日本からの輸出に関する制度

ペットフードの輸入規制、輸入手続き

タイの輸入規制

1. 輸入禁止(停止)、制限品目(放射性物質規制等)

調査時点:2025年10月

放射性物質規制

ペットフードに対する東京電力福島第一原子力発電所事故の影響による輸入規制はありません。

輸入禁止飼料の種類

2018年農業協同組合省告示「輸入禁止飼料の種類の規定」により、輸入を禁止する飼料の種類として、医薬品成分を含む飼料(医薬品成分を含む完全飼料、医薬品成分を含む濃厚飼料)の輸入が禁止されています。

伝染病リスクを伴う飼料の輸入

牛海綿状脳症(BSE)リスク

牛由来の飼料については、2017年農業協同組合省告示「BSEリスクを伴う輸入禁止飼料の特徴および条件の規定」に従う必要があります。国のBSEリスクステータス〔OIE: Office International des Epizooties(現在の名称WOAH: World Organisation for Animal Health、国際獣疫事務局)による認定〕に基づく牛由来の飼料または牛由来の成分を含む飼料の輸入における規定が定められています。日本(BSEリスクステータス:無視できるBSEリスクの国)からの輸入禁止品に関する規制は次のとおりです。

  1. 肉骨粉(meat and bone meal: MBM)、肉粉(meat meal)、脱脂肉粉(degreasing meat meal)、骨粉(bone meal)、脂かす(greaves)の牛への給与禁止措置前に出生した牛由来である肉骨粉、肉粉、脱脂肉粉、骨粉、脂かすを使用した飼料の輸入を禁止する。
  2. 頭蓋腔への圧縮空気またはガスを注入する方法(injecting compressed air or gas into the cranial cavity)による気絶処理(stunning process)、頭蓋腔に穴をあける処理(pithing process)または脳もしくは脊髄を裂傷し飛散させるそのほかの処理を受けた牛由来の血粉およびその副産物(blood meal and blood by – products)の輸入を禁止する。

なお、牛への給与禁止措置後に出生した牛由来である肉骨粉や、脱脂肉粉など畜産局告示で指定される牛由来の成分を含む飼料の輸入については、事前にタイ畜産局による施設認定(製造施設の検査・承認)を受ける必要があります。施設認定を受けていない場合、輸入はできません。詳細は2. 施設登録、輸出事業者登録、輸出に必要な書類等(輸出者側で必要な手続き)の項目を参照してください。

鳥インフルエンザリスク

家きん由来の飼料については、2017年農業協同組合省告示「鳥インフルエンザのリスクを伴う輸入禁止飼料の特徴および条件の規定」に従い、高病原性鳥インフルエンザの発生が疑われる国、または直近の高病原性鳥インフルエンザ発生から12カ月以内にWOAHによる発生の報告がある国からの、飼料の原料として使用する家きんミール、家きん副産物ミール、フェザーミールの輸入、または家きんミール、家きん副産物ミール、フェザーミールを成分として含む飼料の輸入が禁止されています。ただし、(1) 118℃以上で40分以上継続した湿熱工程(moist heat)、(2) 3.79バール以上の蒸気圧下、122℃ 以上で15 分以上継続した連続加水分解工程(continuous hydrolyzing process)、(3) 製品全体の温度が74℃以上になることを証明できる何らかの方法によるレンダリング工程(alternative rendering process)のいずれかの工程を経たもので、鳥インフルエンザの発生源に接触する機会がなかったこと、または発生源に由来していないことを証明する対策・証拠がある場合で、これらを成分として含む完成品の場合は、告示上では施設認定の必要なく輸入が可能とされています。

アフリカ豚熱(ASF)リスク

豚由来の飼料については、2020年農業協同組合省告示「アフリカ豚熱のリスクを伴う輸入禁止飼料の特徴および条件の規定」に従い、アフリカ豚熱(African Swine Fever:AFS)清浄国ではない国またはWOAHによるAFS発生の報告がある国の豚由来の飼料原料または成分を含む飼料の輸入が禁止されています。ただし、ASFウイルスを不活化する製造工程を経たもので、その工程後にASFの感染源に接触する機会がなかったこと、または発生源に由来していないことを証明する対策・証拠があり、原産国当局の獣医官の管理下にあって、ASFのリスクがないことを証明された工場由来の完成品の場合は、告示上では施設認定の必要なく輸入が可能とされています。

