終加工施設の登録を行う必要はありません。ただし、養魚場は漁業法などに基づき、適法に漁業を営んでいることが求められます。

2. 衛生証明書(Health Certificate)などの発行手続き

次のそれぞれの場合において必要な証明書が異なります。なお、ベトナムに輸出された水産物の全量がベトナムから再輸出される(ベトナム国内で消費されない)場合であっても、日本からの輸出時には衛生証明書などの発行を受ける必要があります。

  1. 水産動物およびこれらの加工品(活水産動物を除く)
    最終加工施設や最終保管施設を所管する都道府県などの証明書発行機関の衛生部局が、衛生証明書を発行します。
  2. 活水産動物(活魚)
    養殖場を管理する都道府県水産部局が食用水産品証明書を発行します。

「食品安全法の施行細則を定める政令15/2018/ND-CP」第6章によると、海外からベトナムに水産物を輸入する場合、輸出国の所轄機関は、国および生産販売事業所の施設登録手続きを行う必要があります(水産物が加工・包装済み食品である場合、または同政令第13条に定める輸入食品安全検査の免除対象に該当する場合は除きます)。
当該登録について、日本は、ベトナム農業農村開発省により水産物および水産食品をベトナムへ輸出する国として認定されましたが、ベトナム向け輸出水産食品取扱施設のリストに登録されていない事業所はその施設登録を行う必要があります。詳しくは農林水産省のウェブサイト「証明書や施設認定の申請 アジア」から「ベトナム」を参照してください。

3. 商品登録手続き

「食品安全法の施行細則を定める政令15/2018/ND-CP」によると、加工包装済みの食品に該当する水産物を輸入する企業は、商品自己公表手続きを行う必要があります。商品自己公表に際しては、(i)所定の書式の商品自己公表書、および(ii)商品テスト結果(12カ月以内に実施されたもの。ベトナム当局が承認するか所定の研究機関が定める技術基準に基づくテストであることが必要)が必要となります。事業者は、これらの書類をマスメディアまたは自己のウェブサイトもしくは所在地において公表し、かつ当局へ直接あるいは郵便で送付します。それを受領した当局は、当局のウェブサイトに事業所名および公表された商品名を掲載します。
一方、健康食品、医学的な栄養食品、特別用途食品および36カ月以下の子供用の栄養食品に該当する水産物を輸入する企業は、「食品安全法の施行細則を定める政令15/2018/ND-CP」第6条、第7条、第8条によると、保健省(健康食品の場合)または保健局(医学的な栄養食品、特別用途食品および36カ月以下の子供用の栄養食品の場合)において商品公表書登録手続きを行う必要があります。

なお、「政令15/2018/ND-CP」第12条において定められた対象ではない場合、食品安全基準充足施設証明書を取得しなければなりません。

3. 動植物検疫の有無

調査時点:2021年10月

水産物は動物検疫の対象となります(「水産物および水産加工品の検疫を規定する農業農村開発省通達26/2016/TT-BNNPTNT」および「農業農村開発省の管轄範囲に属する輸出入の商品のHSコード一覧表に関する通達15/2018/TT-BNNPTNT」付録I第6項目))。なお、通達26/2016/TT-BNNPTNTは通達02/2018/TT-BNNPTNT第5条及び通達第36/2018/TT-BNNPTNT号により改正されました。
申告書類の中に、輸出国からの動物検疫証明書があります。
日本においては、水産加工食品は厚生労働省が証明書を発行しています。食用ではない装飾用の貝殻(HSコード05080020)は動物検疫所の証明書が必要です。
また、同通達では通関の際に必要な手続きも規定しています。

共同通達17/2003/TTLT-BTC-BNN-BTSを修正とする決定05/2003/QD-BTSでは検疫対象となる水産物およびベトナムでの検疫証明書の承認および検疫証明書の発行官庁のリストを規定しています。

ベトナムの食品関連の規制

1. 食品規格

調査時点:2021年10月

水産物は、ベトナムの国家規格(QCVN)が定められていません 。

2. 残留農薬および動物用医薬品

調査時点:2021年10月

水産物は残留農薬規制の対象外となります。
ただし、活水産物(HSコード0302、HSコード03061711、HSコード03061719、HSコード03063621、HSコード03063631)に対しては、保健省通達24/2013/TT-BYTの第4条において、動物用医薬品の残留についてMRL値の規制が定められています。法令に記載されていない農薬または動物用医薬品の残留は認められていません。

