日本からの輸出に関する制度

アルコール飲料の輸入規制

品目の定義

本ページで定義するアルコール飲料のHSコード

ビール:2203
ぶどう酒:2204
ベルモット、その他のぶどう酒:2205
その他の発酵酒(清酒など):2206
蒸留酒、リキュールその他のアルコール飲料:2208

タイの輸入規制

1. 輸入禁止(停止)、制限品目(放射性物質規制等)

調査時点:2022年10月

アルコール飲料の輸入は可能です。

関連リンク

2. 施設登録、輸出事業者登録、輸出に必要な書類等(輸出者側で必要な手続き)

調査時点:2022年10月

アポイントメントレター
日本からアルコール飲料を輸出する際、同一製造業者・製品のアルコール飲料については、タイの輸入者1社に独占輸入販売権を与えなければならないため、日本の製造業者は、輸入者がラベル使用許可の取得の際に使用するタイ国内での独占輸入代理店を示すアポイントメントレターを発行する必要があります。アポイントメントレターには、1.製品情報(製品名、アルコール度数、容量)、2.製造業者名、所在地、3.「輸入者名・所在地」をタイ国内における酒類の独占輸入販売者として任命するという旨の内容、4.有効日または有効期間(例:-日-月-年から有効など)を記載します。
ラベルサンプル
製品に使用するラベルは、輸入者がタイ物品税局においてラベル使用許可を取得する必要があります。その際に、ラベルサンプル5枚(オンラインで申請する場合は1枚)、ラベルが英語以外の場合はタイ語に翻訳したラベルサンプル1枚、アルコール度数が15度を超える醸造酒のラベル申請の場合は、蒸留酒を添加していないことを示す製造業者からの証明書、ぶどうまたはぶどう酒を含む果実酒のラベル申請の場合は、製造業者からの原材料証明書が必要です。
製品サンプル
輸入酒類は、輸入者がタイ物品税局から物品税局告示「輸入酒類の品質規格」に従った内容の品質分析証明書を取得する必要があります。分析に使用する製品サンプル(実際に販売する容器に入ったもの)500ml以上が必要です。製品が300ml入りの場合は2本提出する必要があります。
特定原産地証明書
日タイ経済連携協定(JTEPA)、日ASEAN包括的経済連携協定(AJCEP)、地域的な包括的経済連携協定(RCEP)税率の適用を受けるには、特定原産地証明書を取得する必要があります(日本商工会議所が発給)。
その他
アルコール飲料を輸出するためには、日本において輸出酒類卸売業免許を取得する必要があります。詳細は関連リンクの「酒類の免許」「酒類卸売業免許の申請等の手引」を参照してください。

3. 動植物検疫の有無

調査時点:2022年10月

なし

タイの食品関連の規制

1. 食品規格

調査時点:2022年10月

タイにおける酒類の定義は物品税法に次のように規定されています。

「酒類」とは、アルコールを含み、単体で、または水もしくはほかの液体と混合したときに酒類として消費することができる、すべての材料または混合物を意味する。ただし、アルコール度数0.5度以下の飲料は含まない。
「醸造酒」とは、蒸留されていない酒類を意味し、これには、蒸留酒と混合され、アルコール度数が15度以下の醸造酒を含む。
「蒸留酒」とは、蒸留された酒類を意味し、これには、醸造酒と混合され、アルコール度数が15度を上回る蒸留酒を含む。

タイに輸入されるアルコール飲料の品質規格は、物品税局告示「輸入酒類の品質規格」(第2版)に規定されています。

  • アルコール度数
    ラベル表示の度数(決定条件温度は摂氏20℃、許容誤差は±1度)に従うこと。 検査方法:AOAC 26.1.09番または同等の検査方法
表:化学的成分の最大基準値
検査項目 ビール 醸造酒/ぶどう酒 蒸留酒
メチルアルコール 50mg/L 420mg/L 1,000mg/L
カルバミン酸エチル 50µg/L 200µg/L 400µg/L
アルデヒド(アセトアルデヒドとして) - 160 mg/L アルコール度数40度以下160 mg/L
アルコール度数40度超220mg/L
フーゼル油 - - 5,500mg/L
フルフラール - - 50mg/L