注意:タイ畜産局(DLD: Department of Livestock Development, Ministry of Agriculture and Cooperatives)によると、牛・家きん・豚由来の製品については、一定の条件下で施設認定が不要とされている場合でも、輸入が不可となる可能性もあるため、事前に商品の詳細情報〔製品情報(Product Information)、配合証明書(Certificate of Formula: COF)、分析証明書(Certificate of Analysis:COA)製造工程フローチャート(Process Flowchart)〕を用意し、施設認定の要否について確認することが推奨されています。

2. 施設登録、輸出事業者登録、輸出に必要な書類等(輸出者側で必要な手続き)

調査時点:2025年10月

施設認定が必要な飼料

2015年飼料品質管理法に基づき、タイ畜産局(DLD: Department of Livestock Development, Ministry of Agriculture and Cooperatives)によりタイへ輸出する前に施設認定(製造施設の検査・承認)が必要とされる飼料が規定されています。認定を受けるには、輸出国当局からDLDに検査を申請し、DLD検査団による検査を受ける必要があります。その検査結果をもとにDLDにおいて認定の可否が判定されます。認定済みの施設は畜産局のウェブサイトで公開されています(関連リンクの「タイ畜産局がタイへの輸入を許可した海外の飼料製造工場」を参照)。この認定の有効期限は認定結果通知書の発行日から5年間です。施設認定が必要な飼料は次のとおりです。
なお、輸入飼料には後述の規制対象成分が使用されていない場合は、同じ製造工場内に当該規制対象成分を使用する製造ラインがあっても、施設認定は不要です。

1.動物用サプリメント、ペットフード(犬猫用)

2017年畜産局告示「施設認定が必要な特定管理飼料の規定」、2019年同告示第2版により、タイへ輸出する前に施設認定が必要な飼料が規定されています。犬猫用については次のとおりです。

  1. 動物用サプリメント:動物の骨由来のミネラルサプリメント
  2. ペットフード(犬猫用):次のスナック/おやつ
    • 密封容器製品用の微生物殺菌装置を使用した殺菌処理(Retort Operation)を経ていない牛、水牛、山羊、羊、豚、鹿、家きんの角、耳、皮、骨、ひづめの部分を使用しているもの。
    • 牛、水牛、豚の皮を使用しているもの(Munchy or Crunchy)。

なお、2025年10月現在、畜産局告示案「施設認定が必要な特定管理飼料の規定」(現行の告示から犬猫用に関する部分を削除した内容)および畜産局告示案「施設認定が必要な特定管理飼料 種類:犬猫用ペットフードおよび犬猫に使用する特定管理飼料の規定」(犬猫用に特化した内容)が検討されています。
畜産局告示案「施設認定が必要な特定管理飼料 種類:犬猫用ペットフードおよび犬猫に使用する特定管理飼料の規定」については、2025年9月22日~10月22日まで意見公募が行われていました。この告示案で施設認定が求められるものは次のとおりです。

  1. 動物由来の成分を含む犬猫用ペットフード(完全栄養食、おやつ、療法食)
  2. 陸生動物由来の成分を含む犬猫に使用する動物用サプリメント
  3. 犬猫に使用する動物用乳製品
    なお、前記(1)および(2)において動物由来の成分が「水生動物由来の飼料添加物」または「風味料」のみである場合、施設認定は免除されます。

補足:(1)の動物由来には水生動物由来も含まれています。例えば、まぐろを使ったおやつも施設認定が必要となります。

2.牛海綿状脳症(BSE)リスクを伴う牛由来の飼料

2018年畜産局告示「BSEリスクを伴う牛由来の飼料または牛由来の成分もしくは製品を含む飼料の輸入原則及び条件の規定」により、次の牛由来の飼料をBSEリスクを伴う飼料として指定し、タイへ輸出する前に施設認定を受けることが義務付けられています。日本から完成品を輸出する際は、次の(1)~(4)を成分に含む場合、施設認定が必要です。(5)~(12)を成分に含む場合は施設認定は不要ですが、DLDによると、ここに指定されていない場合も含め、牛由来の成分を含む場合は、事前に商品の詳細情報を用意したうえで、DLDに確認することが推奨されています。