3. 重金属および汚染物質

調査時点:2021年10月

水産物は、重金属および汚染物質規制の対象となります。最大残留基準値は、食品中の重金属の最大残留基準値を規定する国家規格QCVN8-2:2011/BYTの第2章において規定されています。

国家規格QCVN8-2:2011/BYTの第2章では、6種類(ヒ素、カドミウム、鉛、水銀、メチル水銀、スズ)について、食品の種類ごとにMRL値(最大残留許容値)が定められています。法令に記載されていない重金属の含有は認められていません。

水産物における重金属のMRL値は次のとおりです。

カドミウム:
0.05~2.0 (mg/kg)
鉛:
0.3~1.5 (mg/kg)
水銀:
0.5~1.0 (mg/kg)
メチル水銀:
0.5~1.0(mg/kg)
スズ:
250(mg/kg)

*このほか、「食品中にある有毒菌類の最大残留基準値を規定する国家規格QCVN8-1:2011/BYT」にて有毒菌類、「食品中にある微生物の最大残留基準値を規定する国家規格QCVN8-3:2012/BYT」にて微生物、「食品中に含まれる生物的・化学的汚染の最大許容量に関する保健省決定46/2007/QD-BYT」の第7章および「溶媒である製造助剤許容値を規定する国家規格QCVN18-1:2015/BYT」で食品の製造助剤許容値についても規制をしています。

4. 食品添加物

調査時点:2021年10月

水産物は食品添加物規制の対象となります。ベトナムで使用可能な食品添加物リストおよびその最大許容値(ML値)は「保健省通達24/2019/TT-BYT」で定められています。ポジティブリスト形式で規定されているため、同リストに記載のない食品添加物の使用、販売、輸出入は認められません。

また、食品添加物は、次の(1)および(2)に該当する場合に限り、使用することができます。

  1. ヒトの健康を損なうおそれがなく、消費者を欺くことなく、必要とされる効果を発揮する。
  2. 次のア~ウの目的を達成するために、より経済的かつ技術的に効果のあるその他の方法がない。
    1. 食品の栄養価値の維持
    2. 食品の品質・安定性維持の強化または感覚刺激性の改善(消費者を欺く性質・品質の変更を伴わないもの)
    3. 食品の製造・輸送の補助(低品質な原材料の使用または不適切な製造・技術により発生する影響を隠す目的ではないもの)

新たな効果がある混合食品添加物、前述のリストに記載のない食品添加物、または前述のリストに記載される使用対象食品以外の食品への食品添加物の使用については、使用または販売する前に、「食品安全法の施行細則を定める政令15/2018/ND-CP」第6条~第8条による商品公表書登録手続きを行う必要があります。

このほか、「食品中に含まれる生物的・化学的汚染の最大許容量に関する保健省決定46/2007/QD-BYT」の第7章および「溶媒である製造助剤許容値を規定する国家規格QCVN 18-1:2015/BYT」において食品の製造助剤許容値についても規制しています。
また、基準TCN 28 156:2000では水産物加工品(HSコード0305、0306、0307、0308)の添加物許容量を規定しています。

5. 食品包装規制(食品容器の品質または基準)

調査時点:2021年10月

水産物の容器・包装に関しては、「食品と接触する容器・包装に対する安全衛生の国家技術規格を定める通達34/2011/TT-BYT」および「食品に直接接触するガラス、陶磁器等の容器・包装に関する通達35/2015/TT-BYT」に添付の各品質基準に合致することが求められています。合成樹脂、ゴム、金属それぞれの材料により安全衛生の国家技術規格が異なるため注意する必要があります。

また、食品に直接接触するプラスチック容器の場合は、次の基準を満たすことが求められています。

  1. ポリエチレンに関する基準TCVN6514-1:1999 (AS2070-1:1995(E))
  2. ポリ塩化ビニルに関する基準TCVN 6514-2:1999 (AS 2070 – 2 : 1993 (E))
  3. スチレンのプラスチック材料に関する基準TCVN 6514-3:1999 (AS 2070 – 3 : 1993 (E))
  4. アクリロニトリルのプラスチック材料に関する基準TCVN 6514-4:1999 (AS 2070 – 4 : 1993 (E))
  5. ポリプロピレンに関する基準TCVN 6514-5:1999 (AS 2070 – 5 : 1993 (E))
  6. 着色剤に関する基準TCVN 6514-6:1999 (AS 2070 – 6 : 1993 (E))
  7. ポリ塩化ビニリデンに関する基準TCVN 6514-7:1999 (AS 2070 – 7: 1993 (E))
  8. その他の添加剤に関する基準TCVN 6514-8:1999 (AS 2070 – 8: 1992 (E))