検査方法は、物品税局告示「輸入酒類の品質規格」第2版に従ったAOAC(Association of Official Analytical Chemists)法または同等の検査方法が適用されます。最大基準値以下であることが求められます。

その他は、「3.重金属および汚染物質」、「4.食品添加物」を参照してください。

2. 残留農薬および動物用医薬品

調査時点:2022年10月

なし

3. 重金属および汚染物質

調査時点:2022年10月

アルコール飲料の汚染物質基準値は次のとおりです。

検査方法は、物品税局告示「輸入酒類の品質規格」第2版に従ったAOAC(Association of Official Analytical Chemists)法、醸造酒/ぶどう酒のフェロシアン化物のみASTM (America Society of Testing and Materials) 法、または同等の検査方法が適用されます。最大基準値以下であることが求められます。

表:汚染物質の最大基準値
検査項目 ビール 醸造酒/ぶどう酒 蒸留酒
ヒ素 0.1mg/L 0.1mg/L 0.1mg/L
0.2mg/L 0.2mg/L 0.2mg/L
1.5mg/L - -
1.5mg/L - -
フェロシアン化物 - 不検出 -

4. 食品添加物

調査時点:2022年10月

アルコール飲料に対して使用可能な食品添加物基準値は、次のとおりです。

検査方法は、物品税局告示「輸入酒類の品質規格」第2版に従ったAOAC(Association of Official Analytical Chemists)法または同等の検査方法が適用されます。最大基準値以下であることが求められます。

表:食品添加物の最大基準値
検査項目 ビール 醸造酒/ぶどう酒 蒸留酒
総二酸化硫黄 30mg/1L 400mg/L -
安息香酸または安息香酸の塩(安息香酸として) - 250mg/L 200mg/L
ソルビン酸またはソルビン酸の塩(ソルビン酸として) - 200mg/L 200mg/L

5. 食品包装(食品容器の品質または基準)

調査時点:2022年10月

輸入酒類の容器にかかる規制は一般公表されていませんが、タイ財務省物品税局へのヒアリングによると、ラベル貼付の必要性から容量0.175リットル以上が最低基準とされています。

6. ラベル表示

調査時点:2022年10月

アルコール飲料を日本から輸入販売する場合、タイ財務省物品税局から酒類容器に貼り付けるラベルの使用許可を事前に取得しておく必要があります。ラベル使用許可を取得次第、タイ語、英語またはその両方のラベル印刷を現地で行い、日本での船積み梱包に間に合うように、十分な時間の余裕をもって準備する必要があります。ラベルを日本側で製作した場合でも、タイ側で申請・承認が必要となります。