  1. 肉粉(Meat Meal)
  2. 脱脂肉粉(Degreasing Meat Meal)
  3. 肉骨粉(Meat and Bone Meal:MBM)
  4. 骨粉(Bone Meal)
  5. 脂かす(Greaves)
  6. 獣脂(Tallow)
  7. 獣脂派生物(Tallow derivatives)
  8. 骨由来のゼラチン・コラーゲン(Gelatine and Collagen From Bones)
  9. リン酸二カルシウム(Dicalcium Phosphate)
  10. 血粉(Blood Meal)
  11. 血粉副産物(Blood By - Products Meal)
  12. 血漿粉末(Plasma Powder)
  13. (1)~(4)の牛由来の成分を含む製品
    〔日本から輸出する前述の(1)~(13)は犬猫用ペットフードのみへの利用が許可されている。〕
3.鳥インフルエンザリスクを伴う家きん由来またはアフリカ豚熱(ASF)リスクを伴う豚由来の飼料

家きんまたは豚由来の成分を含む完成品の場合は、一定の条件下〔1.輸入禁止(停止)、制限品目(放射性物質規制等)を参照〕であれば施設認定の必要なくタイへの輸出が可能とされています。ただし、DLDによると、場合により輸出が不可となる可能性があるため、事前に商品の詳細情報を用意し、確認することが推奨されています。

施設認定の手順(ガイドライン)

施設認定が必要な飼料を輸入したことがない国の場合の手順

  1. タイ畜産局(DLD)に施設認定の招請状(インビテーションレター)を送付する。このレターには、飼料の種類、原料に使用する動物の種類、および次の情報を記載する。 送付先:タイ畜産局
    1. 輸入業者からのインビテーションレター(タイ語または英語)
    2. 製造者からのインビテーションレター(英語)
    3. 輸出国当局または大使館からのインビテーションレター(英語)
    4. 製品情報(Product Information)
    5. 製造工程フローチャート(Process Flowchart)
    6. 配合証明書(Certificate of Formula: COF)
    7. 分析証明書(Certificate of Analysis: COA)
      招請者が輸入業者の場合(1)~(7)、製造者の場合(2)~(7)、輸出国当局の場合(3)~(7)が必要。
  2. DLDが招請状と各種書類を確認し、飼料の輸入の手順通知書および現地検査前の質問票(Pre-Onsite Questionnaire)(動物の伝染病の発生状況、飼料の品質管理システムなど)を製造国当局に送付する。この送付までの所要期間の目安は約1カ月。
  3. 製造国当局およびペットフードの工場は回答した質問票をDLDに返送する。
  4. DLDは質問票の回答を確認し、畜産局長が検査の実施について承認後、関係者と検査日を調整する。所要期間の目安は約2~3カ月。
  5. 畜産局の検査団(3~4名)が、製造国に渡航し、製造施設の検査(工場の衛生管理、原材料の供給元、栄養分析、製造システムなど)を実施する。検査日数の目安は1工場あたり約1~2日(規模による)。
  6. 工場が検査に合格した場合、DLDは認定通知書を製造国当局に送付し、DLDのウェブサイト上でリストに当該工場を掲載する(関連リンクの「タイ畜産局がタイへの輸入を許可した海外の飼料製造工場」を参照)。この認定は通知書の発行日から5年間有効。検査から認定通知書の発行日までの所要期間はケースバイケースとされている。

なお、検査費用は無料ですが、製造国側がDLD検査団の渡航費用、宿泊費、食費などの費用を負担する必要があります。施設認定は製品単位で行われ、施設単位ではないことに注意が必要です。仮に、製品Aを輸入するにあたり、製品Aの製造工場の施設認定を受けた後、同じ製造工場の製品Bを輸入しようとしても、新たに施設認定が必要となるため、輸出予定がある場合は、複数製品をまとめて申請した方が効率的となります。施設認定後に一部レシピを変更する場合は、DLDに再度施設認定が必要か書面で確認する必要があります。

タイにおける輸入飼料の必要書類

2015年飼料品質管理法および2020年農業協同組合省告示「特定管理飼料輸入許可書取得者に義務付ける輸入に必要な証明書の原則、手続き、条件」に従い、タイへの輸入では次の証明書が必要です。