なお、食品をベトナムに輸出後に、ベトナムにおいて包装および容器に封入する場合、当該包装および容器は、これらの規定に従うほか、商品自己公表手続きが必要となる場合があります(「食品安全法の施行細則を定める政令15/2018/ND-CP」の第4.1条)。

関連リンク

関係省庁
ベトナム保健省(ベトナム語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
根拠法等
食品と接触する容器・包装に対する安全衛生の国家技術規則34/2011/TT-BYT(ベトナム語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
食品安全法の施行細則を定める政令15/2018/ND-CP(ベトナム語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(ジェトロ仮訳)PDFファイル(781KB)
食品に直接接触するガラス、陶磁器などの容器・包装に関する通達35/2015/TT-BYT(ベトナム語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
その他参考情報
食品に直接接触する容器に関する国家規格 QCVN 12-1:2011/BYT(ベトナム語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
食品に直接接触する容器に関する国家規格 QCVN 12-2:2011/BYT(ベトナム語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
食品に直接接触する容器に関する国家規格 QCVN 12-3:2011/BYT(ベトナム語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
食品に直接接触する容器に関する国家規格 QCVN 12-4:2015-BYT(ベトナム語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
食品に直接接触するプラスチック容器(ポリエチレン)に関する基準TCVN6514- 1:1999(ベトナム語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
食品に直接接触するプラスチック容器(ポリ塩化ビニル)に関する基準TCVN6514- 2:1999(ベトナム語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
食品に直接接触するプラスチック容器(スチレンのプラスチック材料)に関する基準TCVN6514- 3:1999(ベトナム語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
食品に直接接触するプラスチック容器(アクリロニトリルのプラスチック材料)に関する基準TCVN6514- 4:1999(ベトナム語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
食品に直接接触するプラスチック容器(ポリプロピレン)に関する基準TCVN6514- 5:1999(ベトナム語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
食品に直接接触するプラスチック容器(着色剤)に関する基準TCVN6514- 6:1999(ベトナム語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
食品に直接接触するプラスチック容器(gポリ塩化ビニリデン)に関する基準TCVN6514- 7:1999(ベトナム語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
食品に直接接触するプラスチック容器(その他の添加剤)に関する基準TCVN6514- 8:1999(ベトナム語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
ジェトロ「海外向け食品の包装制度調査(EU、TPP、米国、中国、韓国、台湾、インド、タイ、インドネシア、GCC、メルコスール)」(2020年3月)

6. ラベル表示

調査時点:2021年10月

水産物の「ラベル表示は商品表示に関する政令43/2017/ND-CP」および「食品安全法の施行細則を定める政令15/2018/ND-CP」により規定されています。次の項目をベトナム語で表示することが求められます。

  1. 商品名
  2. 商品に責任を有する組織あるいは個人の名称と住所輸入食品の場合は、製造者である組織・個人および商品自己公表もしくは商品公表書登録手続きを行った組織・個人の名称と住所)
  3. 原産地
  4. 内容量(正味重量)
  5. 製造年月日
  6. 賞味期限
  7. 成分または定量の成分
  8. 食品安全に関する情報と警告
  9. 使用方法および保管方法

また、遺伝子組み換え食品のラベル表示については、「農業農村開発省・科学技術省共同通達45/2015/TTLT-BNNPTNT-BKHCN」に規定されています。なお、それぞれの遺伝子組み換え成分が食品の5%以下である場合は表示が免除されています(「政令69/2010/ND-CP」第43条)、「食品安全法の施行細則を定める政令15/2018/ND-CP」第10条)。

7. その他

調査時点:2021年10月

ベトナムで販売する水産物の衛生規制は、食品安全法で定められています。 同法によれば、ベトナムの国レベルでの食品安全管理は、主に保健省が担っています。保健省は食品安全に関する食品包装、食品容器の国家技術規定の公布や、加工食品にかかる食品添加物、食品加工助剤などについての管理権限も有しています。
ただし、水産物の食品安全管理については、農業農村開発省が担っています。 「食品安全法の施行細則を定める政令15/2018/ND-CP」の第6章に基づいて、輸入される食品、食材、食品添加物、食品加工助剤、食品包装用具、食品包装材、食品容器など、すべてが検査対象となります。ただし、展示会サンプル用の食品など、検査対象外の場合もあります。
輸入される水産物の検査の方法、手続きは、「輸入手続き」の「2. 輸入通関手続き(通関に必要な書類)」を参照してください。