ラベル表示内容
  1. 酒類名
  2. アルコール度数(摂氏20度で決定)または%(許容誤差は±1度)(小数点以下の端数がある場合は、小数第二位を四捨五入し最大第一位までを表示)
  3. 内容量(物品税局によると、許容誤差に関する規定はなし)
    3.1タイ語で「内容量」と記載し、タイ数字またはアラビア数字でその量を表す数字とタイ語または英語で単位(英語の例 ミリリットル:milliliter, millilitre, mL , ml リットル:liter, litre, L , l)を表示する。
    内容量、量を表す数字、単位の間にそれぞれスペースを入れること。
    3.2文字と数字の高さは、容量が50ml超200ml以下の場合は3mm以上、200ml超1,000ml以下の場合は4mm以上、1,000ml超の場合は6mm以上
  4. 関連法に基づいた警告文(タイ語)
    • 満20歳未満の者への酒類販売を禁止する。
    • 飲酒は運転能力を低下させる。
    • 満20歳未満の者は飲酒してはいけない。
  5. 第一種酒類販売許可証取得者の事業所名と住所
  6. 酒類製造業者名と住所
  7. アルコール度数7度超または容量0.330リットル超のぶどうまたはぶどう酒の成分を含む果実醸造酒は「果実酒タイプの醸造酒」と文字の高さ4mm以上のサイズで表記すること。
この7の醸造酒については、ぶどう酒またはぶどうのスパークリングワインであると誤解を招くような、次のような文言、絵図などを使うことが禁止されています。
  1. ワイン(Wine)という文言。ただし、「フルーツワイン」または「使用している果物名+ワイン」は除く。
  2. ぶどうの絵図。ただし、ぶどうの絵図とともに、使用しているほかの果物の絵図を同じサイズで近い位置に配置した絵図は除く。
  3. ぶどうの種類または品種に関する文言。ただし、ぶどうの種類または品種の文言とともに、使用しているほかの果物についての文言を同じ文字サイズで近い場所に配置している場合は除く。
  4. ぶどうの原産地の文言または絵図。ただし、ぶどうの原産地の文言とともに、使用しているほかの果物の成分を含むとの文言を同じ文字サイズで近い場所に配置している場合は除く。
また、アルコール飲料規制法に基づき、ラベルおよび容器上に、品質に関する誇張など消費者にとって不利益となる文言やアルコール飲料の消費を促す文言などの使用が禁止されています。一例として「オーガニック(有機)」や「プレミアム」の文言の表示は認められていません。

7. その他

調査時点:2022年10月

なし

タイでの輸入手続き

1. 輸入許可、輸入ライセンス等、商品登録等(輸入者側で必要な手続き)

調査時点:2022年10月

日本からアルコール飲料を輸入する事業者は、タイ物品税局に事業所の物品税登録を済ませておくことが必要です。この登録の有効期限は設けられていませんが、会社の所在地等、登録情報の変更がある場合は変更手続きを行う必要があります。また、第一種酒類輸入許可を取得する必要があります。この申請時には、第一種酒類販売許可証(「4.販売許可手続き」を参照)、ラベルの使用許可証、物品税局告示「輸入酒類の品質規格」(第2版)に従った品質分析証明書を取得し、希望小売価格の申告を済ませておくことが必要です。

なお、販売目的の輸入許可は第一種輸入許可と第二種輸入許可の2種類があり、通常店舗の販売用は前述の第一種輸入許可が必要です。第二種輸入許可は免税店販売用で、同輸入許可を取得できるのは保税倉庫免税店設立許可書保有者となっています。

