政府がアルコール規制法の厳格化検討、消費も規制の可能性

(タイ)

バンコク発

2023年06月12日

タイのアルコール飲料規制委員会は6月1日から18日まで、アルコール飲料の広告・販売などの規制を定める2008年アルコール飲料規制法外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます英語訳外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)の改正案への意見公募を行っている外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

同法を巡っては、2021年6~7月にも意見公募が行われており、広告・宣伝・販売促進活動などに対するさらなる厳しい管理が検討されていたが(2021年7月8日記事参照)、今回の意見公募で示している改正案では、前回の意見公募時の内容に加え、消費への規制も盛り込むなど、さらに厳しい内容となっている。

意見公募で新たに加わった主な改正内容は次のとおり。

〇消費に対する新規制

  • アルコール飲料管理委員会の提言に基づき、大臣が指定した時間内に、商業目的の酒類の販売または消費を提供する場所での消費禁止時間を設ける。
  • 商業目的の酒類の販売または消費を提供する場所の事業者、所有者、責任者は消費者に対して、大臣が指定した時間内にアルコール飲料の摂取が禁止されるとの通知を行う義務がある。その時間内でアルコール飲料の摂取を防止するための監督、防止、その他の措置を講じる義務を含む。事業者、所有者、責任者が従わない場合は3万バーツ(約12万円、1バーツ=約4円)以下の罰金を設定する。
  • 上記の措置を実施したにもかかわらず消費者が従わない場合、商業目的の酒類の販売または消費を提供する場所の事業者、所有者、責任者に対する処罰は免除される。
  • 係官は、商業目的の酒類の販売または消費を提供する場所に立ち入り、必要に応じて監査または管理を行うことができる。
  • 商業目的の酒類の販売または消費を提供する場所で、消費者が消費禁止時間内にアルコール飲料を消費した場合、5,000バーツ以下の罰金を設定する。

〇製造者・輸入者に対する罰則の引き上げ

  • 係官の任務執行に対し、アルコール飲料の製造者、輸入者、販売者が係官の命令に従わない場合の罰則は、現状では1年以下の禁錮、もしくは2万バーツ以下の罰金または併科となっているが、アルコール飲料の製造者または輸入者に関しては、罰金を50万バーツ以下に引き上げる。

現地報道外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますによると、この改正案に対し、タイ酒類事業協会(TABBA)やタイクラフトビール製造協会は観光業や小売業、飲食業、ホテル業などといった広範囲への影響があると懸念し、個人の酒類消費を禁止することは私権の侵害になるではないかとの意見を述べている。

(谷口裕基、ウォンパタラクン・ヤーダー)

(タイ)

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