ベトナムでの輸入手続き

1. 輸入許可、輸入ライセンス等、商品登録等(輸入者側で必要な手続き)

調査時点:2021年10月

「外資企業の商品売買活動等に関する商法および外国貿易管理法の細則を定める政令09/2018/ND-CP」の第3条第1項および第5条によれば、日本から水産物を輸入するにあたって、外資企業は事前に商工省から外資企業の営業許可書(輸入)を取得する必要はありません。

2. 輸入通関手続き(通関に必要な書類)

調査時点:2021年10月

「輸出入品に課せられる税関手続きと、税関監督と検査、輸出税、輸入税及び税管理を定める財務省通達38/2015/TT-BTC」(同省通達39/2018/TT-BTCおよび「通達81/2019/TT-BTC」により改正)では一般的な通関検査、通関手続きなどを規定しています。

通関申告は通関データ処理システム(VNACCS)を用いてオンラインで行われ、申告書、インボイス、船荷証券、価値申告書、商品証明書といった書類が通関申告の登録のために必要になります。通関申告の登録が承認された場合、通関データ処理システム(VNACCS)によって申告番号が付与されます。その後、通関に必要な検査内容(審査・検査なし、書面審査、貨物検査の3レベルがあります)が決定され、通関データ処理システム上で通知されます。また、通関には、植物検疫、食物安全検査などに合格し必要な要件をすべて満たしていること、関税などがすべて納付されることが必要となります。

なお、税関職員の裁量と慣行によって、実際には法令とは異なる手続きがなされる場合があることにも注意する必要があります。

3. 輸入時の検査・検疫

調査時点:2021年10月

検査

「食品安全法の施行細則を定める政令15/2018/ND-CP」第6章によると、水産物を輸入する場合、輸出国の所轄機関は、ベトナムへ輸出する国および生産販売事業所の登録手続きを行う必要があります(加工・包装済み食品の場合、同政令第13条に定める輸入食品安全検査の免除対象に該当する場合は除きます)。当該登録について、日本は2017年10月5日にベトナム農業農村開発省によりベトナムへ輸出する国として承認されましたが、生産販売事業所のリストに登録されない事業所の場合はその追加登録を行う必要があります。
検査の方式としては、簡易検査・通常検査および厳重な検査があります。原則として通常検査の方式が適用されますが、次に該当する場合は、簡易検査または厳重検査が適用されます。

  1. 簡易検査の適用
    1. ベトナムが加盟している食品安全相互認定に関する国際条約を締結している国の機関、組織により食品安全に関する要求に到達していると認定された場合;ベトナム法令に適合する輸入ロットおよび商品に対する輸出国の権限のある機関による検査結果がある場合。
    2. 12カ月以内通常検査により輸入要件合格通知書を連続で3回取得した商品。
    3. GMP、HACCP、ISO22000、IFS、BRC、FSSC22000の品質管理基準またはそれと同様な基準を適用している事業所で生産された商品。
  2. 厳重検査の適用
    1. 前回の検査における輸入要求レベルに到達していなかった輸入ロットおよび商品。
    2. 前の監査、検査(ある場合)において基準を満たさなかったロット、商品。
    3. 保健省、農業農村開発省、商工省、省級の人民委員会または外国にある権限を有する機関あるいは生産業者からの警告がある場合。

なお、前述の2.(i)および(ii)について厳重検査を連続3回合格した場合、または前述の2.(iii)について、保健省、農業農村開発省もしくは商工省から厳重検査適用の停止通知書がある場合において、厳重検査から通常検査に変更されます。
食品安全検査を申請する際の書類として、次のものを検査実施機関に提出します(通常検査の場合)。

  1. 食品安全検査申請書(正本)
  2. 商品自己公表書
  3. パーキングリストの写し
  4. 輸出国の所轄機関により発行された食品安全証明書(正本)

食品安全検査の手段としては、書類検査ですが、厳重検査の場合はサンプル検査も行われます。
食品安全検査に合格すると、輸入要件合格通知書が発行されます。輸入者は同通知書を関税当局に提出します。

検疫

水産物は動物検疫の対象となります(「水産物および水産加工品の検疫を規定する農業農村開発省通達26/2016/TT-BNNPTNT」および「農業農村開発省の管轄範囲に属する輸出入の商品のHSコード一覧表に関する通達15/2018/TT-BNNPTNT」付録I第6項目))。検疫登録・申告書類および検疫内容については当通達第2章において定められています。なお、通達26/2016/TT-BNNPTNTは通達02/2018/TT-BNNPTNT第5条及び通達第36/2018/TT-BNNPTNT号により改正されました。