事業所の物品税登録
申請場所:物品税局事務所または物品税局のe-Serviceシステム外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
所要日数:3営業日
手数料:なし
必要書類(法人の場合)
  • 物品税登録申請申請書(Por.Sor.01-01)
  • 法人登記証明書写し(6カ月以内に発行したもの)
  • 輸入事業所の住居登録証および地図
  • 物品税登録を申請する場所の所有権を示す証拠または場所の使用同意書
  • 委任者と代理人の身分証明書、委任状(申請を委任する場合)
  • 付加価値税登録書(もしあれば)
輸入酒類のラベル使用許可
申請先:物品税局事務所または事業所を管轄する物品税局事務所、物品税局のe-Serviceシステム
所要日数:7~14営業日、オンラインの場合は3~5営業日
手数料:なし
必要書類:
  • 輸入酒類ラベル使用申請書(Por.Sor.08-04)
  • 法人登記証明書写し(6カ月以内に発行したもの)
  • 第一種酒類販売許可証写し
  • 独占輸入代理店を示すアポイントメントレター
  • ラベルサンプル5枚、オンラインの場合は1枚:(ボトルに貼るラベルすべて)
  • ラベルがタイ語・英語以外の場合は、タイ語に翻訳したラベルサンプル1枚
  • アルコール度数が15度を超える醸造酒のラベル申請の場合は、蒸留酒を添加していないことを示す製造業者からの証明書
  • ぶどうまたはぶどう酒を含む果実酒のラベル申請の場合は、製造業者からの原材料証明書
  • 委任者と代理人の身分証明書、委任状(申請を委任する場合)
品質分析証明書
申請先:事業所または貨物の輸入税関地区を管轄する物品税局事務所
所要日数:15~30営業日
手数料:なし
必要書類:
  • 品質分析用のサンプル送付状(アルコール飲料の種類、商品名、度数、容量、サンプル送付本数を記載)
  • 製品サンプル(実際に販売する容器に入ったもの)500ml以上
    (例:300ml入りの場合は2本)
  • 法人登記証明書写し(6カ月以内に発行したもの)
  • ラベル使用許可を取得したラベルのサンプル
  • 物品税登録証写し
  • レシピ(任意)
  • 製造方法
希望小売価格の申告
酒類の輸入に際しては、初めて輸入する場合に限り、希望小売価格をタイ物品税局(事務所または物品税局のe-Serviceシステム外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)に申告する必要があります。申告後に発行される物品税の対象品目コード(Excise Product Code)が通関時に必要です。2回目以降は価格に変更がない限り申告の必要はありません。
申請場所:事業所を管轄する物品税局事務所または物品税局のシステムで申請
所要日数:5営業日
手数料:なし
必要書類:
  • 希望小売価格申告書(Por Sor.02-01)
  • 物品税局発行のラベル使用許可/承認書
第一種酒類輸入許可
申請場所:事業所または貨物の輸入税関地区を管轄する物品税局事務所
所要日数:3営業日
手数料:1,200バーツ/枚
必要書類:
  • 酒類輸入許可申請書(Por.Sor.08-01)(申告した希望小売価格を記入)
  • インボイスまたはプロフォーマ・インボイス
  • 第一種酒類販売許可証
  • ラベル使用許可証
  • 独占輸入代理店を示すアポイントメントレター
  • 酒類の品質分析証明書
  • 法人登記証明書写し(6カ月以内に発行したもの)
  • 代表者の身分証明書
  • 委任者と代理人の身分証明書、委任状(申請を委任する場合)

酒類の輸入は、第一種輸入許可の有効期限が6カ月のため、この期間内に輸入する必要があります。また、輸入許可1枚につき輸入できるのは1回のみです。輸入の都度取得する必要があります。

2. 輸入通関手続き(通関に必要な書類)

調査時点:2022年10月

日本からアルコール飲料を輸入するにあたっては、次の書類が必要になります

  • 輸入申告書
  • 酒類輸入許可書(Por.Sor.08-02)
  • 船荷証券(B/L)
  • インボイス
  • パッキングリスト

ナショナル・シングルウインドウ(NSW)システムを通じた通関方法は次のとおりです。

  1. 次のいずれかから通関者登録を済ませておく。
  2. 輸入申告書を関税局のシステム外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますに送信する。
  3. システム内で許可書の情報確認、検査指示、輸入申告書番号が発行される。
  4. 納税する。
  5. 酒類用の印紙を申請し、貼付する。
  6. 検査指示があった場合は検査を受ける。
  7. 貨物を引き取る。
印紙の申請
輸入酒類には印紙を貼付する必要があります。申請・貼付は輸入後または輸入前のどちらも可能とされていますが、通常は輸入後に行われています。印紙は、キャップからボトルネックにかけてなど、商品が開封されていないことを示す場所(商品を開封すると印紙が破れる場所)に貼付する必要があります。
タイで印紙を貼付する場合
関税局で輸入関税およびその他の税金を納めた後、税関倉庫から貨物を引き取る前に印紙を申請し、貼付します。
申請場所:貨物の輸入税関地区を管轄する物品税局事務所
所要時間:2時間以内
手数料:なし
必要書類:
  • 酒類用印紙申請書(Por Sor.06-12/1)
  • 輸入申告書
  • 納税領収書
  • 酒類輸入許可書
  • インボイス
日本で印紙を貼付する場合
輸入前に物品税を事前納付し、日本で印紙を貼付したうえでタイに輸出することも可能です。申請者は第一種酒類販売許可証を持っていることが求められます。事業所または貨物の輸入税関地区を管轄する物品税局事務所に物品税フォーム(Por Sor.03-07)で物品税を事前納付します。その後、印紙を申請(Por Sor.06-12/1)します。物品税局担当官が申請書を確認のうえ、システム上で消印処理がされた印紙が発行されます。これを日本に送り、日本で貼付します。
申請場所:事業所または貨物の輸入税関地区を管轄する物品税局事務所
所要時間:1日以内
手数料:なし
必要書類:
  • 酒類用印紙申請書(Por.Sor.06-12/1)
  • 納税領収書
  • 酒類輸入許可書
  • インボイス