  • 飼料分析証明書(Certificate of Analysis)(製品登録時および通関時)(タンパク質、粗飼料、水分などの分析結果)
  • 輸出国当局による衛生証明書(Certificate of Health※次項の「3. 動植物検疫の有無」を参照)(動物由来の成分を含む場合)(製品登録時および通関時)
  • 輸出国当局または輸出国当局が認める機関による署名を付した原産地証明書(Certificate of Origin)(輸入通知受理書申請時および通関時)
  • 輸出国当局または輸出国当局が認める機関による署名を付した自由販売証明書(Certificate of Free Sale)(製品登録時)
    ※調査時点では、日タイ間で合意されたCertificate of Healthがないため、農林水産省発行の輸出検疫証明書(EXPORT QUARANTINE CERTIFICATE)で代用可能。

特定原産地証明書

日本・タイ経済連携協定(JTEPA)税率、日本・ASEAN包括的経済連携協定(AJCEP)税率、地域的な包括的経済連携協定(RCEP)税率の適用を受けるには、日本商工会議所が発給する特定原産地証明書を取得する必要があります。

関連リンク

※関連リンクに示した法令・告示へのリンクは、調査時点で有効であることを確認しておりますが、アクセスできない場合には、関係省庁のウェブサイトまたは官報検索サイトから当該法令・告示を検索してください。

関係省庁
タイ農業協同組合省畜産局動物用飼料・医薬品管理部(タイ語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
タイ財務省関税局(タイ語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
根拠法等
2015年飼料品質管理法(タイ語)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(198KB)(英語)(148KB)
2020年農業協同組合省告示「特定管理飼料輸入許可書取得者に義務付ける輸入に必要な証明書の原則、手続き、条件」(タイ語)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(91KB)
2017年農業協同組合省告示「販売目的の特定管理飼料の輸入における原則、手続き及び条件の規定」(タイ語)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(30KB)(英語)(142KB)
2017年畜産局告示「産地認定が必要な特定管理飼料の規定」(タイ語)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(25KB)(英語)(375KB)
2019年畜産局告示「産地認定が必要な特定管理飼料の規定」(第2版)(タイ語)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(80KB)
2018年畜産局告示「BSEリスクを伴う牛由来の飼料又は牛由来の成分若しくは製品を含む飼料の輸入原則及び条件の規定」(タイ語)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(541KB)(英語)(74KB)
2017年畜産局告示「鳥インフルエンザリスクを伴う家禽由来の飼料又は家禽由来の成分若しくは製品を含む飼料の輸入原則及び条件の規定」(タイ語)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(33KB)(英語)(380KB)
2020年農業協同組合省告示「アフリカ豚熱リスクを伴う輸入禁止飼料の特徴及び条件の規定」(タイ語)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(103KB)
財務省告示「日本原産品の関税減免」(タイ語) PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(6.3MB)
財務省告示「日本原産品の関税減免(第2版)」(タイ語) PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(72KB)
財務省告示「ASEAN・日本自由貿易協定の関税減免」(タイ語) PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(3.7MB)
財務省告示「地域的な包括的経済連携協定の義務に基づく関税減免」(タイ語)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(24.8MB)
飼料品質管理法関連の法令検索サイト(タイ語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
財務省関税局法令検索サイト(タイ語) 外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
官報検索サイト(タイ語) 外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
その他参考情報
日本商工会議所「EPAにもとづく特定原産地証明書発給事業」外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
タイ畜産局がタイへの輸入を許可した海外の飼料製造工場(タイ語・英語)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(703KB)
輸入要件(Import Requirement)(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
タイへの輸入前の、海外飼料工場の認定検査申請のための書類例と詳細PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(702KB)
飼料製造施設の認定検査ガイドライン(タイ語)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(115KB)(英語)(234KB)
畜産局告示案「施設認定が必要な特定管理飼料 種類:犬猫用ペットフードおよび犬猫に使用する特定管理飼料の規定」(タイ語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

3. 動植物検疫の有無

調査時点:2025年10月

なし

※タイ側の制度として輸出検疫は義務付けられていませんが、動物(牛、家きん、豚、魚など)由来の成分が含まれている場合は、輸出国当局による衛生証明書(Certificate of Health)が必要です。日本から輸出する場合は、農林水産省発行の輸出検疫証明書(EXPORT QUARANTINE CERTIFICATE)で代用可能です。