「通達26/2016/TT-BNNPTNT」によると、ベトナムに水産物を輸入し、ベトナムにおいて消費する前に、検疫登録申請書類を農業農村開発省獣医局に提出します。その後、省獣医局から検疫について同意書および検疫ガイドラインが発行された後、ナショナルシングルウインドウまたは郵便の方法、あるいは電子メール・ファックスでスキャンデータを送付してから原本を提出することにより、動物検疫申請書を農業農村開発省獣医局に提出します。同局は獣医法第47条において定めた手順に従い、検疫を行って水産物検疫許可証を発行します。その後、所定の書式の検疫申告書および輸出国が発行した食肉衛生証明書(輸入規制「3.動植物検疫の有無」を参照)を輸出の目的地の港の動物検疫当局に提出し、動物厚生衛生基準を満たしたと判断されると、同局から動物検疫証が発行されます。

4. 販売許可手続き

調査時点:2021年10月

水産物の輸入・販売には次の手続きが必要になります。

  1. 食品安全要件充足施設証明書
    食品安全法(マスタープランに関連する11法律の一部の条項を改正・補足する法律 28/2018/QH14により一部改正)の第34条および「食品安全法の施行細則を定める政令15/2018/ND-CP」の第11条および第12条によれば、包装済み食品に該当する場合などを除き、水産物を製造または販売する企業は、食品安全要件充足施設証明書を取得することが必要です。
    同証明書の取得の条件は食品安全法第34条第1項に規定されています。
  2. 商品自己公表または商品登録
    「食品安全法の施行細則を定める政令15/2018/ND-CP」第4条および第5条によると、加工包装済み食品を輸入する企業は、商品自己公表手続きを行う必要があります。商品自己公表に際しては、(i)所定の書式の商品自己公表書、および(ii)商品テスト結果(12カ月以内に実施されたもの。ベトナム当局が承認するか所定の研究機関が定める技術基準に基づくテストであること)が必要となります。事業者は、これらの書類をマスメディアまたは自己のウェブサイトもしくは所在地において公表し、かつ食品安全に関するアップデートデータ情報システムに公表します(同システムが設定されていないときは、当局へ直接あるいは郵便で送付します。それを受領した当局は、当局のウェブサイトに事業所名および公表された商品名を掲載します。)。ただし、輸出商品の加工もしくは個人・組織内使用のために輸入する商品または原料は商品自己公表手続きを行う必要はありません。
    なお、遺伝子組み換えがなされた水産物による食品の場合は、さらに当該遺伝子組み換え動物による製品が食事用条件を満たす証明書を取得する必要があります。当該証明書は「政令69/2010/ND-CP」(「政令108/2011/ND-CP」により改正)に定められます。
  3. 輸入事業者の要件
    ベトナム企業と外資企業で根拠法令が異なります。 ベトナム企業の場合は、特別な規制の対象品目を除き、輸入事業を行うためのビジネスライセンスなしで輸入許可申請を行うことなく食品を輸入できます。
    外資企業の場合は、活動許可書(計画投資局からの投資ライセンス)にベトナムのWTO加盟以降「輸入・流通業務」の追加手続きがなされていることが条件となります(「外国貿易管理法の施行細則を定める政令69/2018/ND-CP」第3条)。
    「外資企業の流通関連ビジネスに関する商法施行政令09/2018/ND-CP」の第5条によれば、外資企業は、水産物の輸入および卸売販売について事前に営業許可書(輸入、卸売販売)を取得する必要はありませんが、小売販売については事前に商工局から外資企業の営業許可書(小売販売)を取得しなければなりません。

水産物の販売に関し、免許や資格などを取得する必要はありません。
水産物の販売については「食品販売事業所への安全確保の一般条件」に関する内容が「食品安全法」の第4章に定められています。また、小型販売店の場合、「食品安全法」の第22条「小型の食品販売事業所への食品安全の条件」に基づいて、拠点、設備、食品、食品販売担当者などの食品安全条件を順守しなければなりません。

卸売業・小売業でベトナムに進出する場合については、関連リンク「その他参考情報」の「ジェトロ貿易・投資相談Q&A 卸売業・小売業で進出する際の留意点:ベトナム」を参照してください。

5. その他

調査時点:2021年10月

なし