通関手数料は200バーツです。
輸入申告書入力代行手数料(入力を依頼する場合)は100バーツです。

3. 輸入時の検査・検疫

調査時点:2022年10月

通関時に申告した内容との違いが疑われる場合のみ、税関においてHSコード、書類内容、数量、貨物の状態などの検査が行われます。また、物品税局で印紙を申請する際に、納税領収書などの検査が行われます。

4. 販売許可手続き

調査時点:2022年10月

アルコール飲料の販売にあたっては物品税法により酒類販売許可証が求められます。酒類販売許可証は2種類あり、1回につき10リットル以上のアルコール飲料を販売する際は第一種酒類販売許可証、10リットル未満の場合は第二種酒類販売許可証が必要です。許可証の有効期限は許可日から1年間です。

申請先:事業所を管轄する物品税局事務所
所要日数:1~3日
手数料:第一種は5,500バーツ/年(許可証手数料5,000バーツ+地方自治体への追加税10%)
第二種は2,200バーツ/年(許可証手数料2,000バーツ+地方自治体への追加税10%)
必要書類(法人の場合):

  • 酒類販売許可証申請書(Por.Sor.08-05)
  • 法人登記証明書(6カ月以内に発行したもの)
  • 代表者の身分証明書コピー
  • 酒類販売場所の住居登録証コピー
  • 販売場所が賃貸の場合は、貸主の販売同意書と賃貸契約書
  • 販売場所とその周囲の地図
  • 委任者と代理人の身分証明書、委任状(申請を委任する場合)

5. その他

調査時点:2022年10月

アルコール飲料の広告について
2008年アルコール飲料規制法に準拠するとされており、同法により、アルコールの摂取を促進するような広告またはアルコール飲料の名称・商標の表示などが禁止されているほか、テレビやラジオでの広告時間の規制などが定められています。なお、現在、同法は規制強化に向けた改正が検討されています。
アルコール飲料の販売について
首相府告示「アルコール飲料販売禁止時間」により、11時から14時、および17時から24時以外の販売(国際空港、娯楽施設法により営業時間が規定されている娯楽施設は除く)、選挙の前日18時から当日深夜0時まで、加えて重要な仏教関連の祝日など一部の祝日も販売が禁止されています。
また、アルコール飲料規制法により、寺院など宗教施設、公共医療施設、薬局、役所、寄宿舎、教育機関、給油所、給油所内にある店、公共の公園、工場、電車内などの場所におけるアルコール飲料の販売、20歳未満の者、酩酊状態の者に対するアルコール飲料の販売が禁止されています。さらに、自動販売機、行商、販売促進のための割引、配布などの方法による販売が禁止されています。
加えて、首相府告示「電子的手段または形態によるアルコール飲料販売の禁止」により、2020年12月からeコマースなどの電子的手段・形態によるアルコール飲料の販売、販売に関するサービスの提供などが禁止されています。

タイ内の輸入関税等

1. 関税

調査時点:2022年10月

アルコール飲料の関税は次のとおりです。

アルコール飲料の関税率(%)
基本税率 JETPA AJCEP RCEP WTO
ビール(醸造酒) 免除 免除 57 60
※ワイン(アルコール度数15%以下) 54 免除 免除 51.3 54
※ワイン(アルコール度数15%超23%以下) 免除 免除 51.3 54
※ワイン(アルコール度数23%超) 免除 免除 57 60
ベルモットおよびその他のワイン(アルコール度数15%以下) 54 免除 免除 51.3 54
清酒 免除 免除 57 60
ウイスキー 免除 免除 57 60
ジン 54 免除 免除 51.3 54
ウォッカ 免除 免除 57 60
リキュール 免除 免除 57 60
焼酎 免除 免除 57 60

2007年11月1日の日タイ経済連携協定(JTEPA)、2009年6月1日の日ASEAN包括的経済連携協定 (AJCEP)発効に伴い、アルコール飲料の関税は2017年4月1日(JTEPA)、2018年4月1日(AJCEP)以降、全面撤廃となっています。
JTEPA、AJCEP、RCEP税率の適用を受けるには、日本の特定原産地証明書の取得が必要となります(日本商工会議所が発給)。

EPA税率の申請様式に記載するHSコードのバージョン
JTEPA:HS2017(2017年版)
AJCEP:HS2002(2002年版) ※2023年3月1日からHS2017に置き換え
RCEP:HS2012(2012年版)

2. その他の税

調査時点:2022年10月

アルコール飲料には、次の税が課されます。

  • 物品税:従価税(希望小売価格に基づいて表の税率から算出)+ 従量税(表を参照)
  • 内国税:物品税の10%
  • 健康増進基金負担金:物品税の2%
  • 公共テレビ税:物品税の1.5%
  • スポーツ開発基金負担金:物品税の2%
  • 高齢者基金負担金:物品税の2%
  • 付加価値税(VAT):CIF価格、輸入関税、物品税、内国税、健康振興基金負担金、公共テレビ税、スポーツ開発基金負担金、高齢者基金負担金の合計額に対して7%
アルコール飲料の物品税
種類 従価税
(%)
従量税
(バーツ/純アルコール換算1リットル)
ビール 22 430
ぶどうのワイン、スパークリングワイン (1) 希望小売価格が1,000バーツ以下のもの 0 1,500
(2) 希望小売価格が1,000バーツを超えるもの 10 1,500
ぶどう、ぶどう酒を含む果実醸造酒 (1) アルコール度数が7度以下かつ容量が330ml以下のもの 10 150
(2) その他のもの 希望小売価格が1,000バーツ以下のもの 0 900
希望小売価格が1,000バーツを超えるもの 10 900
その他の醸造酒 10 150
蒸留酒(産業用アルコールを除く) 20 255

なお、物品税法上、醸造アルコールを添加した日本酒で、アルコール度数が15度を超えるものは蒸留酒に定義づけられるため注意が必要です。

3. その他

調査時点:2022年10月

なし

その他

調査時点:2022年10月

有機表示
アルコール飲料規制法に基づき、ラベルおよび容器上に、品質に関する誇張など消費者にとって不利益となる文言やアルコール飲料の消費を促す文言などの使用が禁止されています。「Organic」という文言を商品に表示することについては、アルコール飲料の消費を促す文言とみなされ、認証取得の有無、言語の種類を問わず、認められないという規制運用がなされています。
他方、有機に関する各認証のロゴマークについては、アルコール飲料の消費を促すものとはみなされず、表示可能との規制運用がなされています。認証に関する証明書(または原本証明が行われた写し)は通関時に提出が求められることがあります。
プレミアム表示
アルコール飲料のラベルおよび容器上における「プレミアム」表示もアルコール飲料規制法に基づき、直接的または間接的にアルコール飲料の消費を促す、または、アルコール飲料の特性、利点、品質を誇張する文言と見なされ表示が禁止されています。